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In Girls Interval  作者: Satch
第1部
13/33

第13話:それはもうラッキースケベではない!

「じゃあとりあえず、休憩でもしますか…」


「はぁ? まだ来たばっかなんだけど?」


千歳は『おまえなめてんのか?』って表情をする。


「そうだっけ?」


その前の女子達の水着披露大会と、いわれの無い汚名を着せられ、めっちゃ疲労困憊なんだけどな。


「じ、じゃとりあえずプールに入って、クールダウンしますか」


「「はーい」」


各々で準備運動を開始、その際、ブルンブルン揺れる4つの物体を眺めるのは必須だ!


「ふふ、純くん、そんなに見ててもポロリはしないぞ?」


「…」


そんな期待は…してますが、さすがに準備運動でポロリするとは思ってない。


「もっともポロリするとしたら、ビキニの私だけだから、紐を緩く結んどいた」


「今すぐしっかり結べ!」


この先輩は何を考えているの? 見せたいのか?


「おにぃちゃん…セルフポロリ…しても…いいよ」


セルフってことは俺が水着に手を入れて、おっぱ…胸を出すってこと?


「それもうポロリというかなんというか…なぁ、千歳?」


「ふん!」


千歳さんはポロリしたくてもね…。


「その憐れみの目がむかつく!」


ちなみに千代先輩は、会話に加わらず真剣な顔でラジオ体操をしていた…。





「気持ちいいな!」

「うん、気持ちいい」

「気持ち…いい」

「ふぅー極楽極楽」


千代先輩、千歳、さくら、おっさん(さつき先輩)の順に、プールに入った感想です。

俺たちが入ったのは、所謂流れるプールと呼ばれる「土石流」という名のプールです。


「って嫌なネーミングだな! どんなセンスしてんだよ!」


「うー! いいと思ったのに、よしじゅん酷いぞ! にゃああ!」


千代先輩は目の端に涙を浮かべで、プールサイドの縁から手を離し、両手を突き上げる。

最後の叫び声は、浮き輪に乗っている千代先輩がプールの流れに乗っていったための叫びです。


「え? 千歳? ここってもしかして…」


「あ、あははは、ここは叔父さんの経営しているとこなの…」


「…」


「け、建設時にプールのネーミングを頼まれてね…」


「…」


「何か文句あんの?」


「ありません、ごめんなさい!」


千歳さんのキレるタイミングを誰か教えてください!


ちなみにさくらは、泳いでくると言って流れに乗ってクロールで泳いでいった。

ここで本格的に泳ぐなよという俺のツッコミは、夏の空に吸い込まれていった。


「んで、さつき先輩はさっきから動いてないですけど、もしかして怖いんですか?」


さつき先輩はプールサイドの縁を掴んだまま、固まっている。


「こ、この私がそんな訳なかろう!」


めっちゃ早口で、声が震えてますけどね!


「ふーん、ならここまで来てみてください」


俺は流れの少し先に移動してさつき先輩を呼ぶ。


「この私のいろんなとこを舐めてもいいが、バカにするなよ?」


「いろんなとこってどこですかー?」


「~~!? そ…それは…想像に任せる」


「想像していいんですか?」


「~~!?」


「冗談はこのくらいで、さあ早く来てください!」


「く、覚えてろ!」


さつき先輩は顔を真っ赤にして、悔しそうな表情をする。


「さあ、ほら!」


「っえい!」


さつき先輩は目を瞑り、可愛らしい掛け声と共に、縁から手を離した。


よろよろと流れるプールを歩くさつき先輩に、さっき流されていった千代先輩が一周してきてぶつかった!


「ふにゃああ! 止めてくれ!」


千代先輩はクルクル回りながらまた流されていった。


千代先輩にぶつけられ、よろけたさつき先輩はその勢いのまま急に抱きついてきた、


「どうだ! 来れただろう!」


「…そ、そうですね」


さつき先輩は、抱きついている自覚が無いのか、どうだと言わんばかりの声音だった。


「と、ところで、さつき先輩? いまの状況を理解してます?」


「状況…?」


さつき先輩は目を開けて、状況確認をしている。


「んな! 何故私に抱きついているんだ? 私にも心の準備というものが…」


「いやいやいや、抱きついてきたのはあなたですから!」


さつき先輩が体を離そうとした時、俺はあることに気が付いて、再度さつき先輩を抱き寄せた。


「純くん! ダメ! こんなところで!」


「いやいや、違いますから! そうではなくて落ち着いて聞いてください?」


「? 私はいつも冷静沈着だが?」


いつもなら嘘付けとツッコむところだが、今はそんな場合じゃない。


「無くなってます」


「? 何が?」


「えーと、なんていうか、その、上の水着がですね、ありません」


「上の水着?」


さつき先輩は、恐る恐る下を見て絶句する。っていうか見なくても分かるだろ?


「どどどどうしよう?」


「ど、どうしようって言われても」


その辺に落ちてないか、見回してみたが形跡は無い。


「あ、そういえば…」


「ん?」


「さっきさつき先輩にぶつかっていったのは、千代先輩なんですが、そのときに何か持ってたような…」


「それだ! 追いかけるぞ!」


「はい、あ…」


「何だ?」


「ここで待ってれば、また流れてくるかも」


「なるほど、まぁ、私はずっとこのままでもいいけどな!」


「俺がよくないです!」


さっきから水着越しではない、柔らかい感触が直に触れているので、そろそろヤバいです。


しばらく無言で抱き合っていると、遠くにクルクル回っている千代先輩が見えてきた。


「あ、来ましたよ!」


っていうか誰にも止めてもらえなかったのか?


「子供の名前は何にしようか?」


「いやいや、まだ早いから! っていうかそんな未来があるかどうかすら、まだ分からないから!」


そこで流れてきた千代先輩の浮き輪を手を伸ばしてキャッチした。

千代先輩はグロッキー状態だったけど、水着はしっかり掴んでいた。


千代先輩の手から水着を抜き取るとさつき先輩に渡し、千代先輩をそっとリリースして流した。


「み、見てもいいけど、見るなよ?」


どっちやねん!


さつき先輩は首にかかる部分を結んでから、それを首にかけ、

ちょっと体を離して胸の部分を覆い、後ろ手に紐を結んだ。


何故そこまで正確に描写できるのかというと、俺は薄目を開けてその様子を見てたから!

だって男の子だもん!





休憩を取ろうということになり、一旦みんな集合する。

ちなみに千代先輩は千歳が回収してきた。


「うーん、誰かにぶつかった後から記憶が無い…」


そりゃそうだ、気絶してたからな。


そこで4人は俺から少し離れると、なにやらまた密談を始めた!

時々「思ったより大きい」とか「硬い」とか聞こえてくるけど、だいたい察しは付いてます。


密談を終えると、千歳が俺の肩に手を置いた。


「治ってよかったね!」


「だから! 治るも何も、最初から機能してるって!」


我慢できなくて思わず反応しちゃったんだけど、気付かれてましたか。


「私も頑張ったかいがあったよ!」


「おまえ、何もしてねーじゃん!」


「おまえ?」


「ごめんなさい!」


俺はすぐさま土下座をした。





「「ぐーぱーじゃん」」


俺以外の4人でぐーぱーをして、2人ずつに分けてます。


何故かと言うと、ウォータースライダーに乗ろうってことになり、

その組み合わせを決めるためです。


ちなみにこのウォータースライダーの名称は「地獄へのすべり台」です。


このレジャープールのウォータースライダーは、最大3人で乗るボートで滑走するタイプなので、

女子を2-2で分けて、俺が2回乗ることになる。と決まっていた…。


「あんま意味無かった…」


分かれたのは、千代先輩と千歳組と、さつき先輩とさくら組で、本当に意味が無いな!


「平地と山脈か…」


「「平地言うな!」」


さすが姉妹だけあって、息もぴったりだ。





「な、なぁ、よしじゅん? か、代わって欲しければ、代わってやるぞ?」


じゃんけんで前から千代先輩、俺、千歳の順に座ることに決まったのが不服らしい。


「…いえ結構です」


「そ、そうか…」


「あれ? ひょっとして怖いんですか?」


「こ、怖くないもん!」


小学生が意地を張るのって可愛いよね、まぁ千代先輩は小学生じゃないんだけど…。


「純くんはラッキースケベを狙ってんじゃないの?」


ラッキースケベとは、例えば、お風呂場で鉢合わせとか、ぶつかった拍子に胸を揉むとか、そういうのだ。


「そんな要素が何処にある!」


「ひど!」


係員の人が俺たちの乗ったボートを軽く押して、滑走スタート。


「ひにゃああああ!」


千代先輩は小学生より小学生っぽい悲鳴を上げた。


着水の瞬間ボートが大きく揺れ気が付くと、千代先輩の小さなお尻が目の前にあった。

幸いというか残念というか、顔に跨るというお約束は無かった。


千歳に至っては、ボートの縁を掴んだまま後ろにひっくり返った状態で、

所謂まんぐり…ごほん…バックドロップされた人のようになっていた。


「恥ずかしい…助けて…」


っていうかどんだけ握力あんだよ! つーかプールに落ちたほうが早いって!





さぁやってまいりました、本日のメインイベントです!


順番は、さくら、俺、さつき先輩の順でお願いしたら、快諾してくれた!

じゃんけんじゃねーのかよってツッコミはスルーだ。


係員の人が俺に敬礼しながらボートを押してくれるので、俺も返礼しながら滑走していく。

なんか格好よくない?


「わぁー!」


さくらが歓声をあげる、顔が見えないけど、おそらく満面の笑顔だと思う。


着水するとボートが大きく揺れ、さくらとさつき先輩が近づいてきて、

俺の顔を両側から胸で挟むように抱きついてきた。


うん、もうこれ故意だからラッキースケベではないよね!


千代先輩と千歳の視線が痛かったが、もう死んでもいいと思った!

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