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〜52章〜 失踪



終夜「・・・」



俺は驚きを隠せずにいた


口はだらしなく開き、前を見ながらただ突っ立っていた



真夜「次は貴様が鬼だ!ほら、逃げろ」



真夜は、黒いセーラー服の上からピンクのエプロンを着用していた



あの女が・・・あんな顔で・・子供と!?


俺を土下座させた時の顔とはまるで別人じゃねぇかよ!!


陸「あれが、彼女の愛のある顔だ」



終夜「ーーー!?お前」



俺の前に現れたのは、かつて俺と戦った男だ


陸「久しぶりだな、」



終夜「・・・あの女の事、知ってるのか?」



陸「知ってるもなにも、あの女は俺の今の主人だ」



陸は抑えられない怒りの衝動を必死に落ち着けていた



貴様さえいなければ、こんな惨めな思いはしなくてすんだんだ!!


終夜「・・・そぅか」



陸「お前、あの女が好きなのか?」



終夜「はぁ?んなわけねぇよ」



陸「・・・ふん、どうだかな。今もずっと見てたじゃないか!まったく、お前には命がけで守った女がいるくせに。ハハッ、節操がないんだな」



終夜「・・・いちいち、うるせぇんだよ」



終夜は、真夜のほうを見ながら言った


終夜「あの女、なんでここにいるんだ?」



陸「お前に教える義理はねぇよ」



終夜「あっそ」



あの顔、俺の前とは違う・・・



別人?・・・まさかな、









ー東京大学ー



雄大「落ち着いて、詳しくお話下さい」



ここは、東京中央大学。台風が上陸し、いまだにその影響がでているのか外は大雨だった。そして、そこの法律サークルの扉から入ってきたのは雄大達とそう年は変わらないその外の天気と表情が同じぐらい暗い青年だった。



「彼女が、戻らないんです」



成美「喧嘩したんだろ?」



「そんなわけありません!!」



話を聞くとこの青年の彼女が失踪したらしい。警察には届けたが、男女間の事だと無下にあしらわれたらしい。そこで、無月村事件を解決し今も全国的に警察から信頼を置かれた雄大に相談にきたらしい。



雄大「・・・三日前からなんですよね」



「はい」



雄大「彼女さんに変わった事はありましたか?」



「いいえ」



雄大「んー、そうですかぁ」



雄大がアタマを抱えていると鳴がパソコンを持って近づいてきた


鳴「これ見て」



雄大「ん?」



パソコンには、女生徒失踪、女性OL謎の消失、などなどぎっしりと書かれていた


鳴「最近、ここら辺で連続的に起きている失踪事件」



雄大「つまり、」



鳴「関係がありそうね」



成美「しかもこれって、女ばっか狙われた犯行だな」



雄大「お力になれるかは分かりませんが、全力を尽くします」



「ありがとうございます」








あの青年が帰ると、雄大、鳴、成美の三人は会議を開いた。いつも通り、西は来ていない。奴は来てる方が珍しいくらいだ。



雄大「さて、どう思う」



成美「んー、今んとこさぁ。さっぱりなんだよねぇ」



確かに成美の言うとおりである。この事件に警察は捜査をしているが、実際には形だけのように雄大には映っていた。



成美「犯人はやっぱ男かなぁ」



雄大「なぜそう思う?」



雄大は、あえて聞いた


成美「女の子攫うなんて男の犯行だろ」



雄大「そうとは限らない。女性の確率もある」



鳴「問題は、これね」



鳴は、スクリーンにパソコン画面を映し出した


鳴「一番最初に失踪した女性が既に三ヶ月をすぎている事。しかも誰一人として見つかってない」



成美「あーー!!わかんねぇよ」



雄大「・・・失踪か」












東京からそれほど遠くない森の奥の洋館



その洋館からは、バロックバイオリンの音色が聞こえてくる。



「随分と機嫌がいいんだな」



男の顔は暗くて見えない


「えぇ、この館。まさに私に相応しい」



「ハーレムでも作る気か?」



男はバイオリンを掃除しながら笑った


「えぇ、そうですよ。この世の至福とはなんでしょう?そぅ、愛です。では、男にとってそれをくれるのは?勿論、女性だ」



「ほぉ、」



「あの麗しい顔、甘い果実のような柔肌、艶やかな髪、ーーー」



男は続けようとしたが、それを遮る


「どおりで、好みが偏ったわけだ。皆、容姿が美しい女ばかりだな」



「当然でしょう、美しさこそすべてですよ」



「私との契約、忘れるなよ」



「勿論です、悪魔様」

















雄大「偏ってるな」



成美「ん?」



雄大は、スクリーンにうつしだされた被害者を指差した


雄大「皆がみな、美人だ。しかも、全員黒髪だな」



成美「んー、まぁそぅか」



鳴「犯人は、面食いで黒髪好き」



雄大「・・・鳴、気をつけろよ」



鳴「え?」



雄大「お前は容姿も良いし黒髪だ。失踪した女性との共通点が多い」



鳴「あら、心配してくれるのね」



雄大「当然だ」



成美「とりあえずは情報集めようや!」



鳴「そうね、今のところなんの手がかりもないんだから」



雄大「俺は、警察にいって来るよ」













ー東京第一警察署ー



雄大「どうも」



熊谷「おぉ!!雄大君じゃないか!!久しぶりだねぇ」



中年太りがまんまこの男を表すというくらいの男


熊谷滝尾くまがいたきお、東京第一警察署に勤務する三十代後半の男で、雄大には何度も事件解決の世話になった。無月村の件での国分は、熊谷の元上司であるため雄大との初対面時から雄大の力量は既に聞かされていた。ちなみに、雄大がパンドラを追い詰めた事は知らない。



熊谷「どしたの~?わざわざこんなとこまでさぁ」



雄大「最近この辺の連続女性失踪事件について聞かせて頂きたいんです」



熊谷は、焦るように警察署の裏まで雄大を引っ張っていった


熊谷「ちょ、しーしー」



熊谷は、指を立てて口に持っていってそれは喋るなという合図を送っていた


雄大「どういう事ですか。今回の事件も警察は追っているはずですよね」



熊谷「まぁ、そうなんだけどね。上がねぇ」



雄大は、その一言で納得した


雄大「また、ですか」



熊谷「ははは、まいるよねぇ」



つまりは、数値を下げたくないためだ。事件未解決数を増やせば本部の心象は悪くなる。そのため、この事件は東京第一の管轄ではありません。という姿勢を崩したくないのだ。勿論、それで問題が後で発覚した場合の処分は何十年と積み上げたものを瓦解させる。



雄大「今はどこが?」



熊谷「管轄なすりつけだねぇ、第一と第二、後は中央も争ってんじゃないかなぁ。こういっちゃなんだけどさ、遺体とかなら管轄は分かりやすいんだけど、失踪となるとねぇ」



雄大「・・・」



またか、この腐敗した制度・・・


警察には、熊谷さんみたいな立派な人もいるのに、内部の統制だけでこんなにもなってしまうのか



雄大「分かりました。他の方には喋りません。熊谷さんだったら調べてるはずでしょう?」



熊谷「雄大君には、かなわないなぁ」



熊谷は、これは内緒で頼むよと言い教えてくれた。








ー東京大学ー



成美「で?その洋館ってどこなのさ」



雄大「ここからさほど遠くはないところにあるらしい。」



鳴「洋館」



熊谷さんの話によると、失踪事件があった場所でこの付近だと仮定した場合、それだけの多くの女を人に見つからずに連れ込めるのは数カ所あるという。人気が無く、外界と隔絶された場所の一つがその洋館だった。






成美「ま、いってみっか!」




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