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僕の章 第二節
まずいまずいまずい。彼に抱えられながら、僕は必死になって彼を止める術を考えていた。
まさか、自分買ってほしさにポロリと言ってしまったことに、彼がここまで執着するとは。まあ、思春期真っ只中の少年に『異世界』なんて単語を出したら、仕方のない反応かもしれないけど。
でも、本当に行くのはまずい。すごくまずい。僕もそうだけど、彼にとっても非常にまずい。
残念ながら、現実の異世界は、彼が幻想を抱いているアニメやマンガの異世界とは違う。少なくとも、来てよかったと思えるような場所ではない。何とかして彼を止めなくては。
しかし、彼の決意は固そうだ。何度か止めはしたが、全く聞く耳を持たない。本当のことを言っても信じるとは思えないし……困った。本当に困った。
そうこうしている内に、僕達はあっさりと目的地に着いてしまった。
こうなったら願うしかない。僕の予想が外れて、あの世界から脅威が取り除かれていることを。
そんなことあるはずがないと分かっているのに。