プロローグ
「なあ、起きているか?」
「愚問だな。我々に眠るという概念はない。眠る必要などないのだから。稀に、極度の消耗により機能停止することもあるらしいが、こうすることがなくては機能停止したくてもできない。そして我々は、自己の判断で機能を停止することができない」
「なあ、何故我らは創られたのだ?」
「……まあ、一言で言えば、この世界に住む者達の安寧を守るため……だな」
「なあ、ならば何故、その安寧を守っている我らが、このような扱いを受けるのだ?」
「それを我に聞かれても困るな。直接聞いてみたらどうだ? もっとも、返ってくる答えは決まっていると思うが」
「それができぬことは、汝が一番良く知っているだろう」
「そうだったな。では、あきらめろ」
「…………。なあ、我らはいつまでこの扱いに耐えなければならんのだ?」
「……さあな。我には知るよしもない。永久にこのままかもな」
「なあ、何故我々には、意思などというものが存在するのだ? 意思がなければ、このような感情を抱くこともなかったのに」
「それを我に聞かれても困る。我らを創りし者達に直接聞くがいい。もっとも、彼らはもう、誰一人として生き残ってはいないだろうが」
「……なあ、我らをこのように扱う奴らを、憎いと思ったことはあるか?」
「……ある」