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虐げられた魔描召喚士(マジカルートサモナー)、王兄の心を癒やす。  作者: いとう縁凛


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31/50

#31 スキル披露の後


「……以上が、わたしが今できる魔描召喚士のスキルです」

「なるほど。物を召喚できるスキルなんだね」

「今後も研鑽を積み、さらなる向上を目指します」


 陛下に、魔描用板の大きさのことも伝えました。すると陛下は、目を輝かせます。

 ちらり、とリアム様を見ると、わたしにとんでもない提案をしてきました。


「スータレイン嬢の今後に期待をしよう。それで、もう少し。個人的に話をしても良いかな」

「ネイサン」

「マジェン嬢から聞いていますよ。兄上はお休みください」


 何か言おうとしたリアム様を、陛下は既視感のある微笑みで黙殺します。

 その微笑みは、リアム様ですら回避できないようでした。諦めたように、部屋を去ります。


 部屋に残されたのは、わたしとレディリカ。そして、陛下。一体これからどんな話があるのかと、緊張して待ちます。

 すると陛下は、おもむろに頭を下げました。


「陛下!? 頭をお上げください!」


 驚き思わず陛下が話すよりも先に声をかけてしまいました。

 しかし陛下はわたしの粗相を気にせず、思い詰めたようなお顔をされています。


「……スータレイン嬢は、兄上の身体のことは何か聞いているかな」

「直接的には何も。ですが、魔法を使えるのは一日に一回程度かと。二回使うと、倒れてしまいます」

「それがわかっているなら、話は早いかな」

「話、とは……」


 陛下は、しがない男爵令嬢のわたしに、思わず息を呑んでしまうような提案をされてきました。

 曰く、リアム様の命を救ってほしいと。




 王族は、民のため国のためにスキル鑑定を十歳のときにするそうです。早くから自分のスキルを意識し、向きあい、王族として何ができるのかを考えさせるためだと。


 例に漏れず、リアム様も十歳のときに鑑定を受けました。そして下された、スキル。

「鑑定・全」だけならば、全ての情報を見れるために絶級だった。けれどリアム様はもう一つ、「四属性」を持ってしまった。

「四属性」とは、強大な力を与える代わりに、使い手の寿命を削るのだそう。

「四属性」は、これまで数回確認されていた。寿命を削るということも知られている。だから、強大な力があるのに「四属性」は英級。


 まだ十歳だったリアム様は、すでに王太子として教育を受けていたそう。

 それでも、まだ十歳だった。寿命なんて聞いてもピンとこないし、強大な力を使ってみたいお年頃。

 四属性の全てを一度に行使し、血を吐いた。


「……四属性持ちが寿命を削ると言われているのは、強大な力に対抗するため体内にマナが過剰に蓄積するから。マナ過剰症と言われているんだ」

「マナ過剰症……わたしは急性マナ超過症を発症しましたが、それとは違うのですね?」

「名前は似ているけど、全然違う」


 曰く、マナ過剰症に対策方法はないのだそう。

 急性マナ超過症のように魔力を上げなくても絶大な魔力を持ち、どれだけ使ってもマナが枯渇することもない。

 魔法を行使すれば、蓄積された過剰なマナによって身体に負担をかける状態。かといって、身体のために魔法を使わないということもできないのだそう。


 四属性のスキルを使用者が自覚すると、寝ている間もマナが蓄積されていく。

 人にはそれぞれマナを貯められる器がある。それは四属性のスキル保持者も同じ。けれど、器の大きさには限界がある。


「器の大きさ以上にマナが蓄積されたら、わかるよね?」

「そ、それは……リアム様に関わる重大なことを聞いてしまってから申し上げるのも遅いですが、なぜしがない男爵令嬢のわたしにそんなお話を?」


 質問をすると、陛下はわたしの後ろに控えているレディリカに視線を向けました。

 その視線を追ってわたしもレディリカを見ると、一瞬表情に変化があったような気がします。ですがそれは些細な変化で、もしかしたらわたしの気のせいだったかもしれません。

 首を傾げていると、陛下がお話を続けます。


「マジェン嬢から報告を受けている。スータレイン嬢は、兄上から魔力譲渡を受けた際、甘いと感じたみたいだね?」

「は、はい」

「それに、スータレイン嬢のスキルを使うためには魔力をそれなりに消費するよね?」

「はい。その通りです」

「それなら、兄上を助けると思って、毎日兄上から魔力譲渡を受けてほしい」

「……はい? えっ?? どういうことでしょうか」


 レディリカは毎日わたしと一緒にいます。それなのに陛下に報告する時間があったとは、一体どれだけ働いているのでしょうか。

 レディリカの実務時間の疑問はさておき、リアム様に魔力譲渡を――それも、毎日受けろとは。


「マジェン嬢。最近の兄上の行動は、報告にあった通りだね?」

「はい。偽りなく」

「それなら、兄上はやっぱりかっこつけているみたいだ」


 わたしには理解できない内容を、レディリカと陛下がしています。

 リアム様の行動。直近では七日の内の半分を毎日顔を見せに来てくださり、残りの半分はいらっしゃいませんでした。


 そして、七日間のわたしの活動。魔力向上のため、何度も生野菜を食べています。そしてその生野菜は、新鮮なもの。気絶している魔物をレディリカが処し、食べていました。

 レディリカの活動時間には驚くばかりですが、少なくとも毎日見ています。魔物は、市場で売られているものなのでしょうか。


「スータレイン嬢。これは王命ではなく、兄上を思う弟のお願いだと思って聞いてほしい。かっこつけの兄上を、救ってほしいんだ」


 詳細はレディリカから聞いてくれと、陛下は部屋を出ていきました。






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