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桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討ち、愛しき仲間たちと世界を救う~  作者: ざつ


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第八話:小さな妖精と打ち出の小槌 -5

太郎は穂積の力を称え、感謝の気持ちを込めてきびだんごを差し出す。


太郎は腰に携えたきびだんごの包みを、そっと取り出した。残り少ない、母から託された大切なきびだんご。それを穂積に差し出す。その手には、穂積への心からの感謝が込められていた。


「これは、お礼だ。よかったら食べてくれ。母上がくれたきびだんごだ」


穂積は、目を輝かせ、きびだんごを受け取った。


「わーい!お団子だー!もぐもぐ…ん~!美味しい!なんだか、体がポカポカするよ!お兄ちゃん、すごいね!」


穂積は美味しそうにきびだんごを食べ、その力に「わあ、お兄ちゃんすごい!」と目を輝かせた。きびだんごの光が穂積を包み込み、彼女の周りに柔らかなオーラが漂う。


「またきびだんごで仲間が増えた~!ずるいずるい!」


琥珀は、頬を膨らませ、不満げな声を上げた。その言葉には、仲間が増えることへの喜びと、きびだんごへの羨ましさが混じっていた。


穂積は太郎を「お兄ちゃん」と呼び、懐っこく甘え始める。


太郎は小さな妹ができたように感じ、彼女を可愛がる。穂積は太郎の腕に抱きつき、離れようとしない。その小さな体温が、太郎の胸に温かく伝わる。


「お兄ちゃん、大好き!ずっとお兄ちゃんと一緒にいたいな!」


穂積の声は、純粋な愛情に満ちていた。


「はは、穂積は可愛いな。よしよし」


太郎は、穂積の頭を優しく撫でた。彼の表情は、安堵と、温かい喜びに満ちていた。


「(ジト目)…また、一人増えた。若様の周りは、いつも賑やかだ」


黒鉄は、そんな太郎と穂積の様子を眺めながら、心の中で呟いた。彼女の琥珀色の瞳は、穂積をじっと見つめている。その視線には、若様が慕われることへの複雑な感情と、わずかな嫉妬が混じっていた。


「穂積ちゃん, ずるい~!私も太郎兄ちゃんに甘えたい~!」


琥珀が、黒鉄の隣で、頬を膨らませた。その声には、穂積への対抗心が込められている。


太郎の優しさと、穂積の無邪気さに触発され、黒鉄や琥珀、天音も彼女を可愛がり始めるが、同時に自分たちが一番だとアピールも忘れない。


琥珀が穂積を抱き上げようとし、黒鉄がそれを牽制する。天音は静かに穂積の頭を撫でた。


「ねぇねぇ、穂積ちゃん、私と遊ぼうよ~!高い高いしてあげる!」


琥珀が、穂積に声をかける。穂積は嬉しそうに琥珀の腕の中に飛び込もうとするが、その前に黒鉄が立ちはだかる。


「琥珀、勝手に触れるな!若様の傍にいるのは、私の役目だ!穂積殿も、若様のお邪魔をしてはなりません」


黒鉄が、琥珀の腕を掴み、その動きを制した。その声には、若様を守る者としての矜持が込められている。穂積は、黒鉄の真剣な表情に一瞬怯むが、すぐに太郎の背中に隠れる。


「(静かに穂積の頭を撫でる)可愛いですね。太郎殿の優しさは、多くの者を惹きつけます」


天音は、穂積の頭を優しく撫でながら、静かに呟いた。その言葉は、太郎への賞賛でもあった。穂積は、天音の優しい手に、安心したように目を細める。


「えへへ~!みんな優しいね!」


穂積は、仲間たちの優しさに、満面の笑みを浮かべた。その笑顔は、まるで花が咲いたようだった。


一行は、穂積を新たな仲間として迎え入れ、共に次の試練へと向かう。


パーティはさらに賑やかになり、それぞれの個性がぶつかり合いながらも, 絆を深めていく。太郎の周りには、個性豊かな仲間たちが集まり、彼の旅路を彩っていた。


夜の野営。時刻は深夜。満天の星空の下、太郎の周りにはいつも黒鉄たちが集まる。


焚き火の炎が優しく揺れ、彼らの笑顔を照らす。太郎は皆と話しながら、仲間が増えていく喜びを感じる。冷たい夜風が吹き抜けるが、焚き火の温もりと、仲間たちの存在が、彼らを優しく包み込んでいた。


「ねぇ、お兄ちゃん!これ、大きくするね!」


穂積が、焚き火のそばに落ちていた小さな木の実を拾い上げ、小槌で軽く叩いた。すると、木の実がみるみるうちに巨大なリンゴほどの大きさに膨れ上がる。穂積は得意げに太郎に差し出した。


「おぉ、すごいな穂積!ありがとう!」


太郎は、その巨大な木の実を受け取り、感心したように穂積の頭を撫でる。


「みんながいてくれるから、俺は強くなれる。本当に、ありがとう」


太郎は、焚き火の炎を見つめながら、静かに呟いた。その声には、心からの感謝が込められている。


「若様…」


黒鉄は、太郎の言葉に、感極まった表情で彼を見つめた。その琥珀色の瞳は、深い愛情で輝いている。


「太郎兄ちゃん、照れてますね~!」


琥珀が、太郎をからかうように笑った。


「あなたこそ、私たちの光です」


天音は、静かに太郎を見つめ、その言葉を口にした。その瞳には、太郎への深い信頼と、未来への希望が宿っている。


「お兄ちゃん、大好き!」


穂積は、太郎の腕に抱きつき、満面の笑みを浮かべた。


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