#33 究極の選択肢と、別の答え
「け、経口!? そ、それって、つまり、あれよね? その……」
「ダスティ様。これはキスではありません。人命救助です」
「いえいえ!? 人命救助はお互いの意識がはっきりしているときにするものではないわ!?」
「では、リアム様のお命は寿命に従っていただくことになりますね。人命救助とはいえ、強制はできませんから」
「ちょ、ちょっと待って!? そんな選択肢なの!?」
わたしが救助しなければ、リアム様が早逝してしまう。
そんなことを聞いて、躊躇わないわけがない。けれど、相互に意識がある状態で行う人命救助は、最早ただのキス。
寿命が短いというのは周囲の勘違いで、実はもっと長いのでは。
そう考えたかったけれど、ご自身の身体のことはリアム様が一番良くわかっているでしょう。そのリアム様が、来春の誕生日を迎えられないかもしれないと思っている。
それはすなわち、それほど寿命が危ういということ。
「……ね、ねぇ、レディリカ。どうにか経口譲渡以外に方法はないかしら」
「経口譲渡が、一番効率が良いです。なぜなら、魔力譲渡は血液や体液など譲渡側から滲み出た魔力を摂取しないといけませんから」
「たっ!?」
今、さらっとすごいことを言わなかったかしら。
えぇ、きっとわたしの聞き違いよね。まさか、そんなことあるわけないわよね。
「体液というのは、いわゆる夜」
「ストップ! ストッッッップ!!」
またさらりと衝撃的なことを言われそうだったため、わたしは全力でレディリカの口を手で塞ぎました。
目が合うレディリカは、全く恥ずかしがっていない模様。なぜ。
わたしだけが焦っているようで、レディリカから手を離しました。
「譲渡する魔力が少なければ、血液でも良いかもしれません。ですが、研究結果によれば四属性のスキルがある方の魔力は桁違いとあります。リアム様は十六年、マナを過剰に貯めている状態ですので、寿命を延ばせるくらい放出となると、最悪リアム様が失血死します」
「失血死って……なぜ、そんなに究極の選択しかできないの。リアム様だって、今の年になるまでに婚約者がいれば……」
「リアム様は、スキルの鑑定を受けるまでは王太子として生きてきましたからね。寿命が短いとわかっている以上、未亡人を誕生させるわけにはいかないと考えたのだと思います」
「でも、それにしたって……」
リアム様は、真面目な性格なのでしょう。だからレディリカが言うことも納得できます。
ですが、それにしても、もっと他に方法があると思うのです。
リアム様の身体に過剰に蓄積された、マナを放出する方法が。
考えるのです、わたし。絶対に、何か方法があるはずです。
責任感の強い、リアム様。未亡人を生み出すわけにはいかないと、婚約者も作らない。だから、マナの放出ができていない状態。
マナの放出方法は、魔法を使うか魔力譲渡。魔法を使うと寿命が削られ、魔力譲渡は相手がいなかった。
リアム様が十六年耐えたからこそ……か、どうか、因果関係はないかもしれないけれど。
スキルで何かを召喚できる、魔描召喚士のわたしが現れた。
そこに、絶対に意味があるはず。
待って? 確か陛下は、魔力が甘い云々の前に目を輝かせていたわよね? それはいつだった?
「! わかったわ、レディリカ! わたしが、リアム様のマナを放出できるような何かを召喚すれば良いのよ!!」
「なるほど。確かにこれまで、四属性のスキル持ちがいた時代、魔描召喚士というスキルはありませんでした。ですが、その何かとは」
「それがわかったら、苦労しないわ」
「そうですね。でも、希望が見えました。リアム様は仮眠室か、もしくは所長室で仕事をしていると思います。早速相談してみましょう」
経口譲渡を回避したかったわたし。よく、思いつきました。
善は急げと、早速研究所五号棟の中にいるリアム様を捜しに行きます。
一応最後まで終わったので、八月中に最終話まで更新します。
一日に三本か四本更新しますので、ブックマーク登録をして待っていただけると安心ですヨ。




