#25 勘違い①
ジュリーに襲われ、その後の対応をして、何だかんだ疲れていたようです。いつも起きていた時間まで三時間ほどでしたが、そのまま寝てしまいました。
起きたときに窓の外が明るくて、驚きます。わたしは、ここまで眠れたのですね。
小部屋から外へ出ると、レディリカが待ってくれていました。誕生日の祝う言葉をもらい、礼を言います。
今後のことを決めるため、五号棟の一室を借りたそうです。
その部屋へ向かうと、リアム様とチェイミベル様がいました。
「やあ、おはよう。スータレイン嬢、よく眠れたみたいだね」
「はい。遅れてしまい、申し訳ありません」
「何も遅れてはいないよ。大体、これぐらいじゃない?」
「そういえば、リアム様も朝が早い方でしたね」
コロルの正体が不明だったときのことを思い出して話していると、チェイミベル様にとっては知らない内容だったのでしょう。
それとも単純に、片思いをしているからこその嫉妬でしょうか。
リアム様と話すわたしを、チェイミベル様が睨んできます。そのお顔は可愛らしく、激情というよりかは拗ねているというような感じでしょうか。
とはいえこのままではチェイミベル様の恋路を邪魔することになってしまうと思ったので、話題を変えます。
「リアム様。ジュリーについていた侍女の件なのですが」
「ん? どうかした?」
「その、我が家の恥を晒すようで申し訳ないのですが、今ジュリーが両親から見離されるのは可哀想だと思うのです。あの子は今、初めての拒絶に、精神的苦痛を味わっています。侍女を家に帰すということは、ジュリーの行動が明らかになりますよね? せめてジュリーが立ち直れるまでは、あの侍女をわたしが預かるのはダメでしょうか」
「スータレイン嬢は、妹さん思いだね」
リアム様が、柔らかく微笑みます。
うっかりその表情を見てしまったわたしは、一瞬思考を停止してしまいました。その一瞬をチェイミベル様が見落とさず、わたしとレディリカがいる方からリアム様を見ます。
わかりますよ、チェイミベル様。恋する乙女としては、好きな相手の全てが気になってしまいますよね。
ましてや、隣でリアム様の柔らかい声音を聞いていたのです。どんな表情だったのか見たいですよね。
図らずも、わたしを含め女性三人から視線を受けることになったリアム様。
わたしの提案を受けて何かをずっと考えています。
「……侍女の件だけど。あの子はおれのことをどう思っているんだろうね? 単純に顔が良い? それとも、立場的なこと?」
「どうでしょう。ジュリーと比べたら、まだ分をわきまえていると思います。リアム様のお名前を呼んでいなかったので。なぜそれが気になるのでしょうか」
「うん。まだ実際に試してはいないんだけど、スキルの内容がわかったでしょ? スキルは国の宝。まだ級は確定していないけど、スキルお披露目の機会を設けないといけなくて」
「それは、陛下の前でということでしょうか」
「そう。それで、マジェンにスータレイン嬢の侍女をしてもらっているんだけど……」
レディリカは、わたしの侍女兼護衛。カリカを侍女として置くのならばレディリカは護衛だけをするようになるとのこと。
ただ、カリカに関しては侍女業務はどうなのかと不安に思うところ。そしてわたしが使っていた家の敷地に侵入した目的が、何か。
単純に異性としての魅力を感じてリアム様に会おうとしたのか、王兄にも関わらず婚約者のいないリアム様の隣を狙ったのか。
カリカは確かジュリーと同じ年頃だったと思います。小さな頃から一緒にいるため、主人と従者というよりは友人に近いでしょう。
もしくは、ただ長い物には巻かれる主義なのか。
カリカがどんな考えであれ、わたしはまだ研究対象の身。チェイミベル様が傍にいることが多いです。
チェイミベル様の恋路のことを考えると、カリカを傍に置いておくのは難しいようなきもしますね。
長めなので分けました。
続きはこの後更新します。




