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僕の章 第六節 困惑
ありがとう。
感謝の言葉。
それが僕の心に染み込んでいく。
ゆっくりとじんわりと染み込んでいく。
礼を言われたのは初めてだった。
僕には無縁の言葉だと思っていた。
それをソウ君に言われた時、僕は一瞬、それが自分に対して言われた物だとは思わなかった。
故に……反応に困った。
その後に自分が取った『照れる』という感情も初めてだった。
故に……それが照れるという感情なのだと、ソウ君に言われるまで気付かなかった。
けれど、その感情は……
僕にとって、決して嫌な物じゃなかった。