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ネタを求めて諦めん

作者: 玉白美琴

昨今流行りのこんにゃくはき。


否、婚約破棄。


私、モドレート・ドバインシュタインはドバインシュタイン伯爵家令嬢であり、ドバインシュタイン新聞社の社長でもある。


勿論、今はネタ祭り。


私は今、エマール王立学園の卒業生で、卒業パーティーに参加しながら目を更に、耳に全神経を集中させていた。


今回の目玉は、浮気した伯爵令嬢と、浮気相手の男爵家令息が、伯爵令嬢の婚約者トゥーラ公爵令息に冤罪の断罪婚約破棄を仕掛けるらしい。


馬鹿だ。公爵令息と言えば、王家に次ぐ王位継承者。


しかも被害に合われるのは、トゥーラ公爵家次男のレイ・トゥーラ・エマール様。


兄のロイス様が嫁取りに他国へ、弟のトウマ様が侍従と共に公爵家を家出に。


しかも父である先代公爵様は他国の加勢に。


不憫で苦労人なレイ様が公爵家を継がれる。


まさに優良物件だし、文武両道。


何処に難癖付ける要素が?


エマール王国の貴族や王族には、固定ファンクラブが世界中にあり、レイ様を傷つけることは世界中を敵に回すことになるわ。


「レイ・トゥーラ・エマール!!貴方は私をいつも虐げて苛めていたわ!!今ここで断罪して婚約破棄してやる!!」


そこへ、女の声が。


間違いない。アンポンタン伯爵令嬢だわ。


「私は此処に居るセクスイ男爵令息アーホスと真実の愛を手に入れたの!!悪いけど、私は性悪な貴方なんか願い下げだわ!!」


「……ほう?ならばその婚約破棄を受け入れてやろう。だが、貴様の有責による婚約破棄でな。慰謝料も払って貰おう」


アンポンタン伯爵令嬢と向かい合った金髪の美青年は、無表情で言い放つ。


「なあんですって!?」


アンポンタン伯爵令嬢は青ざめる。


「お集まりの卒業生の皆、せっかくの卒業パーティーに我が元婚約者が台無しにしてしまって申し訳ない。トゥーラ公爵家で後日、パーティーを開くので参加して欲しい」


氷の公爵令息は、頭を下げて謝ると足早に卒業パーティー会場を後にした。


早すぎて展開追い付けん。


くっ!!淡々と終わった!!


ネタがあああっ!!


私は一人、悲しみに暮れた。


……そうだ、レイ様に今日から密着取材をしてネタを集めよう!!


私は直ぐに行動を開始した。




「帰れ。新聞社にくれてやるネタなどない」


「ぐぬっ!!」


翌日、私は公爵家にアポを取ってレイ様に会えたけど、直ぐに拒絶された!!


「だが私は諦めん!!ネタが!!ネタが私を読んでおるのじゃあ!!」


門外に出された私は決意新たに誓った。


翌日。


「帰れ、何度言わせれば気が済む?」


翌々日。


「……私の目の前から去れ、私は執務で忙しいのだ」


またまた明くる日。


「……変な奴。人の様子を見たければ勝手に見ろ。私は疲れた」


レイ様は遂に諦めて私に許可を!!


「ありがとうございます!!」


私は礼を言うと、それからレイ様に一週間密着取材をした。



一ヶ月後。


エマール王国を膨大な衝撃が吹き荒れた。


レイ様密着取材新聞が飛ぶように売れたのだ。


世界中の固定ファンクラブが、レイ様密着取材新聞を買い漁り、私達は新聞を量産するのに心血を注いだの。


そして大金を手に入れ、我が新聞社は念願の支店を増やせた!!


私がレイ様と恋人にならなかったか?


私は仕事一筋に生きるし、レイ様には既に良い人が居ると思うのよ。



ほら、噂をすれば。


買収した劇場の視察に向かう為、変装したレイ様と、隣を歩く側近のミカゲ様。


ふふふふ。


おっと涎が。


私は見るだけで満足よ。




「?」


レイは悪寒がして振り返る。


「レイ様?どうかなさいましたか?」


「いや、ちょっと寒気がな」


ミカゲに苦笑してレイは答えた。


「もしかして腐女子の妄想とかかもしれませんね。私達二人、勝手にカップリングされてるみたいですよ」


「はあっ!?訳が分からん!!」


笑ってミカゲが言うと、レイが目を丸くした。


「妄想も女子の嗜みとかみたいです」


「全く迷惑な話だ」


ミカゲが苦笑すると、レイは不満そうな顔をして人波の中に二人は姿を消した。


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