〜13章〜 エンジェル・ダスト
氷夜「な・・・」
終夜「ッ!!・・・カハッ」
血が・・・
前原「ち、中止!!中止です!!」
雄大「銃声?」
観客「うわーーーー、な、ななん、だ?」
アレス「はい。これで完成。ン・・・クククク、見ていてくれましたか?あぁ~我等がクロノス」
氷夜「早く!!病院へ!!」
ガーーーー
雄大「終夜!!」
三四・彩乃「キャーーーーーーー。」
俺は・・死ぬのか?
ピーーポーーピーーポーー
雄大「俺の・・俺の所為であいつは・・、うぅ。」
前原「雄大君のせいじゃないよ。これは、仕方のないこと。」
氷夜(彼が手術室に入ってからずいぶんたつな、まだかかるのか)
氷夜「雄大君、今回のことを話しておきたい。」
前原「ちょ、氷夜さん。今は・・・」
雄大「いぇ、やりましょう。」
氷夜「よし、じゃあ場所を移そうか」
三四「雄大・・・」
雄大「三四と彩乃さんはここで終夜のそばにいてあげて」
三四「う・・ん」
氷夜「じゃあやはり、あれは犯人の計画通りというわけか」
雄大「えぇ、俺があの球の中身をエンジェル・ダスト、と決めつけると分かっての犯行です。」
氷夜「警察が、一般人を撃つことで警察の信頼を地に落とそうとしたわけか。」
氷夜「つまり、敵は」
雄大「えぇ、間違いなく一年前に俺と接触したパンドラのメンバーです。」
前原「待ってください。なんなんですか、パンドラとかエンジェルなんとかとか、」
氷夜「人類史上類をみない大量無差別テロ、一年前に起きたあれだよ」
前原「しかし、あの事件のリーダーは捕まったんでしょ?」
氷夜「確かに、リーダーは捕まった。けど、我々警察はリーダー以外の人間を捕まえてはいない。」
前原「そんな・・でも、ニュースではあの組織は全員捕まったって。」
氷夜「・・・脅されたからさ。」
前原「まさか、」
雄大「パンドラのことを少しでも情報をもらしたら世界中に核弾頭を打ち込むと、そして各国からしたらそんな組織をいつまでも野放しにはできない。しかし、ありのままを伝えるわけにもいかず・・・」
前原「それじゃあ、」
氷夜「世界のお偉いさん方が考えたシナリオが、世界協力型の虚偽事実。」
前原「そんな・・ことが、国がそろいも揃って国民に嘘を」
氷夜「それしか方法はなかった!!」
前原「雄大君は?これを知ってもこの国に、いやこの世界に正義があると?」
雄大「俺は、分からない。ただ、人を助けるための苦しんだ末の方法なら仕方がないと思う。そして、今がパンドラを一網打尽にする時です。再び、パンドラの存在が世にでるようなことがあれば世界は再びパニックに陥るでしょう。」
氷夜「国民からの国の信頼も地に落ちる。」
前原「じゃあ、エンジェルなんとかって」
雄大「エンジェル・ダスト。一年前の大量殺人に用いられた化学兵器の名です」
氷夜「それを吸ったものは、全身に赤い蕁麻疹のようなものができ、身体の各所から血が吹き出て意識を失う。そして、」
前原「・・・」
氷夜「見境なく人を襲う殺戮人形へと変わり、人を襲いまくって24時間後絶命する。」
雄大「最悪だよ」
前原「解毒剤は?」
氷夜「ない。」
前原「嘘だろ・・・」
氷夜「そして、地下に幽閉されているパンドラのリーダークロノスが我々の切り札だ。」
雄大「やつら、血眼になって探してると思いますよ。」
前原「にしても、よくそんな組織のリーダーを捕まえましたね。」
氷夜「それを捕まえたのが田辺雄大、前原の横にいる人物だ。」
前原「えー!!」
雄大「・・・。」
氷夜「そして、この事は世界中の警察でもごく一部しか知らない。他言無用だぞ。」
前原「はい。」
カタカタタタタタタ・・
アレス「進んでいるのか?」
?「えぇ、問題ないわ。それより、クロノス様は何処にいるか分かっているの?」
アレス「まぁ待てよ、じきにわかる。」
ガーーーーーーー
手術室のトビラが開いた。
三四「終夜は!?」
医者「やれるだけはやったさ。あとは、本人次第だな。」
雄大「終夜・・・・・」
前原「雄大君、我々はこれで」
雄大「はい、ありがとうございました」
そうして、終夜は目が覚めないまま一週間が過ぎた。