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俺は塀で仕切られた中の世界と外の世界を何度も繰り返す。

作者: 七瀬







俺は数年前は、ヤクの売人だった。

10代でグレて、当時俺の事を可愛がってくれてた先輩から

誘われてはじめた仕事。


『おい、ヒロキ! いい仕事があるんだけどやらないか?』

『えぇ!? なんすかッ?』

『“ただ待ち合わせの場所でコレを相手にお金と交換で渡すだけの仕事だ!”』

『“コレ? 中身は何が入ってるんすかッ?”』

『“ドラッグだよ”』

『薬って事すかッ?』

『あぁ、違法ドラッグだ! 出来るな!』

『・・・えぇ!? でも、これって捕まったら警察に捕まるやつでしょ?』

『当たり前だ! だけどな、金はいいぞ!』

『じゃあ、やるすッ!』

『ここに夜10時に写真のコイツが来るからコレを渡してくれ!』

『わかりました!』





俺がはじめたこの仕事は、最初は簡単にいった。

ただ、お金と交換にコレを渡すだけ。

難しい仕事じゃなかった。

それだけなのに、俺は簡単に3万円という高額な金を手に入れる。





それからというモノ、先輩は俺に本格的にこの仕事をさせた。

先輩は俺に数をこなせば、もっと金が貰えると言った。

俺は金欲しさに仕事をこなした。

一日に、30~50件近くコレをさばいた。

すると? 月に500万円ほど俺はお金を手に入れる。

10代で、このお金は物凄く大金だった。

まともな仕事でこんなお金は手に入らない。








・・・ただ、毎回上手くいく訳もなく俺は警察に捕まった。

何度も“更生”をするために刑務所の中に入れられる。

規則正しい生活を強いられる。

名前を呼ばれる事がなくなり、【俺の名前は番号に変わる】



『126番! 前に出ろ!』

『はい!』




俺は塀で仕切られた中の世界と外の世界を何度も繰り返す。

行ったり来たりの生活。

更生したい自分と心が弱い自分がいつも葛藤する。

最終的に心の弱い自分が負けてしまい、また刑務所の中。




そんな俺を助けてくれる一つの光を俺は見つけた。

俺に手を差し伸べてくれたこの男性ひとは、俺のような罪を犯した

連中ばかりを預かってくれる人だった。

俺が弱音を吐いてしまう時は、ちゃんと俺を怒ってくれた。

時には俺より先に俺の為に泣いてくれた。

愛情深いこの男性ひとも、昔俺のように罪を犯した人だと言う。




『オレはなーお前みたいな奴でも社会には必要やと思っとるんやー!』

『神鬼さん!』

『お前が死ぬ気でやり直したいんやったら? オレが何とかしちゃる!』

『・・・ありがとうございます。』

『泣くんやない! 男やろがー!』

『・・・あぁ、はい!』





心の中で俺はこう思った! 【神鬼さんだって泣いてるやないすかッ!】

でも? 俺の為に泣いてくれるこの男性ひとを悲しませたくない!

俺は【更生】をいつも誓う。



・・・でも、外の政界に出ると? 心が解放されるというか?

今までの俺と一緒に悪さをやってた友達からまた誘いのLINEが入る。

ブランド物に囲まれた裕福な生活。

勿論! その金は、ヤクを売ったお金だ!

まだ幼い顔をした男の子も数人、俺の友達と一緒に写っておりブランド物

に囲まれていた。

俺がアノ仕事をはじめた頃に近い歳の男の子達。

きっと彼らも、俺のように何度も塀で仕切られた中の世界と外の世界を

何度も繰り返すのだろう。

まだ10代という若さでだ。



世の中は、一度レッテルを貼られると? 世間の人達の俺たちのような

奴を見る目は一気に変わる!

【犯罪歴のある者だから、近寄りたくない】

無言の圧、分かりやすい攻撃、阻止する。

社会にでても、こんな奴らは所詮ゴミだと言いたそうな目。








・・・それでも俺はやっぱり【更生】したい!

俺に手を差し伸べてくれた神鬼さん。

それと、俺にも愛する女性ひとができたから彼女を悲しませたくない。

未来の新しい家族の為にも、俺は今を踏ん張って生きていく事に決めたんだ!



最後までお読みいただきありがとうございます。

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