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桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討ち、愛しき仲間たちと世界を救う~  作者: ざつ


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第四話:忍びの少女、琥珀と鬼との再戦 -2

二人の連携は、昨日とは比べ物にならないほど洗練されていた。


太郎の槍が鬼の動きを封じ、黒鉄の刀がその隙を突く。


鬼の猛攻を、二人は互いを信じ、補い合いながら捌いていく。鬼の爪が、風を切り裂き、彼らを襲うが、太郎は槍でそれを弾き、黒鉄は身軽な動きでかわす。彼らの動きは、まるで一つの舞のようだった。


「若様、鬼の右腕が空きました!今です!」


黒鉄の声が、太郎の耳に届く。その声には、焦りはない。


「分かった!【真槍・連撃】!」


太郎は、槍を素早く繰り出し、鬼の右腕に連続で突きを放つ。槍の切っ先が、鬼の皮膚を何度も貫き、鮮血が飛び散る。鬼は、苦痛に顔を歪ませ、怒りの咆哮を上げた。その咆哮は、森全体に響き渡り、他の獣たちを怯えさせる。


「くそっ…!小賢しい真似を…!ならば、まとめて叩き潰してやる!この一撃で、貴様らを塵にしてくれるわ!」


鬼は、両腕を大きく振り上げ、地面を叩きつけようとする。その衝撃波は、周囲の木々を根元からへし折るほどの威力を持つだろう。地面がひび割れ、亀裂が走る。


「若様、地面です!危険です!」


黒鉄が叫ぶ。

太郎は、鬼の動きを読み、黒鉄と共に素早く後方へと跳躍した。


地面が轟音と共に砕け散り、土煙が舞い上がる。

森の中での激しい攻防が繰り広げられる。

木々の葉が、風と鬼の動きで激しく揺れ、土煙が舞い上がる。

彼らの周囲は、まるで戦場と化していた。鬼の咆哮と、刀と槍の金属音が、森に響き渡る。


鬼の思わぬカウンター攻撃で、太郎と黒鉄が窮地に陥る。


鬼は、太郎の槍を弾き飛ばし、その巨体を翻して、黒鉄へと猛然と襲いかかった。鬼の鋭い爪が、風を切り裂き、黒鉄の顔面に迫る。黒鉄は、瞬時に刀を構えるが、その速さに反応が間に合わない。絶体絶命の瞬間。鬼の爪が、黒鉄の顔に触れる寸前だった。


その瞬間、琥珀は素早く動き、鬼の目に幻惑の魔法を使った。彼女は、木の枝から枝へと、まるで影のように移動し、鬼の死角へと回り込んだ。その動きは、あまりにも素早すぎて、肉眼では捉えられないほどだった。


「っと、危ない危ない!お邪魔しまーす!これでもくらえ!」


琥珀の声が、森に響き渡る。鬼の視界が、一瞬、無数の幻影で埋め尽くされた。鬼の動きが一時的に止まる。その巨体が、混乱したように揺らいだ。


「ぐっ…目が…!何だ、これは!?」


鬼が、混乱したように叫ぶ。その瞳は、虚空を彷徨っていた。


「今だ、黒鉄!」


太郎の声が、鬼の隙を突く。その声には、好機を逃すまいとする焦りが混じっていた。


「はっ!」


黒鉄は、琥珀の助けで生まれた一瞬の隙を逃さなかった。両手の刀を構え、鬼の喉元へと一気に斬り込んだ。その一撃は、これまでの全ての力を込めた、渾身の一撃だった。刀身が、鬼の分厚い皮膚を切り裂き、鮮血が舞い散る。鬼の巨体が、大きくのけぞる。


太郎も、その隙を見逃さなかった。槍を構え、鬼の心臓めがけて、渾身の一撃を放つ。槍の切っ先が、桃色の光を帯びて、鬼の胸を深く貫いた。


「ぐあああああああ!な、なんだと…!?」


鬼が、断末魔の叫びを上げ、その巨体を揺らして崩れ落ちる。

森全体に、轟音が響き渡り、土煙が舞い上がる。鬼の体は、ゆっくりと光の粒子となって消滅していく。その瘴気は、朝日に照らされ、清らかな光に変わっていくようだった。


倒した鬼を前に、太郎は森の奥、木々の上から微かに感じる気配に気づき、その方向を見上げた。その顔には、驚きと、そして感謝の表情が浮かんでいた。


「そこにいるのは誰だ!姿を見せろ!助けてくれたのだろう!感謝を伝えたい!」


太郎の声が、森に響き渡る。



木から軽やかに降りてきた琥珀は、倒された鬼を見て満足げに笑った。


彼女は、茶色の髪をショートカットにし、活発な印象の顔立ちをしている。


小柄で身軽な体つきは、まるで森に住む妖精のようだ。紺色の簡易な忍者装束が、森の木々に溶け込むように、彼女の姿を隠していた。

彼女の活発な印象の顔には、達成感と、いたずらっぽい笑みが浮かんでいる。その小柄な体からは、想像できないほどの活力が漲っていた。


「へへっ、どういたしまして!いや~、あんたたちの戦い、見てて飽きなかったよ!ねぇ、あんた、面白そうだから私も仲間に入れてよ!」


琥珀は、太郎の顔を覗き込むようにして、無邪気に仲間になることを申し出た。その瞳は、好奇心でキラキラと輝いている。


その瞬間、黒鉄は素早く太郎の前に進み出て、琥珀と太郎の間に割って入った。腰の刀に手をかけ、琥珀を鋭い眼差しで睨みつける。


「何者だ、貴様!若様に馴れ馴れしく近づくな!怪しい術を使う者など、信用できぬ!」


黒鉄の声には、明確な警戒と、若様を守るという強い意志が込められていた。彼女の琥珀色の瞳は、琥珀の全身を値踏みするように見据えている。


「え?仲間…?だが、お前は…」


太郎は、突然の申し出と、黒鉄の警戒に戸惑いを隠せない。見知らぬ少女の、あまりにも唐突な申し出に、警戒心がよぎる。


「いいじゃん、いいじゃん!私、強いよ!それに、情報もたくさん持ってるし!ほら、見ててよ!」


琥珀は、黒鉄の警戒を気にする様子もなく、自分の能力をアピールするように、くるりと一回転し、身軽な動きを見せる。彼女の指先から、微かな幻影が揺らめいた。


「ふん!そんな幻術など、若様には通用しない!」


黒鉄は、鼻を鳴らし、さらに警戒を強める。彼女の犬の一族特有の鋭い嗅覚と聴覚が、琥珀の微かな気配を探っていた。


「ねぇねぇ、お兄ちゃんたち、お腹すいてるんでしょ?私、美味しいもの持ってるよ!…って言いたいけど、私、きびだんごが食べたいな~!」


琥珀は、腹をさすりながら、太郎にきびだんごをねだった。その言葉に、太郎は苦笑いを浮かべた。


太郎は、腰に携えたきびだんごの包みを、そっと取り出した。母から託された、残り少ないきびだんご。それを、琥珀に差し出す。

黒鉄は、そのきびだんごを渡そうとする太郎の手を、一瞬、制止しようと動いたが、太郎の決意の眼差しを見て、ぐっと堪えた。


「これは、母上がくれたきびだんごだ。もし、よければ」


琥珀は興味津々でそれを受け取り、一口食べる。


「んぐっ…なにこれ!?美味しい!今まで食べたことない味だよ!それに、なんだか体がポカポカするし、力が湧いてくる!?あんたの母上、すごいね!」


琥珀は、その不思議な力と味に驚き、太郎への興味がさらに深まる。彼女の瞳は、きびだんごの持つ力に、好奇心で輝いていた。黒鉄は、琥珀がきびだんごを食べる様子を、警戒を解かずにじっと見つめていた。


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