僕の章 第五節 決意
怖かった。
嫌われるのが怖かった。
恨まれるのが怖かった。
孤独になるのが怖かった。
しかし、同時に諦めてもいた。
これだけの目に遭わせたんだから当然だと諦めてもいた。
彼の言葉が、態度が、これまで僕に浴びせられてきたこの世界の奴らのものと同じになるのも仕方ないと諦めてもいた。
しかし、違った。
彼は謝った。
謝ってくれた。
こんな僕に。
謝る必要などないのに。
彼は何一つ悪いことなどしていないのに。
それでも彼は謝った。
不謹慎だと思ったが、それが僕には……嬉しかった。
冷たい言葉しか浴びせられたことのない僕には、その短い言葉がとてもとても嬉しかった。
友達でいてくれるかという僕の問いかけに、彼は当たり前だと答えた。
それが僕には嬉しくて、心が震えるほど嬉しくて。
と、同時に怖くもなった。
彼を失うことが怖くなった。
このままこの世界に留まれば、彼は確実に死ぬ。
この世界の現状は、どうやら悪化の一途を辿っている。
いつまでも彼をこの世界に置いておくわけにはいかない。
彼は僕の友達だ。
僕の初めての友達だ。
だから守る。
絶対守る。
どんな手を使ってでも。