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桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討ち、愛しき仲間たちと世界を救う~  作者: ざつ


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第十四話:雷神の試練、雷鳴の迷宮 -2

太郎は、迷宮の雷の配置や動きの中に、天界での記憶と共通する法則性を見出した。


それは、かつて彼が力の暴走を引き起こした際の、魔力の奔流のパターンと酷似していた。

チート級の洞察力で、迷宮の仕掛けを解き明かし始める。

彼の瞳に、雷光が映り込み、その法則を読み解いている。

彼の全身から放たれる桃色の光が、雷の魔力を鎮めるかのように輝き始めた。


「(苦悶の表情から一転、集中した眼差しで)……見えた! この雷は、規則性を持っている! 俺の力が暴走した時と同じ……! これなら……! この雷を、利用できる……!」


太郎の声に、仲間たちは驚きに目を見開いた。絶望的な状況から一転、彼の瞳に宿る光は、新たな希望を灯した。


「まさか、この状況で法則を読み解くとは……! 太郎殿の洞察力、恐るべし……! やはり、彼は……!」


天音は、感嘆の声を上げた。彼女の白い羽が、期待に微かに震える。


『太郎殿の洞察力は、神の領域に達しています。雷神の力の根源を理解し始めたのですね……! このまま、太郎殿の指示に従いましょう!』


葛の思考が、太郎の心に響いた。


太郎の導きに従い、仲間たちは次々と雷の攻撃を回避し、迷宮の奥へと進んでいく。彼の指示は的確で、雷撃が降り注ぐ寸前に、彼らは完璧なタイミングで回避行動を取った。それぞれのキャラクターの俊敏さや防御力が光る。


「右へ! 次は左だ! 穂積、結界を張ってくれ! 八重、雷撃を弾け! 黒鉄、雷の流れを読め!」


太郎の指示が、迷宮に響き渡る。


「おう!任せとけ! ぶっ飛ばしてやるぜ! 俺の斧で道を切り開く!」


八重が、斧を振りかざし、降り注ぐ雷撃を豪快に弾き飛ばした。その斧の一振りは、雷光を切り裂き、周囲に火花を散らす。


「はーい! お兄ちゃん、見ててね! 【小槌・結界の祝福】! みんなを守るよ!」


穂積は、小槌を掲げ、黄金の光を放つ防御結界を展開した。結界は、降り注ぐ雷撃を受け止め、彼らを雷から守る。結界の表面に、雷光が激突し、火花が散る。


「若様の指示に、間違いはない! 雷の流れを読む! この剣で、雷をいなす!」


黒鉄は、太郎の隣で、雷撃の隙間を縫うように進んだ。彼女の剣舞は、流麗でありながらも力強く、雷の猛攻をいなす。


「へへっ、雷なんて怖くないもんね~! こっちだよ~! みんな、ついてきて~! 雷神様、見てる~?」


琥珀は、雷撃の合間を縫うように素早く駆け抜け、仲間たちを誘導した。彼女の小柄な体は、雷の激流の中を、まるで魚のように軽やかに泳いでいく。







迷宮の最深部で、雷神雷牙の幻影が姿を現した。


彼の体からは、圧倒的な雷の魔力が放たれ、洞窟全体が青白い光に包まれる。雷牙は豪快な笑みを浮かべ、太郎の成長を試すかのように、強力な雷撃を放つ。


その雷撃は、洞窟全体を震わせ、岩壁を砕き、地面に深い亀裂を走らせた。その威力は、風神の風とは比べ物にならないほど、純粋な破壊力を秘めていた。


「ははは! よくぞここまで来たな、太郎よ! だが、ここからが本番だ! 喰らえ! 我の雷撃を、受け止めてみせるか! お前たちの絆など、この雷の前には無力だ!」


雷神雷牙の声が、雷鳴のように轟き、迷宮全体に響き渡った。その声には、厳しさと、しかしどこか太郎への期待が込められている。彼の瞳は、雷光を宿し、太郎たちを見据えていた。


「くっ……! なんて威力だ……! 一撃で、全てを吹き飛ばすつもりか……! これでは、防御が間に合わない……!」


太郎は、槍を構え、降り注ぐ雷撃を見上げた。その全身に、緊張が走る。雷撃の衝撃波が、彼の体を激しく揺さぶる。


「若様、危険です! この雷は、尋常ではありません! 【忠義の結界】!」


黒鉄が叫び、瞬時に太郎の前に飛び出した。両手の刀を交差させ、琥珀色の光を放つ結界を展開する。雷撃が結界に激突し、結界がミシミシと音を立てて歪む。


黒鉄の顔には、苦痛の色が浮かんでいた。結界の表面には、雷光が激しく弾け飛び、火花が散る。彼女の腕は、結界を通して伝わる衝撃で痺れ、歯を食いしばる。


「くそっ、重い……! だが、若様は通させない……! 八重殿、頼みます! この結界、いつまで持つか……!」


黒鉄の額に、脂汗が滲む。その結界は、彼女の忠誠心そのものだった。彼女の瞳は、八重に助けを求めるように向けられた。


「おう! 任せとけ! 俺が全部受け止めてやるぜ! 【剛力・金剛身】! 黒鉄、お前もそこで踏ん張ってろよ!」


八重は、豪快な笑みを浮かべ、斧を振りかざした。彼女の全身から、闘志が漲っているのが見て取れた。斧の一振りで、降り注ぐ雷撃を豪快に弾き飛ばす。その衝撃で、斧の柄が微かに震える。彼女の足元が、雷撃の衝撃でわずかに陥没した。


「八重殿、大丈夫ですか!? 無理は禁物です! その体、いつまで持つか……!」


黒鉄が、苦痛に顔を歪めながら八重に叫んだ。彼女の結界は、雷神の猛攻に耐えきれず、ひび割れが広がり始めていた。


「へっ、こんなもん、屁でもねぇぜ! お前も、そこで踏ん張ってろよ、黒鉄! 若様のためだ! 俺たちが守ってやるんだ!」


八重は、黒鉄の言葉に力強く応え、さらに斧を振り回し、降り注ぐ雷撃の嵐を叩き割っていく。彼女の体から放たれる剛力のオーラが、雷光を押し返す。


「【小槌・結界の祝福】! みんなを守るよ! お兄ちゃん、頑張って! 穂積が守るから! 穂積の結界、もっと強くなるよ! 雷神様なんて怖くないもん!」


穂積は、小槌を掲げ、黄金の光を放つ結界を太郎たちの周囲に展開した。結界は、雷神の雷撃を受け止め、彼らを雷から守る。結界の表面に、雷光が激突し、火花が散る。しかし、雷神の猛攻は止まらず、結界に亀裂が入り始める。


「穂積殿、結界が限界です! 無理はしないでください! 琥珀殿、天音殿、何か策は!?」


太郎は、結界がひび割れていくのを見て、焦りの声を上げた。穂積の小さな体が、結界を維持しようと必死に震えているのがわかる。


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