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In Girls Interval  作者: Satch
第2部
23/33

第3話:自爆姉妹

番外編からの~、本編です。

伏字が出てきますが、お好きな言葉を入れてお読みください。

「なあ、さくら? もう機嫌直してくれよ」


「…」


さくらはずっと机に突っ伏したまま、微動だにしない。

困り果ててさくらを見下ろしていると、千歳が登校して来て怪訝な顔で俺たちを見た。


「何やってんの?」


「それがかくかくしかじかでさ」


「それじゃ分かんないわよ!」


俺は校門前でさくらにゲンコツを食らった話を簡単に説明した。


「どうしたらいいかな?」


「本当なら仲違いしていてくれたほうがライバルが減るんだけど…フェアじゃないしね」


「え?」


「ちょっとこっちきて!」


千歳は何かを誤魔化すように俺を教室の隅に誘導した。


「なに? 告白?」


「するか! そうじゃなくて、さくらちゃんの機嫌を直す方法だけどさ」


「うん?」


「よく考えると、さくらちゃんの自爆なんだけどさ」


「それは自明の理だけど、そこはスルーで!」


「うん、それでね」


千歳が急に顔を近づけて来たので思わずドキっとしてしまう。


「う、うん」


「さくらちゃんってドMでしょ?」


「うん……うん?」


「そこでドMの人が喜ぶことを言ってあげたらどうかな?」


そんなんで機嫌直すかな? まぁでもやらないよりましか?


「じゃあ千歳お願いします!」


「なんで私よ? 純くんが言うに決まってるでしょ!」


どちらかというと千歳のほうがSっ気は強い気がするのだが…。


「…はい、分かりました」


俺はさっそくさくらの側に行って、さくらの耳元で言葉を囁く。


「この○○○が」


「っ!?」


するとさくらはピクっと反応した。効果ありか?


「この薄汚い○○○が」


「~~っ!?」


「俺の○○○になれよ」


「~~~~っ!?」


それを見ていた千歳が止めに入る。


「ストップ! 純くん、もういいと思う」


「へ? でもまだ顔を上げてくれないよ?」


「うん、大丈夫、もう少し待って」


「うん…」


不思議に思いながらも自分の席に戻って、さくらが顔を上げるのを待つ。

その間、HRでみどり先生が来たけど、千歳がさくらのモノマネで出欠の返事をした。って激似だな!


HRが終わりみどり先生が教室を出て行くと、さくらが真っ赤に染まった顔を上げた。

目は少しトロンとして、口元には涎らしきものが付着していた。


それを見て千歳が俺の視線からさくらを遮るように立って何かをしている。

おそらく涎を拭いてあげたりしてるんだと思う。


千歳が居なくなった後、いつもどおりのさくらがそこにいた。

ってどんな技を使ったんだ!?


「さくら?」


「おにぃちゃん…なぁに?」


いたって普通なさくらの反応だった。


「そのさっきはごめんな?」


「ううん…私こそ…ごめん」


俺とさくらはガッチリとした仲直りの握手をした。

何がどうなってこうなったのかよく分からないけど、一件落着だな。





休み時間になると、さつき先輩がドアのところで入ろうか入るまいか迷って、

1歩入ってはまた廊下に出るという、謎の儀式をやっているので、クラスメートが迷惑そうな顔で俺を見てきた。


「ったく、俺はさつき先輩の保護者かって…」


俺はドアのところに歩いていき、有無を言わせずさつき先輩の襟首を掴む。


「ふぁ!?」


今まで聞いたこと無い声を発するさつき先輩を、さくらの前に連れて行く。


「お姉ちゃん…どうしたの?」


「あれ? えっと…」


さつき先輩はどうやってここまでさくらの機嫌を直したのかという目を俺に向けて来たので、

親指を突き立ててサムズアップだけしておいた。


「…よく分からんが、さくら? 朝はごめん!」


さつき先輩はさくらの前で頭を下げた、

するとポニーテールの髪が後ろから前に勢いよく飛んできて、自らの顔に当たった。


「いたっ!」


そのさつき先輩の光景は少し間抜けだった。


「ううん…私こそ…ごめん…ぷふっ」


俺はなんとか半笑いで踏みとどまったが、さくらは最後の最後で吹き出してしまった。


「くっ、覚えてろ!」


さつき先輩は顔を真っ赤にして目の端には涙を滲ませて、捨てセリフを叫んで、走って行ってしまった。


「めんどくせー…」


自爆の好きな姉妹だな、あとで千代先輩にさつき先輩のなだめかたを聞きに行くか…。





上級生の教室に行くのってすごい緊張するな。

幸い千代先輩はさつき先輩と別のクラスなので、相談事を聞かれる心配も無い。


俺はドアのところで入ろうか入るまいか迷って、1歩入ってはまた廊下に出るという、

謎の儀式をやっていると、近くの女子の先輩が不思議そうに聞いてきた。


「君、下級生だよね、さっきから何の儀式してるの? 避妊?」


「なんでやねん! あ、すみません」


思わずいつもの調子でツッコんじゃったけど、よく考えたら先輩だった。

その声を聞いたさえちゃん先輩が慌てて俺の下に来てくれた。


「純ちゃん! 1人で来たの? 偉いねぇ!」


さえちゃん先輩が俺の頭を撫で撫でしているので、教室が少し騒がしくなった。


「弟か?」「さえに弟いたっけ?」「まさかの彼氏?」「年下の彼?」

「さえが色々教えてるのかな?」「えー! やらしい!」


俺は無駄に精神的ダメージを食らってるような気がする。


「さつきの機嫌を直す方法ねぇ…」


何でとは聞かない、この先輩は何故か何でもお見通しだから。


「でも千代じゃ聞いてもね…」


まぁ、想像は出来るけどね。くすぐれとかそんな事言いそう。


「よしじゅん、どした?」


千代先輩も俺たちに気付いて近づいてくる。


「それが、さつき先輩がへそ曲げちゃって……どうしたら機嫌が直るか聞きたくて来ました」


「さつきの機嫌…うーん…」


千代先輩が腕を組んで考え込むのを、固唾を呑んで見守る。


「そんなの簡単だ、くすぐって笑わせれば機嫌が直る!」


「当たりかよ!」


「もぎゅ?」


千代先輩は小動物ちっくに小首を傾げる。


「ってそれすっかりお気に入りですね…」


こんなときどうすればいいか前に経験したような? あ!


「さえお姉ちゃんお願い!」


俺は手を合わせて小首をかしげるようにお願いしてみた。


「ひにゃあ!」


さえちゃん先輩は、奇声なのか悲鳴なのか分からないかわいい叫び声を上げて身悶えている。


「早速行ってくるから待っててね!」


さえちゃん先輩はひとしきり身悶えた後、上気した頬で教室をを意気揚々と出て行った。





数秒でさえちゃん先輩は教室に戻ってきた。


「機嫌直ったわ」


今回はどんな写真が使われたのか分からないけど、相変わらずの早業だ。


「純ちゃん、そろそろ休み時間終わるから、クラスまで送ってあげるね?」


と言って、俺の手を引いて教室を出る。その背後では…。


「やはり弟じゃないのか?」「えー彼氏でしょ?」「さえが調教してるんじゃない?」

「意外とさえが調教されてるかもよ?」「えー! やらしい!」


俺はもう二度とさえちゃん先輩のクラスに顔を出さないと誓った。

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