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In Girls Interval  作者: Satch
第2部
24/33

第4話:カエル

俺は毎日、生徒会に風紀委員に勉強にと忙しいが充実した日々を送っている。


「勉強は…してない」


「さくら? 俺のモノローグにツッコミ入れないで」


「…あい」


生徒会に関しては頭脳明晰な俺が、よりよい学校に改革してやろうと思っている。


「純くんの仕事はお姉ちゃんのお守りだけどね」


千歳は『あんたばかでしょ?』って表情で俺を見る。


「おにぃちゃんが…頭脳…明晰…ぷっ!」


さくらは我慢できずにかわいらしく吹き出した。


「だからツッコミを入れるなと…」


「はぁ? 今のはどう見てもツッコミ待ちでしょ!」


「はい、ごめんなさい」


この惑星の住人は怖い…。


「CMからオマージュしない!」


「つーか心読むのやめて!」


「ブツブツ言ってるのが聞こえてるだけだし!」


「うわーん、さくらー」


「…キック」


さくらに泣きつこうとしたら、その白い右足が俺の脛に炸裂したが痛くは無かった。


「なんで!?」


するとさくらは教室の前のほうを指差したので、そっちを見ると憤怒のみどり先生が睨んでた。


「吉岡くん! HR中よ! 静かにしなさい!」


「はい…ってなんで俺だけ…」


「歪んだ愛の鞭よ」


「歪んでんのかよ!」


それはどうにか矯正してください。





生徒会室に顔を出すと、千代先輩がいち早く気付いて、さえちゃん先輩の背中にぶつかりに行った。


「よしじゅんもぎゅ!」


「っ!? いやいや、意味が分からない…」


「あら、純ちゃん、いらっしゃい」


さえちゃん先輩は、千代先輩が背中にぶつかったことすら気付かなかったような、見事なスルーだった。


「あれ、今日は皆さんお揃いですか?」


普段はあまり生徒会室に居ない庶務と書記の先輩が揃っていた。


「今日はね、体育祭に向けた会議を行うから、だから純くん…」


いよいよ俺の頭脳を開放するときが来たようだぜ。


「会長のお守りをよろしく」


「ですよねー」


「なぁに?」


「いえいえ…頑張ります!」





「では競技についてだけど…」


それまで運営関連の話だったため、うとうとしていた千代先輩は、カッと目を見開き手を上げて叫んだ。


「はい! パン食い競争!」


予想通りの発言に、さえちゃん先輩以外スルー気味だった。


「食べ物を使った競技は禁止されていますよ、会長」


「そんな……それじゃ何のために生徒会長になったか分からない」


逆にそんなことのために生徒会長になったのか?


「じ、じゃあ、白い粉の中から口で飴ちゃんを探すゲーム…」


「飴ちゃんも食べ物に分類されます」


「あぐぅ…」


千代先輩はシュンとした感じで椅子に座ると、膝を抱えて体育座りをした。ってパンツ見えてるから!


「では、他のものに代替するのはどうでしょう?」


落ち込んだ千代先輩のフォローなのか、庶務の唯先輩が提案をする。


「でも食べ物という理由と口に入れるからという理由で禁止されてるはずです」


もう一人の庶務である結衣(ゆい)先輩が、唯先輩の提案に難色を示す。


「じゃあさ、唇で挟むというのはどうかな?」


そこに今度は書記の由比(ゆい)先輩が、フランクな口調で口を挟んだ。


「あんまり変わらないけど、例えばどういうものかしら?」


さえちゃん先輩も少しノッて来たのか話を広げる。


「カエル…とか?」


「なんでやねん!」


もう一人の書記である由衣(ゆい)先輩が半笑いでボケたので、思わずツッコミを入れる俺。


「ほんで、なんでみんな『ゆい』やねん!」


「「「「それを言われても困る」」」」


「ハモるな!」


「「「「それを言われても困る」」」」


「ソリを食われたら?」


千代先輩が新しいおもちゃを与えられた子供のように目をキラキラさせて発言した。


「「「「ソリを食われたら困る」」」」


「律儀に対応するなよ!」


「「「「それを言われても困る」」」」


「もうええっちゅうねん!」


「「「「はい」」」」


後で聞いたら親がみんな友達で、みんな同じ名前を子供に付けたら面白くね?ってことでそうなったらしい。ややこしい。


「では粉の中からカエルを探し口に咥えてゴールまで走る競技ということで…」


「いやいや、何で決定したように進めようとしてんすか?」


さえちゃん先輩は意味が分からないと言うようにきょとんとした顔をする。ってきょとんとするな!


「ゆい先輩?」


俺は唯先輩を見ながら言ったのだが…。


「「「「はい?」」」」


「どのゆいちゃん?」


さえちゃん先輩も分かってて聞いてるな。


「あーもう、誰でもいいです」


めんどくさい!


「「「「ひどい…」」」」


「ゆい先輩だって、カエルなんか咥えたくないですよね?」


「「「「…」」」」


ゆい先輩たちは誰が答えるかアイコンタクトで互いを見合い、結局誰も答えなかった。


「誰も答えないんかい!」


俺一人でこの生徒会室でツッコミを入れるのは疲れるぞ、ってか生徒会がこんなんで大丈夫なのか!?


「じゃあ庶務の唯先輩どうですか?」


「「「「はい?」」」」


だから庶務の言うてるやん! 少なくても返事は2人だろ? って俺も感覚が麻痺してきたかも。


「庶務の唯先輩はどうですか?」


今度は庶務の唯先輩を指差しながら言ったから大丈夫だろう。


「「「「はい?」」」」


だから何で!? 4人で答えるのがテンプレなのか?


「というのは冗談で」


「わかりずらいわ!」


「いきなりどうですかと言われても、心の準備もあるし、シャワーも浴びたいし…」


と唯先輩は両手で頬を押さえて真っ赤になりながら恥らいを見せる。


「何の話?」


「あら? 純ちゃんが口説き落としたわ!」


さえちゃん先輩が目を見開いて驚いた顔をする。


「え? 俺がいつ口説いたんですか?」


「…さきほど、どうですかと夜のお誘いがありました」


「言ってねーし!」


どうですかとは言ったが、そういう意味じゃねーし!


「唯先輩もカエルなんか咥えて走りなくないですよね?」


「な、何を咥えろと!?」


「カエルや!」


あんたの頭の中はお花畑か!


「もういいです……さえちゃん先輩、進めてください」


いつの間にか立ち上がってた俺は、ドッと疲れが出てきて椅子にドカっと座った。

そんな俺を、隣の千代先輩が『よくがんばったな、よしよし』と言った感じで頭を撫ぜてくれた、





「何なのこの『カエル』っていう競技は!?」


試作の競技プログラムを千歳に見せたらこんな反応でした、っていうか競技名がカエルて…。

その競技名の下に競技内容が書いてあり、さらにその下に失格条件が書いてあった。


『カエルを落とした者、飲み込んだ者、噛み切った者は失格になります』


「最後はグロいな…」


さらに失格条件の下に、※印があり、カエルは競技後スタッフがおいしくいただきます。と書いてあった。


「食べるのかよ!」


生徒会の面々が焼いたカエルを食べてる姿を想像しちゃったよ!

しかもそれは明るいイメージではなく、暗い中にスポットライトがあたっていてそれを囲むようにして食べているイメージだ。


「ねぇ…」


千歳が発するその言葉は、色っぽくキスを迫るような『ねぇ…』ではなく、周囲を凍てつかせる絶対零度の『ねぇ…』だった。


「は、はい」


「なんで止めなかったのよ?」


淡々とした口調で話すのが余計怖いです!


「おおお俺だって、ひひひ必死に止めようとしたさ! こ、孤軍奮闘だったさ!」


「まぁ、純くんはお姉ちゃんのお守りだしね、そこまで期待した私がバカでした」


なんだろう…もの凄い心を(えぐ)られた気がする。泣きそう。


「さくらちゃんも、カエル咥えるなんて嫌でしょ?」


「みんなの…前で…カエル…咥え…させられて…ほぅ」


さくらはすでに競技中(妄想中)らしい、頬を染めて恍惚とした表情がそれを物語っていた。

新しいキャラが出てきましたが、ヒロイン追加ではありません。

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