〜47章〜 学園祭
七月上旬
クソ暑い日が続いている。
そんななかで、学園祭なんてものが行われるなんてこの学校は馬鹿なのか?
今馬「来たな、夜羽。準備をサボったことに僕はなにも言わない。いつまでもひきずったその気持ちを今日ここで拭っていくといいさ。」
終夜「そりゃどーも。」
俺が落ち込んでる理由か。
麗の死
三四の正体
雄大の重傷
終夜「・・、はぁ。」
さて、どこから見ようかなぁ。
・・・しっかし、こうやって見ると怪しい店ばかりじゃねぇか。
こんなものに時間を使う連中の気がしれないなぁ
綾乃「終夜くん!!」
終夜「ぁー、綾乃さんーーー!?」
俺が綾乃さんを見た瞬間隣に見えたもの
三四「ん?なに幽霊見たみたいな顔してるのよ。」
終夜「お前、・・・どうしてここに。」
三四「あたしがここにいるのはあたしの勝手でしょ。」
終夜「そんなことをいってるんじゃねぇえ!!!」
思わず怒鳴ってしまった
綾乃さんが俺にびくついている。
心が痛い。
三四「綾乃、ごめん。終夜とちょっと話してくるね。」
綾乃「うん、」
建立大学屋上
風が気持ちよく俺の体を通っていく
そういえば以前ここで麗ともめたこともあったな。
終夜「説明しろ。」
三四「・・・まぁ、そうよね。」
三四の髪が風になびいた
どこか悲しそうな瞳で話だす姿は俺の心をぐちゃぐちゃにする。
三四「一年前の話よ。世界は貴方と雄大と警察が救ったの。」
終夜「それは聞いた、覚えてねぇけどな。それよりお前はどうして犯罪組織なんかに入った!?」
三四「なんか・・・か。そうよね、他人には自分が大切に思ってる物の価値なんて分かりっこないものね。」
終夜「・・・、」
三四「あたしがパンドラに入ったのはこの世界に対して疑問を感じたからよ。」
終夜「疑問・・・だと?」
三四「終夜と出会ったのももう随分と前なのよねぇ。ふふふ、なんだか凄く最近のようにも思えるけど。」
終夜「教えてくれ!!一年前の事を!!」
三四「教えるもなにもあたし自身事件の渦中にはいたけど、全てを知ってるわけじゃない。」
終夜「・・・そぅか。なら、これだけでも教えてくれ。雄大とは何故今でも友人関係でいられるんだ!?あいつは俺と違って記憶をなくしてなんかいないだろ?」
三四「記憶なんて雄大には関係ないと思うよ。あたしはパンドラの中でもクイーンに位置する人間。素顔を知ってるのはパンドラ内でも一部。この世の中でもごく一部。つまり、終夜はクイーンの正体を知る数少ない人物ってところね。」
終夜「つまり、雄大はお前がパンドラのメンバーだと知らないと?」
三四「えぇ、一年前も結局あたしは雄大と直接の対峙はなかった。」
終夜「・・・なるほどな。」
合点がいったぜ。
雄大がこの事を知ってたらあいつは必ず三四を捕まえるだろう
終夜「お前はこれからーーー、」
三四「ねぇ、終夜。」
終夜「な、なんだよ。」
三四は俺の言葉を遮るように喋りだした。
三四「あたしはね、許せないの。」
それがなんなのか
どうして、何故、
疑問が頭を駆け巡るが聞けなかった
三四「地獄の黙示録って知ってる?」
終夜「なんだ、それ。」
三四「パンドラでも正確な情報は掴めていない。けど、奴等は相当危険よ。」
終夜「危険、・・・」
三四「そして、奴等はーーー」
水葬「おーい、終夜!」
終夜「水葬、ーーー!?」
水葬「なにやってんだよ、お前は今日楽しまないといけないんだぞ?」
終夜「わかってるけど、」
三四「・・・。じゃあね、終夜」
終夜「ぁ、あぁ。」
水葬「ほら、行くぞ。」
三四はそそくさと出て行き、俺たちも下に降りた。
地獄の黙示録
パンドラ
三四の言いかけた事は、なんだったんだ。
「なんになさいますか?」
終夜「え?」
水葬「ほら、なに頼むんだよ?」
気がつけば食い物の店の前に来ていた
終夜「あ、焼きそばひとつ。」
「毎度あり~!」
ズルズルズルズル
ま、学祭の焼きそばも悪くはないかな
水葬「あ、あそこの女の子すげぇ可愛いな。」
終夜「ふーん、」
水葬「ほら、見ろって!他所向いてないでさ!」
終夜「ん~?ーーーーーー」
ズキッ
頭が一瞬殴られるような痛さに襲われた
水葬「な?可愛いだろ?」
ーーーーーーーーー!!!!!
終夜「ーーー、あの女!!」
あの黒髪、あの制服、間違いねぇ!!
水葬「おい!終夜!!焼きそば落ちたぞ!!」
あの時、ーーー
?『助けてあげようか、終夜。』
?『知ってるよ。夜羽終夜くん。』
終夜「待てよぉぉおお!!」
「ーーーん?」
間違いない、あの時の女だ!!!
終夜「お前、どうしてあの時俺を三四に合わせた!!」
「・・・はぁ?」
終夜「すっとぼけんなぁ!!てめぇが奴等と手を組んでるのかそれとも別の何かなのか教えろ!!」
「さっきから、なにを言っている。」
終夜「ーーーな!?」
「貴様、そもそも無礼であろう。初対面の相手に怒鳴りつけるなどと。」
なんなんだ、この冷たい目は。
顔も別人のように怖い。
俺とあった時は、もっとにこやかで優しい感じだった
別人ーーー?
終夜「お前、双子とかいるのか?」
「何故貴様にそのようなことを言わねばならない。私は今、機嫌を損ねているのだ。無論、貴様が怒鳴ったからだ。」
終夜「・・・」
どうしてこんなにも話が噛み合わない?
何故だ?
驚きを隠せない俺をよそに、その子に黒服の男が近づいてきた
「探しましたよ、真夜様。」
真夜「あぁ、すまない。こいつが言いがかりをつけてきたのだ。」
終夜「な、・・・ふざけるな!!お前は誰なんだよ!!」
真夜「ふふふっ、この私に向かってお前だのてめぇだの、無礼な奴だ。」
その女は俺を指差して言った
真夜「私は黒神首相の娘、黒神真夜だ!」
終夜「し、首相!?」
「真夜様!それは一般人にはあれほど秘密にと・・・」
真夜「ふんっ、此奴が訳のわからぬ妄言を喋るのでしかたあるまい。」
終夜「・・・お前さ、」
真夜「なんだ?」
終夜「やな奴だな。」
真夜「ふんっ、くだらぬ。」
「真夜様、行きましょう」
終夜「・・・」
水葬「おーい!待てよぉ。さっきの子、真聖夜大学だな。」
終夜「真聖夜大学?」
水葬「あぁ、超頭のいい大学で才能溢れる子供か金持ちしか入れないんだと。しかも、頭のいいのは前提で。」
終夜「真聖夜大学か、」
そこに、なにか手がかりがあるかもな、