↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討ち、愛しき仲間たちと世界を救う~  作者: ざつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/71

第十八話:酒呑童子との対決 -1

挿絵(By みてみん)



幹部鬼との激戦を終え、太郎たち一行は、禍々しい瘴気に満ちた鬼の城を進んでいた。


城内は薄暗く、不気味な静けさが漂う。彼らの足音だけが、ひっそりとした廊下に響き渡る。

廊下には荒々しい鬼の足跡が残り、壁には血痕のような模様が刻まれている。瘴気は彼らの肌をひりつかせ、呼吸をするたびに肺が重くなるような不快感があった。


しかし、彼らの瞳には、疲労の色よりも、父の仇、そして世界の混沌の元凶を討つという、揺るぎない決意が宿っていた。


「ここが……この島の主、酒呑童子の居城か。想像以上に、不気味な気配だ……」


太郎は、槍を固く握りしめ、前方の闇を見据えた。彼の全身から、微かな神力が溢れ出し、瘴気をわずかに押し返している。


「邪気が濃い……気を引き締めてください、若様。この城全体が、酒呑童子の魔力に覆われているようです」


黒鉄は、太郎の隣に立ち、周囲を警戒した。彼女の琥珀色の瞳は、闇の中に潜む危険を探ろうとしていた。刀の柄を握る手が、微かに震える。


「なんか、ゾクゾクする~! 背筋が凍るような感じだよ~! でも、ちょっと楽しみかも! どんな鬼が待ってるかな~?」


琥珀は、身をすくませながらも、好奇心に目を輝かせた。その小さな体が、期待に微かに震える。


「この静けさ……かえって不気味ですね。いつ、どこから襲われるか……。魔力探知も、この瘴気の中では困難です」


天音は、冷静な声で指示を飛ばした。彼女の白い羽が、微かに緊張に震える。弓を持つ腕に、力が漲る。


『皆さま、体力の消耗が激しいです。回復に努めますが、この瘴気は、精神にも影響を及ぼします。心の乱れが、命取りになるでしょう』


葛の思考が、太郎の心に響いた。彼女は、魔法陣の光を強め、仲間たちを後方から支えた。



◆



ついに玉座の間へとたどり着く一行。

重厚な扉が、軋む音を立てて開かれると、彼らの目の前に広がったのは、圧倒的な威圧感を放つ空間だった。


広間の中心には、巨大な骨でできた玉座が鎮座し、その玉座には、鬼の首領、酒呑童子が不敵な笑みを浮かべて座っていた。


彼の体からは、これまで感じたどの鬼よりも濃密な邪気が放たれ、部屋全体に重圧がのしかかる。その瞳は血のように赤く、明確な知性と、圧倒的な殺意を宿していた。


「よくぞ来たな、人間ども。まさか、この我の居城まで来るとはな。愚かな……」


酒呑童子の声が、広間全体に響き渡る。その声は、聞く者の心を恐怖で支配するかのようだった。


「貴様が……酒呑童子か。父の仇……!」


太郎は、槍を固く握りしめ、酒呑童子を見据えた。彼の瞳には、激しい怒りが宿っている。


「でけぇ鬼だな! これが、鬼の首領ってわけか! 俺の斧が唸るぜ!」


八重は、豪快な笑みを浮かべ、斧を構えた。その瞳には、強敵との戦いへの闘志が宿っている。


酒呑童子は太郎の槍に刻まれた桃の紋章を見て、太郎の父の姿を思い出す。

彼は太郎を嘲笑し、父が討たれた際の惨めな抵抗を語り、太郎の怒りを煽る。酒呑童子の言葉が、太郎の心を深くえぐる。


「ほう……その槍の紋様……見覚えがあるな。かつて、我に挑み、惨めに散っていった男と同じ紋様だ。貴様、あの男の息子か? 愚かな……息子まで、我の前に現れるとはな」


酒呑童子の声が、嘲るように響き渡る。彼の瞳は、太郎の父の最期の姿を思い出すかのように、冷酷に輝いていた。


「貴様……! 父を……! よくも……!」


太郎の全身が、怒りに震えた。槍を持つ手が、白くなるほど強く握りしめられる。彼の脳裏には、父の最期の姿が鮮明に蘇る。


「ははは!あの男は弱かった。我の金棒の一撃で、塵と消えたわ! 貴様の父など、我の敵ではなかった! 貴様も、すぐに同じ道を辿るだろう!」


酒呑童子は、下卑た笑みを浮かべ、巨大な金棒を床に叩きつけた。その衝撃で、広間全体が微かに揺れる。


その時、黒鉄が一歩前に進み出た。その琥珀色の瞳には、若様への忠誠だけでなく、父と兄の仇である酒呑童子への、燃えるような憎悪が宿っていた。


「酒呑童子……! 貴様は、私の父と兄の仇でもある! 若様、どうか、この黒鉄に、先陣をお任せください! この恨み、必ず晴らします!」


黒鉄の声は、静かだが、その中に確かな怒りが込められていた。彼女は、刀の柄を強く握りしめ、酒呑童子を睨みつけた。


「若様……!」


黒鉄が、驚きと心配の声を上げた。彼女は、太郎が一人で酒呑童子に挑もうとしていることに、焦りを覚えた。


「待て、黒鉄。その気持ちは嬉しい。だが、これは俺の戦いだ。父の仇は、俺が討つ。そして、この鬼ヶ島に、俺が責任を持って光を取り戻す。お前を危険な目に遭わせるわけにはいかない」


太郎は、静かに黒鉄の言葉を遮った。彼の瞳は、酒呑童子を真っ直ぐに見据えている。その声には、父の仇を討つという個人的な使命と、神としての責任感が込められていた。


「若造、一人で突っ込むな! 俺たちもいるぜ! まとめてぶっ飛ばしてやるぜ!」


八重は、豪快な声で太郎を叱咤した。彼女の瞳には、太郎への心配と、強敵への闘志が混じっていた。


「太郎殿、無謀です! 酒呑童子の力は、これまでの鬼とは格が違います! 一人で挑むなど……!」


天音は、冷静な声で太郎を止めようとした。彼女の白い羽が、微かに緊張に震える。


「太郎兄ちゃん、危ないよ~! みんなで戦おうよ~!」


琥珀は、悲鳴を上げた。彼女の顔には、恐怖の色が浮かんでいる。


『太郎殿……! しかし、彼の決意は固い……。この一騎打ちが、彼の力を最大限に引き出すのかもしれません……!』


葛の思考が、太郎の心に響いた。彼女は、魔法陣の光を強め、いつでも回復魔法を使えるように準備した。


酒呑童子は不敵に笑い、その申し出を受ける。彼の瞳には、太郎の覚悟を試すかのような光が宿っていた。


「ははは! 面白い! まさか、貴様ごときが、我に一騎打ちを挑むとはな! ならば、相手をしてやろう! 貴様の命、ここで絶ってやる! 父と同じように、塵と化すがいい!」


酒呑童子は、玉座から立ち上がり、巨大な金棒を構えた。その金棒からは、禍々しい邪気が放たれ、広間全体に重圧がのしかかる。


太郎は覚醒した神の力と槍術を解き放ち、先制攻撃を仕掛ける。槍が光を放ち、酒呑童子へと迫る。彼の全身から、桃色の光が迸り、広間全体を照らし出す。


「【真槍・桃紋閃】!」


太郎は、渾身の一撃を放った。槍の穂先から放たれる桃色の光が、酒呑童子の巨体へと吸い込まれるように突き刺さる。


ドン!!!


酒呑童子、最初は太郎を侮っていたが、その予想以上の力に驚き、巨大な金棒で反撃に出る。


彼の顔に、わずかな驚きと、しかしすぐに愉悦の表情が浮かんだ。

その一撃は大地を揺るがし、太郎は神速の動きで攻撃をかわす。

金棒が地面を叩きつけ、広間に深い亀裂が走った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の姫たちと世界を変える戦いへ!
■《音楽xSFxファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~(代表作)
■《ダークファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン外伝~断罪のプレリュード :黄金の残光と偽りの誓約〜
(あらすじ)
元・天才軍師候補のヒカルは、仇敵カインの謀略と人類の憎悪により「裏切り者」の濡れ衣を着せられ、処刑寸前にまで追い込まれる。人間社会に絶望した彼の前に炎の竜姫レヴィアが降臨し、救われた彼は、六人の竜姫(六龍姫)の感情をリアルタイムで把握する「絆の共感者」の異能に目覚めさせられる。
ヒカルの義務は、レヴィアの激情的な愛や、アクアの理性的な愛といった、制御不能な竜姫たちの愛の感情を音楽の和音(ユニゾン)として調律し、軍団の戦闘力へと変えること 。彼は裏切りのトラウマを抱えながら、まず古王軍(闇の竜族)との絶望的な劣勢を覆す内戦に勝利し、六龍盟約軍を完成させ、竜の世界の新たな王になることを誓うのだった。

その他の作品もぜひ!

■《冒険者ギルドのお仕事ファンタジー》鉄の受付嬢リリアンのプロの流儀 ~冒険は、窓口から始まります~
■《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド――
■メゾン・ド・バレット~戦う乙女と秘密の護衛生活~
■軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする
■スローライフを目指したい鈍感勇者のラブコメは、天《災》賢者の意のままに!!〜システィナ様の暴走ラブコメ劇場〜
■桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討子、愛しき仲間たちと世界を救う~
■異世界グルメ革命! ~魔力ゼロの聖女が、通販チートでB級グルメを振る舞ったら、王宮も民もメロメロになりました~(週間ランクイン)
■ 時間貸し『ダンジョン』経営奮闘記
■【ライトミステリー?】没落お嬢様の路地裏探偵事務所~「お嬢様、危険です!」過保護なメイドと学者と妖精に囲まれて、共感力と絆で紡ぐ、ほのぼの事件簿
■ニャンてこった!異世界転生した元猫の私が世界を救う最強魔法使いに?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。