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私が告白してから二度ほどフェリシアン様と会う機会があった。
フェリシアン様の態度はいつもと同じに戻っていた。
私はほっとするような、寂しいような気持ちを持ちつつ、フェリシアン様が前と同じように接してくださるならば、私もそうしなければと思い、以前と変わらない態度で接した。
告白したあのあと、態度が固く言葉少なめだったフェリシアン様。
きっと混乱させてしまった。
『責任』を取ってなった婚約者が突然告白してきたのだから、当然といえば当然と言えた。
そこに『恋』なんて入る余地はなかったのに。
――馬鹿ね。
自分に呆れてため息を吐く。
フェリシアン様に厚かましくも『責任』以外の感情を願うなんて。
もう充分すぎるほど良くしてくださっているのに。
そばにいてくださるだけで充分じゃない。
これ以上望んだら罰があたるわ。
フェリシアン様を困らせるようなことは二度としないと、私は心に誓ったのだった。
そうして心の痛みに蓋をして、何事もなく日々を過ごしているうちに、デビュタントの日がやってきた。




