~4章~ 追憶の欠片
終夜「ふぅ~」
あの刑事たちから色々聞かれたあと俺は地元に帰ってきた。
ブーブー
白と黒のモノクロの部屋に俺のケータイの着信音がなる。
終夜「はい。」
雄大「よぅ、元気か?」
終夜「まぁな。」
雄大「久々に飯でもどうだ?」
終夜「いゃ、今日は遠慮するよ。」
雄大「そうか・・・それじゃあまた誘うよ。」
終夜「なぁ雄大、もし友達が間違った道に走った場合お前ならどうする?」
雄大「俺なら殴ってでも元に戻す。」
終夜「はは、お前らしいな。」
でも、それは自分の考えで人を正す・・・エゴなんじゃないか?
雄大には言えない。それを言うことそのものが、俺自身のエゴにつながるから。
終夜「ありがとう。」
雄大「気にすんなって友達だろ俺ら。」
終夜「バーカ、親友・・・だろ?」
雄大「だな。・・・わり。」
ピッ・・・
そうだよな・・・雄大、それがエゴだとしても友だちが友達を助けるのにエゴとか理由とかいらねえよな。
お前はそれをわかっていて俺に言ったんだよな・・・。
終夜「よし。」
AM2:25 無病ヶ丘公園
ザク・・・ブシューー・・クシュルウウウウ・・・ブチッ・・
?「ハクぁーーーハァハア。」
終夜「やっぱりか、・・・。」
俺は、今地元からまた学校近くまで来ていた。
無病ヶ丘公園、大学からそれほど遠くはなく人通りも少ない。なるほどな、人を殺すにはもってこいってか。
終夜「そこまでだ。殺人鬼。」
月明かりがそいつの顔を照らす。
終夜「ともき・・・」
ともき「しゅ・・・なんでここに・・?」
終夜「お前、学校で警察に見せたあのバッジ・・・お前のじゃねーよな。」
ともき「かっ・・・なんで・・」
終夜「俺らの大学は男子は異形鉄筋、女子は丸鋼、それぞれ決められたマークが入っていた。お前が見せたのは丸鋼のほうだった。あれは、残り二人がなくしたって騒いでいたどちらかのものじゃねーのか?」
ともき「くっ・・・」
終夜「まぁ警察はそこまで調べる時間はなかったみたいだけど、なにせバッジがなくなってから数時間もたってなかったし真ん中に小さくあるだけだ。違いなんてほとんどわかんねー。」
ともき「それだけで俺がっ・・・」
終夜「まだあるぜ。几帳面な性格で授業に遅れることを極端に嫌っていたお前がここ最近宿題を写させてほしいと俺に頼むようになった。頻繁に・・・な。これは何かあると思って今日地元に帰る前にお前の留守中に部屋に入らせてもらったよ。鍵は返すよ、ほら。」
ともき「・・・見たのか?」
終夜「たくよーーお前今時玄関の植木の下に隠すなよなーー俺でもわかったぜ、ははは。」
ともき「・・・・・・・・・・・・見たんだな。」
終夜「・・・・・・・なんでだ?なんでお前がこんなことを・・・・、部屋にたくさん転がってたよ。お前の前に落ちている生首が何本も何本も・・・。」
ともき「14体・・・・・俺が今まで殺したバカどもの数だ・・・。」
終夜「ば・・・か・・?共だと」
ともき「あぁ、ここに転がっているあほもよく見ろ。最近ここいらをバイクで走り回りバカスカバカスカうるせーーーーーんだよ。目障りなんだよ、社会のゴミが、こんな連中のせいで本来幸せになれた人間がいともたやすく人生を終えるんだ。」
終夜「なにがあった?・・・ともき・・。」
ともき「少し昔話をしようか。」
~三年前~
ともき 高校二年生
冬の雪降る日
舞花「ともき~」
ともき「おぅ舞花!!」
俺と舞花は付き合っていた。当時の俺は国立大を受験できる学力があった。
舞花「ともきは大学どこ狙ってるの?」
ともき「ん~?わかんね、国立は百パー。」
舞花「はは、嫌み~。」
ともき「るせ。」
ビシビシビシビシビシ
舞花「なんでチョップするのよ!!」
ともき「なんでかな~?なんでだろ~?」
舞花「も~待ってょともきー!!」
こんなのが俺の日常だった。
くだらなくもあり、とても大事な日々。
舞花「あ!!これほしい。」
ともき「あ~いたチョコ百円?買ってやろうか?」
舞花「ともき、そっちの駄菓子屋じゃなくてこっち!!」
ともき「見えないな~何にも見えない~!!」
ガスッ
ともき「いってぇー」
舞花「こっちだってば!!」
ともき「知ってるし見えとるわ~!!でもなにこの額?四万七千円?高すぎるわばか。」
舞花「付き合った記念なのに・・・」
ともき「なんで女って記念日とかにうるせーんだよ。」
舞花「なにそれ」
ともき「は?」
舞花「大切じゃないの?私のことが」
ともき「んなこといってねーだろ!!なんで感情的になるかな~?」
舞花「ともきはいつもそんなだよね!!もぅいい・・・帰る。」
ともき「~~~~~~~~っあーーーーなんなんだよ。自己中心的な思考しやがって。」
ま、俺もか。
ともき「無理すッか。」
ー 翌日 ー
友人「お前さー女心わかってねーよな。」
ともき「るせ。」
友人「今まで舞花ちゃんに何度助けてもらったよ?」
ともき「は?飯はいつも俺が出してるし勉強だってテスト前には俺が・・・。」
友人「は~ぁ。そんな、【物】より大切な物があるだろ。精神面で助けてもらっただろ。」
ともき「・・・まぁな。」
友人「買ってやったらよかったのにょ。」
ともき「買ったよ。俺がバイトで怒られたりしたときとか、抱き締めてくれたしよ。まぁ、甘えさせてくれて感謝してんだよ。だから、買った。」
友人「最初からそうしとけば・・」
ともき「けどあいつもムキになるからよ。」
友人「行ってこいよ。舞花ちゃんのクラス。」
ともき「おぅ!!」
友人「て、授業始まるぞ!!」
ともき「それまでに戻ってくるよ!」
友人「・・まぁ無理だろ。にしても、喧嘩するほど仲がいいってか。」
ガラーー
ともき「舞花いる?」
生徒「涼風さんなら今日はお休みしてるよ。」
ともき「マジで!!」
キーンコーンカーンコーン
先生「おぃ授業始まるぞ。自分の教室に戻りなさい。」
ともき「先生俺今日早退します。」
先生「なにー?なんでだ?」
ともき「腹痛ッス」
たく、休みやがって。
ともき「はぁはぁ、たくっ、体力ねーな俺も。」
ピーンポーン
舞花姉「はい?」
ともき「舞花いますか?」
舞花姉「うん。いるよー上がってあがって。」
ともき「お邪魔しまーす。」
舞花姉「おぅ。久々だね、ともき。なんかあの子昨日から元気無くてさ元気付けてやってよ。」
ともき「うぃーす。」
俺のせいとは言えず。
コンコン
舞花「はい。」
ともき「俺だけど入っていいか?」
舞花「・・・ぅん。」
ガチャ
舞花の部屋は白系色の色が多く所々ピンクが入っている。
女って白とかピンクとか好きだよねー。
ともき「大丈夫か?」
舞花「うん。ありがとう。」
全然大丈夫じゃない。顔色も悪いし。
無理しやがって。
ともき「ほら、アイスクリーム食べるか?」
舞花「食べる。」
ともき「ミルクとイチゴどっち食う?」
舞花「イチゴー。」
ともき「はい。」
舞花「スプーン重たい。食べさせて。」
ともき「は~?」
舞花「口移しで。」
ともき「へょふぉさ!!!!!」
舞花「冗談だよ、ともき焦りすぎだょ~ふふ。」
ともき「たく、・・・ほら、あーんしろって。」
舞花「あーん。」
パクパク。
舞花「・・・昨日はゴメンね。私自分勝手だったよね。」
ともき「まぁ、いつものことだけど。」
舞花「ゴメンね。」
ともき「舞花、仲直りのキスしよ。」
舞花「風邪移っちゃうょ。」
ともき「かまわねーよ。ほら。」
舞花「・・・ん。」
ともき「仲直り・・・だな。」
舞花「ともき、これからもずっと一緒にいてね。」
ともき「当たり前だろ。俺たちは、・・・」
ガバッ
舞花「キャッ」
ともき「ずっと一緒だよ。」
舞花「いきなり抱き締めないでょ。ふふ、・・・チュ。」
ともき「ほ、ほッぺにチュウは反則だろがー。」
舞花「ともき顔色赤いよー。風邪移しちゃったかなー?ふふふ。」
ともき「分かっててやってんだろ。・・・たっくよー、・・・好きだぜ舞花。」
舞花「私も、大好き。」
ともき「はい。俺達の記念日を祝してプレゼント。」
舞花「買ってくれたの?ありがとう。一生大事にするね。」
ともき「あぁ。」
この指輪が舞花を笑顔にするならバイト代1ヶ月分でも痛くねーか。
舞花「へへ、似合うー?」
ともき「あぁ。とっても似合うよ。」
舞花「ありがとう。ふふ。」
こんな日々がずっと続けばいい。
心底そぅ思った。
あの日までは・・・