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僕の章 第一節
彼は倒れ込むようにしてベッドに飛び込んだ。
そしてそのまま、規則正しい寝息を立てる。
眠っているだけだ。そう眠っているだけ。寝息を立てているだけ。つまり、生きて眠りについているだけ。
またいつものように、あの光景が繰り返されたわけじゃない。僕はそのことに心から安堵した。
でも、油断はできない。ひょっとしたら、彼は二度と目を覚まさないかもしれない。一生、眠りについたままかもしれない。いつものように。もしそうなったら……
怖い、恐い、こわい、コワイ……
だから、油断はできない。故に、僕は待ち続けた。彼が起きるのを待ち続けた。
彼の眠りが、永久の眠りではないことを願いながら……