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第二・五章 entracte un

 ふとスマホを見ると、DMが来ている。例のフォロワーからの返信のようだ。さっそく開く。

 先日、妹と出かけた際に妹の機嫌を損ねたらしく、対応方法を泣きついてきたヤツだが、二、三アドバイスしたのがうまくいったらしい。まあよかった。

 アドバイスは三点したのだが、そのうち二つが奏功したらしい。

 普通はそれで「ありがとう」くらいで終わりなのだが、この御仁、ちょっと粘着気味なのか、残り一つにこだわりを見せているようだ。

 こっちはボランティアで方向感を示してやってるだけなのに、なんだかなぁ、って感じ。

「女子が男子と出かけるときの心理がよくわからない」、「俺は『じょにだん』だから、妹の心理を察するには経験値が足りない」、「ウチの妹は生意気で、俺に対する当たりも強くて、一般的な女子とは心理的な違いがあると思うが、そのあたりについて教えてほしい」

 はいはいはい。そうでしょうとも。自分だけが特別って思ってる。

 経験値が足りないなら、経験を積めばいい。

 何でも聞けば、相手が教えてくれると思ってる。自分では努力もしないし、ぼくの都合も考えない。

 こういう輩が多すぎる。

 ほんとさー、こっちは単なる大学一年生なんだけど。

 大学受験のストレスが強すぎて、その解消目的でジジイキャラでひと様の心理分析を囁いてたら、いつの間にか「仙人」とか呼ばれちゃってさ。

 そう言えば、このフォロワーも大学一年になったとか言ってたんじゃなかったっけ?

 こっちが大学一年生なことも察してたみたいだけど、それなら同い年なんだから、人に頼ってくんなよ。

 同じ十八年しか生きてないんだから、人生経験なんてそんなに変わらんて。それなのに「仙人、仙人」とか言って頼り過ぎだよ。

 コイツの妹も、察しの悪い兄をもって苦労してるんだろうな。だから機嫌も悪くなるんだろう。

 とはいえ、いったんボランティアで手を出した以上は、中途半端はダメなのは自分でもわかってる。

 しかたない。とりあえず「仙人様」のお勤めを果たすことにしますかね。

 

「どうやら首尾はまずまずだったようで、まことに重畳ちょうじょう

「女が男と出かけるときの心理についてじゃが、ワシが思うに、外出の目的で多少は変わってくる部分はあるにしても、基本のところ、若かろうが年嵩としかさだろうが、あまり変わらぬのではないか」

「女子は、いっしょに歩く男には、女子の感覚として最低限の清潔感や身だしなみを求めるもの」

「男同士の場合、相手の男がよほどとんでもない状態でない限り、そこまで敏感な者は少ないのではないかの」

「おぬしも心当たりがあるのではないか? いっしょに遊ぶ男友達が、不精ヒゲが生えていようがTシャツの首周りが伸びていようが、あまり気にせんじゃろ?」

「女子はそうではない。女子同士でもそうじゃが、特に一対一で歩く男子には清潔感や身だしなみを求める。男子がきちんとしてないと、女子である身として恥ずかしく感じるものじゃ」

「そういう心理は、おぬしも理解しておく必要があろう。これは男子の年齢が、女子より上でも下でも変わりがない」

「今日は時間がないので、おぬしの妹個人に関しては、また別の機会に語ることとしよう。では息災での」


 こんなものかな。でもこれを見て、今度は妹について詳しく語れ、とか粘着されたらどうしよう。めんどくさー。授業だって忙しいのに、そんなのいちいち相手してるヒマないよ。

 大学入って、自宅で受けられるオンライン授業って楽チンだ!とかと思ってたら、いやいや結構大変。

 こうなる前は授業にさえ真面目に出てればOKだったらしいけど、今はレポート書くのが必須で面倒くさいことこの上ない。

 今期のイチ推しアニメすら、まだみてるヒマがない。その他の有力作品なんかは、前期から溜まりっぱなしだし。あーあ。

 それにしてもAICを超える作品はなかなか出てこないもんだね。キャラ造形とかもそうだし、作画もやっぱり今見てもすごい。

 作画監督がまだ生きてたらすごい作品を生み出してただろうが、天国に旅立ったのは本当に残念だ。

 ああ、そういえばこのフォロワー、AICがきっかけだったっけ。一時期は盛り上がったけど、最近はさすがに新たな話題はないよねー。

 寂しいなぁ……。

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