17/23
僕の章 第八節 孤独
……静かだ。
静寂に包まれた空間は、僕の孤独感を一際大きくした。
ずっと静寂の中に留まっていると、まるでこの世界に、僕だけが取り残されたかのような錯覚に陥る。
孤独。一人ぼっち。
慣れているつもりだった。
いや、実際のところ慣れていた。
彼と出会う前の僕には、それが当たり前だった。
彼との出会いが、僕に孤独を忘れさせた。
彼の存在が、再び孤独となった僕の気をより一層重くした。
ふと、いつの間にか彼の存在が、自分の中でかなり大きなウエイトを占めていることに気付く。
しかし、その自覚が、僕の気をさらに重くした。
分かっていたはずだった。
いずれこの時が来るってことは。
ここに戻ってきた時点で。
こうなることを半ば予想していた。
また慣れなくてはならない。
孤独でいることに。
取り残されることに。
平気にならなくてはならない。
なぜなら、彼はもう戻ってはこないから。
また僕は、孤独になるのだから。