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In Girls Interval  作者: Satch
第1部
2/33

第2話:セカンドコンタクト?

入学2日目からはもう早速授業が始まった。


「だるぅ」


先生に聞こえないようにこっそりつぶやいて、本日何度目かの欠伸をした。

その時ふいに美味しそうな匂いが漂ってきたので、辺りを見回すとさくらが早弁していた…。


「…」


教科書を立ててそこに隠れるようにして食べるというオーソドックス?なスタイルだ。

つかまだ1限目だぞ? どんだけお腹空いてるんだよ。


呆れて見ているとさくらと目が合い、お互い五秒ほど見つめ合う。

するとさくらはタコさんウィンナーを箸の先で豪快にザクっと刺して、こちらに箸先を向けてきた。


「いや…食べたくて見ていたわけじゃないから」


さくらがシュンと寂しそうに項垂れてしまったから、しょうがないので食べてやる事にする。


「わ、分かったから」


手に乗せてもらおうと手を差し出すが、さくらは首をフルフルとふってタコさんウィンナーをずいっと前に差し出す。


「え…食べさせてくれるってこと?」


するとさくらはコクコクと頷いて、またタコさんウィンナーをずいっと前に差し出す。

所謂「あーん」というやつだな、って付き合ってる訳でも無いのに恥ずかしいわ!

いや、付き合ってても人前じゃ恥ずかしいのには変わりないけどさ!


さくらは目をキラキラさせて待っているので、タコさんウィンナーを口に入れる。


「…えへ」


嬉しそうにさくらが笑うので、まあいいか。


「ちょっと純くん何いちゃいちゃしてんのよ!」


千歳が顔を近づけて小声で注意してくる。


「いちゃいちゃはしてないだろ?」


こちらも小声で応戦する。


「分かってるの?」


「何が?」


「か、間接キスよ!」


「…っ!」


それは考えもしなかった…が、でも飲みかけの缶ジュースとかならまだしも、

箸を舐め回したわけでもないし、箸に刺さったウィンナーを食べただけだしね。


「まぁさくらなら別にいいよ」


「んなっ!? 良くないわよ!」


「何で?」


「そ、それは…私だってしたいし…」


「え? よく聞こえないんだけど?」


「なんでもない! ばか!」


え? 何で怒られてるんだろう?


それからまた欠伸を噛み殺しながら退屈な授業を受けていると、左側から肘をつつかれたので顔を向けると卵焼きがいた。

いや違う、千歳が箸に卵焼きを刺して、こちらに向けていた。


「って、えっ!?」


「早く食べなさいよ!」


「…いや」


「何よ! 影山さんのは食べれて私のは食べれないっていうの?」


千歳のキャラってこんなだったか?


意識すると余計食べづらいというか…あ、でも弁当開けてからすぐ卵焼きを箸で刺したなら問題ないかなと、

千歳の弁当を見るとちょっと食べてるし!


視線を千歳に戻すとと、目が少し潤んでる!


「はい…あーん」


「あ、あーん」


うん、美味しい、卵焼きに罪は無いね。


「うん、千歳の味が染みててうまい」


「んなっ!?」


まぁこのくらいの反撃なら許されるだろう。





昼休み、千歳とさくらは仲良く弁当を食べていた、いつの間に仲良くなったの?

っていうかさくらはさっき弁当全部食べてたような…もしかして2つ目の弁当か?


千歳はさっき全部食べなかったからその残りを食べている。


「さくら、どんだけ弁当持って来てんの!?」


さくらはちょっときょとんとしたあと、手で3を作って突き出してきた。


「3つって…その小柄な身体の何処に入るの?」


「純くんやーらしー」


「待て待て弁当の話しだぞ?」


「ふーん、純くんが言うとなんでもそう聞こえるね」


「そんな含みは全然してねーよ! 千歳はそんなことばっか考えてんだな、えろぃ娘だ」


「えろぃ言うな! 不純くん?」


「んなろう、胸でも揉んだろか! あ、揉むほど無いですね!」


事実千歳の制服の胸はぺたーんと残念が音が鳴っている。


「んなっ!? ちょっとさくらちゃん何か言ってやってよ!」


千歳がさくらに援軍を要請したけど、さくらは何故か意外に大きい胸を張る。


「さくらちゃんそれは…わたしはあると言いたいの?」


「…えへ」


さくらは得意げに少しだけ笑った。


「まさかの裏切り!?」


「ぷふっ!」


「純くん笑った!?」


「…わら…ってない…よ」


「笑いながら言っても説得力無いよ? いいもんまだ成長期だからこれから大きくなるんだから」


「…がんばれよ」


「憐れみの目で見ないでよ!」


そんなお馬鹿な会話を繰り広げていると、教室が急に静かになる。


「え、何?」


見るとポニーテールと大きな胸を揺らしながら、歩いてくる女生徒がいた。


「あ! きのうはありがとうございました」


きのうクラスの行き方を教えてくれた先輩だ。


「いや、まぁ、どういたしまして」


千歳はぽかーんとその先輩を見上げていて、さくらは弁当に夢中だった。


「そういえば名前を聞いていませんでしたね、先輩」


「そうだったかな…私は影山さつきだ」


「じゃあ、影山せんぱ…」「さつき」


「んん? かげや…」「さつき」


「かげ…」「さつき」


「か…」「さつき」


「…」「さつき」


まだ言ってねーし、っていうか、つい最近同じようなやりとりをした気がする!

ん? 影山…?


「ああ、君だったのか、さくらが優しくてカッコイイ友達が出来たって、はしゃいでいたからついでに見に来たのだ」


「…っ!」


さくらを見ると珍しく顔を真っ赤にして、むせていた。


「っていうか、もしかして姉妹ですか?」


「そうなるね、さくらとこれからも仲良くしてやってくれ」


「それはもちろん」


「ただし、さくらに手を出したらどうなるか分かってるな?」


さつき先輩はどこから取り出したのか竹刀を握り締めていた。


「そ、それはもちろん」


「私になら何をしても構わないのだが…」


「え? 何ですか?」


「な、なんでもない、じゃあここからは本当の目的に入ろう」


「本当の目的?」


「言ったろう、さくらの友達を見に来たのはついでだと」


そういえばそんなことを言ってた気がするけど、その前の部分で舞い上がってたからな。


「吉岡純くん、さくらが何度も言うものだから名前を覚えてしまった」


「はい…」


さくらを見るとまた顔を真っ赤にして、むせていた。


「君には風紀委員に入って貰いたい」


「え、俺が?」


「そうだ」


「俺には無理ですよ!」


「そんなことはない、君は空手の有段者だそうじゃないか?」


段を取るまでの約束で、いやいややらされてたのが空手だ。


「確かにそうですが、今はもうやめてしまっています」


「別に空手の試合に出ろと言っている訳じゃない」


「でも素人に空手を使う訳には…」


風紀委員は喧嘩などがあった場合、仲裁に入らないと行けないので、多少腕に覚えがないとダメらしい。


「まぁ、そうだな、だが抑止力にはなるだろう?」


「…」


「すぐに答えを出さなくてもいい、考えておいてほしい」


「わかりました、さつき先輩」


「…っ! も、もう1度名前を呼んではくれまいか?」


「さつき先輩…?」


「…えへ」


さつき先輩は嬉しそうに笑った、やはり姉妹というべきか、さくらと同じ笑い方だった。





さつき先輩が立ち去って、午後の授業に向けて鋭気を養っていると、教室にちびっ子が入ってきた。


「ちとせー、きたよー」


さっきの流れもあるし、また姉妹なのか?


「千歳…もしかしてそのちびっ子生徒会長は妹さんか?」


「誰がちびっ子か!」


え? ツッコむのそこだけ!?


「それボケたのか、素で間違ったのか分かりずらいから」


いやボケたんだよ、素で間違い易いってことなのか?


「こんなんでも姉よ」


「こんなんでもは余計だ!」


「はいはい、お姉ちゃんが言ってたの、コレでしょ?」


と言って俺を指差す、コレって酷くない?


「うん、そうだ! いきなりイタズラされた!」


「待て待て! 誤解されるだろ?」


教室中から非難の目が向けられてるだろうが!


「いきなり抱き付かれたって言っているのと、その時間、教室に居なかったキーワードから、

純くん、あなたが犯人だと気付いてしまったの」


何その、2時間ドラマの崖のシーンみたいなセリフ。


「千歳、ドラマの見すぎじゃないのか?」


「1度言って見たかったの!」


「それよか、いきなり抱き付いたっていうのは語弊がある」


「まぁね、純くんがいくら変態でも、そんなことはしないでしょ? 自信はないけど…」


「自分を信じて! って変態言うな! ま、合ってるけど」


「認めちゃった!?」


「出会いがしらにぶつかってさ、弾かれた勢いで転んで怪我でもされたら嫌だから、抱き止めたんだよ」


「そんなことだろうと思ったよ、聞いてた、お姉ちゃ…ん?」


千歳の歯切れが悪くなったので、ちびっ子生徒会長を見ると、ぽーっとした顔で俺を見てた。


「どうした? 電池切れか?」


「お…」


「お?」


「おま…」


ちょっと待て、変なこと口走るつもりじゃないだろうな?


「おまえ、優しいな!」


「…え、まぁ」


変なことは言わなかったが、照れることを言われた!


「お礼に、おにぃちゃんって呼んであげようか?」


「いや、年上に言われるとちょっと複雑な気分になるからやめてください」


「そういう嗜好もあると思ったのに、おにぃちゃん」


「千歳、そういう嗜好も無くは無いけど、同級生に言われるのもな」


「…おにぃ…ちゃん?」


「おふっ!?」


さくらのひと言で心臓がドクンと跳ね上がったよ、何だこの破壊力は!


「私とさくらちゃんとの反応の違いが納得行かないんだけど?」


「細かい事気にするなよ、ハゲるぞ」


「ハゲないわよ!」


「女性もハゲるらしいぞ?」


「うそマジで?」


「いや知らないけど」


「知らないのかよ!?」


千歳のツッコミもなかなか鋭いじゃないか。


「漫才終わった?」


「「漫才じゃない!」」


「よし決めた!」


ちびっ子生徒会長が何かを決めたらしい。


「会長、砂遊びにするかブランコにするか決めたんですか? っていうかお昼寝は終わったんですか?」


「私は高校生だ!」


まぁ唯一そう見えるのは制服だけだけどな!


「おまえ…名前はなんだっけ?」


「ん? ああ、吉岡純です」


「うにゅ、よっしーを生徒会に、かんぬー…かんにゅー…むぅ、スカウトするぞ!」


「舌がべろーんって伸びそうなあだ名を付けるな! それと勧誘な! って、はぁ!?」


「生徒会長が1人決めていいことになってるもん!」


「いやいや、その権限に強制力は無いからな?」


「ちとせー、そうなのか?」


「うん、たぶん」


「そっかー、じゃあどうしたらいい?」


「こういう場合は、考えておいてって言うのが妥当じゃない?」


「そっかー、じゃあ、よしじゅん考えておけ?」


これじゃ、どっちが姉か分からないな、ってあだ名を統一しろ! いや違うあだ名を付けるな!


生徒会長は嵐のように去っていった。





「純くんすごいじゃない、いきなり主要2団体からお誘いなんて!」


「団体言うな!」


「おにぃちゃん…すごい」


さくらの顔から感情は読めないけど、すっかりおにぃちゃんと呼ぶのが気に入ったようだ。


「ありがとう」


さくらの頭を撫でると猫のように気持ちよさそうに目を閉じる。


「で、どうするのよ」


「千歳ーどうしよう?」


千歳のぺったーんな胸に泣き付こうとしたけど、手で頭を押さえられて阻止された。


「はいはい、こんなときだけ甘えなーい!」


「くっ…ぺったん姉妹め」


「なにをー!」


「さくらー」


さくらの柔らかい胸に泣き付く、さつき先輩に見られたらボコボコにされるかも知れない。


「おにぃちゃん…いい子…いい子」


さくらは特に嫌がる訳でもなく優しい表情で、俺の頭を撫でてくれた。

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