第五十話 永遠の響き
倉庫の中は、朝の光が差し込み、微かに舞う埃が静かに揺れていた。
エリシアは楽器を抱え、弓をそっと置く。
肩の重み、顎当ての冷たさ、指先に残る弦の跡。
音はもう出ない。
しかし胸の奥で、共鳴の終着点が永遠の響きとして静かに生き続けていた。
楽器の木肌はわずかに揺れ、指先に残る感触は音ではなく存在そのものの記録。
長年の触れ合いと弾かれた痕跡が、エリシアの体と呼吸に寄り添い、胸の奥で永遠の響きを作り出す。
低い声の人物が倉庫の奥で影だけを浮かべる。
肩幅、背筋、長い指先の微細な動きで空気を揺らす。
目は暗がりに沈み、感情は読み取れない。
存在感だけで場の中心を支配し、永遠の響きを見守る。
「これが永遠の響きだ」
低く響く声が空間を震わせる。
音としてではなく、振動として胸に届く。
楽器を通して、エリシアの胸の奥に旋律・光・影・心が完全に一体となった響きが、永遠に残る。
エリシアは目を閉じ、深く息を吸う。
木肌の温かさ、肩の重み、指先の感触。
音はなくても、胸の奥で響きが永遠に生きている感覚が満ちる。
影が一歩近づく。
肩の傾き、背筋の角度、指先の微細な動き。
問いかけと答えを紡ぐ微細な振動が、光・影・楽器の木肌と交わり、胸の奥で永遠の響きを形作る。
朝の光が木肌に差し込み、影が床に揺れる。
弓を置いた手の感触、木肌の揺れ、影の動きが重なり、音はなくても胸の奥で永遠の響きが確かに生きる。
エリシアは微かに微笑む。
肩の重み、指先の感触、木肌の温かさ。
音はなくても、永遠の響きが胸の奥で確かに生きていた。




