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In Girls Interval  作者: Satch
第1部
19/33

第19話:騒がしい日々は続く

「はぁ!? 何よそれ!」


件の生徒会と風紀委員会の兼務の話を千歳とさくらに話したところです。


「いや、展開が急転直下で俺も戸惑ってるよ?」


「で、結局兼務するわけ?」


「うーん、まぁそうなるかな…」


「そっか…」


「なんつーか、モテる男は…」


「さくらちゃんはどう思う?」


「最後までボケさせろ!」


「…」


さくらはこの話を聞いてからずっと頬を膨らませている。


「さくら…?」


「お姉ちゃん…ずるい!」


ご立腹のようですね。


「え? 何が?」


「おにぃちゃんを…独り占め…ずるい」


「独り占めって…」


そう言われてしまうと何とも言えないけど、独り占めは語弊がないか?


「お姉ちゃん…倒す! そして…風紀委員長…なる!」


瞳を燃やすさくらだけど、相手は1個小隊なみの戦闘力を有するさつき先輩だぞ?


「いやいや無理じゃね? それなら一緒に風紀委員会に入れば?」


「一緒…に?」


「うん、それなら問題なくない?」


「…それなら…2人になる…チャンス…ある」


さくらは何かをブツブツ言いながら考え込んでしまった。


「それなら私も入ろっかな?」


「え? でも千歳、なにか部活やってなかったっけ?」


「あー、うん、でも園芸部だから問題ないと思う」


「え、園芸部!?」


演芸部のまちがいじゃね?


「なによ?」


「園芸部ってアレでしょ?」


「どれよ?」


「花を育てたりする…」


「うん、学校の花壇をいい感じにしたり、後は野菜とかも作ったりするよ」


いい感じって全然伝わってこないな。


「へぇ…まさか千歳も花を育ててるの?」


「当たり前じゃない! それでまさかって何よ?」


「いやいや、似合わないとか思ってナイデスヨ?」


ゴツッ!


「いだぁ!」


千歳のげんこつは意外に重かった!


「おにぃちゃん…アホ」





「というわけで、千歳とさくらも一緒に風紀委員会に入れてもらいたいんですけど?」


腕を組んで聞いていたさつき先輩は即答する。


「却下!」


「えぇ!?」


「…言うと思った」


さくらがボソっと何か言った。


「超絶かわいい後輩の頼みでもそれはダメだな」


超絶?


「な、何故ですか?」


「誰が好き好んで敵を招き入れるやつがいるんだ?」


その『お前は心底バカなのか?』って顔で見るのをやめてください…。


「敵って…」


「敵は言い過ぎたかも知れんが、ライバルと受け取って貰って構わない」


何のライバル?


「でも4人のほうが分散できるから見回りとか楽じゃないですか?」


「今でも苦ではないが?」


「じゃあ…俺もいらないじゃないですか…」


「それは…私も鉄人じゃないのでな、私が休んだ場合を考えてのことだ」


なるほど道理だな…でもこの人1年の時から現在進行形で皆勤と聞いたけどな…。


「それに…この4人だと2人ずつに分けたとして、戦力的に私と純くんは

別々に分かれないといけないからな…」


「え? 何か言いました?」


「な、なんでもない、独り言だ」


何故か、みんな何か呟いたとき、それを聞き返すと誤魔化すよね?


「お姉ちゃん…倒す…!」


「ん? さくら何か言ったか?」


「いや、さくらは、お姉ちゃんエロスって言ったんだよな?」


「…言ってない」


(あとで説得するからそういうことにしといて!)


(おにぃちゃんが…そう…言うなら…)


「…言った」


「んん? エロスとはどういう意味だ?」


「えーと…エロいって意味ですね」


「んな!? わ、私のどこがエ、エロいというのだ…」


「全身?」


バシッ!


「いだぁ!」


さつき先輩の竹刀が頭頂部に炸裂した。ってこんなんばっかだな…。





「さえちゃん先輩、ちょっと相談があるんですけど?」


そこは生徒会室で、千代先輩のお昼寝中の寝顔を横目に見ながらさえちゃん先輩と話す。


「純ちゃん、『先輩』は付けなくてもいいわよ?」


「いやいや、それはちょっと…」


「なら、さえって呼び捨てでも…」


「なんでハードル上げるんですか!」


「ふふ、かわいいわね」


「っ!?」


「そうね千歳ちゃんとさくらちゃんを風紀委員会に入れる方法は…」


さえちゃん先輩は右手の人差し指を顎にあてて思案顔。


「ってなんで相談内容知ってるんですか!?」


「知りたい?」


それ以上詮索するなと俺の中で警鐘が鳴ってる!


「い、いえいえ、手間が省けて助かります!」


「そうね、私に任せてもらっていい?」


「え? いいんですか?」


正直さつき先輩を説得する自信が無かったので渡りに船だ!


「ええ、その代わりと言ってはなんだけど…」


「な、なんですか? お金ならありませんが…」


「そんな不粋なことじゃないわよ、ただ…」


「ただ…?」


「『さえお姉ちゃんお願い』って言ってくれるだけでいいわ」


「え? そんなことでいいんですか?」


でも恥ずい!


「じ、じゃあ、さえお姉ちゃんお願い!」


俺は手を合わせて小首をかしげるようにお願いしてみた。


「ひにゃあ!」


さえちゃん先輩は、奇声なのか悲鳴なのか分からないかわいい叫び声を上げて身悶えている。


「早速行ってくるから待っててね!」


さえちゃん先輩はひとしきり身悶えた後、上気した頬で生徒会室を意気揚々と出て行った。

そんなすぐに何とかなるものなのかな?





「さつき? いる?」


風紀委員室を開けてから声をかける。


「んお? なんださえちゃんか、何か用か?」


「うん、あのね、千歳ちゃんとさくらちゃんのことなんだけど、風紀委員会に…」


「却下! おおかた純くんにでも頼まれて来たんだろ?」


「まぁ、そうだけど、それよりこんな写真があるんだけど?」


秘蔵コレクションの中から持ってきた写真を見せる。


「んな!? 何故こんな写真が…?」


「でね、千歳ちゃんとさくらちゃんを風紀委員会に入れてあげて欲しいの」


「くっ! 足元も見おって…り、了解した……で、その写真のネガは?」


「デジカメで撮ったからネガはないけど、電子データは後でメールするわ」


「…了解した」


「じゃあ、そういうことだから、って何を撒いてるの?」


「塩だ!」


「それはあんまりだわ…」





「ふぅ、何とかなったわ!」


「はや!」


出てってから5分と経っていないんですが…?


「さえお姉ちゃんありがとー!」


「うにゃあ!」


さえちゃん先輩の反応が面白い!


「僕ねー、さえお姉ちゃんのおっぱいが見たい!」


「いいよー、ちょっと待ってねー」


さえちゃん先輩はシャツのボタンを全部外したところで止まる。


「ダメよ! 姉×弟でそれはダメなのよ!」


あ、さえちゃん先輩の中では、そういう設定だったんだ。





生徒会室に集まったのは千代先輩、さつき先輩、さえちゃん先輩、千歳、さくらと

生徒会書記2名、生徒会庶務2名で俺入れて10名。


「そういうわけで、生徒会長補佐および風紀委員となりました吉岡純です、よろしくお願いします」


「風紀委員となりました小林千歳です、よろしくお願いします」


「風紀委員…影山さくら…よろしく」


生徒会室に拍手がこだまする。


「しかし、さつき良く許可したな?」


千代先輩は信じられないという顔でさつき先輩に尋ねる。


「私は、そんな器量の小さい女じゃないからな、アハハハハハ…」


演技下手!


「さつき先輩ありがとうございます!」


「…いや、構わない」


「…」


さえちゃん先輩が、あからさまに唇を尖らせて拗ねている。


「さ、さえちゃん先輩もありがとうございます」


「うん、さつきの写真は他にもあるから構わないわ」


「写真…?」


「さえちゃん! って他の写真!?」


さつき先輩が異様に慌てふためいている。


「何の写真ですか?」


「うーん、純ちゃんの頼み方次第では見せてあげなくもないわよ?」


「ほぅ…」


「見せるな!」


「ちなみにコレがその中の1枚よ」


さえちゃん先輩が見せてくれたのは、抱き枕を抱いて寝る下着姿のさつき先輩の写真だった。

しかも抱き枕には何故か俺の拡大写真が貼ってある…。


「だぁぁ!」


さつき先輩は慌てて写真を引ったくると、びりびりに破いてゴミ箱に捨てた。


そんなさつき先輩を様々な視線が刺す。

ニヤニヤ見る者(さえちゃん先輩)、痛々しい目で見るさくら

気の毒そうに見る者(千歳)、生暖かい目で見る者(その他)に分かれた。


「わ、私を見るなぁ!」


そのとき千代先輩が、満面の笑顔で目の前に来た。


「ところでよしじゅん? 早くお医者さんごっこしよう!」


「しないから!」



第1部完

一応ここで第1部終了という形になります。

当初はここで終わりにする予定でしたが、続けられそうなので続けようと思います。


今回の作品は誰かとくっつきそうでくっつかないという、微妙なラインを取っています。

それと主人公は大事な瞬間だけ鈍感になるという厄介な属性を持っています。

え? そうですね…いつものことでしたね…。


第2部はさえちゃん先輩も純争奪戦に参加します、たぶん。

たぶんて。


ではでは今後もよろしくお願いします。


それと新しい小説も書いていますので、来週あたりに公開します。

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