表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/114

王都へ

ようやく、馬車が王都にたどり着いた。高くそびえ立つ門の前に馬車を止め、ゼノン、ノア、俺の順で、馬車を降りていく。……はずだったが、俺が降りる途中で、ゼノンが馬車を消したので、顔面を地面に強打した。


「あだっ!?」


「おや、申し訳ない。コータ君ならチート転生者だから大丈夫だろう、と」


「お前俺をおちょくるの好きだろ? なぁ絶対そうだろ?」


「よく分かりましたね! ほら、好きな子にはちょっかいを出したくなる、と言うじゃありませんか」


「おうホモ路線やめろや。俺は女の子が好きなんだ!」


そう叫んだあたりだっただろうか。ノアの視線がひどく冷たくなったのは。あれは忘れもしない、悪魔祓いをする修道女の目だった。なんなら今「消え去れ。」とか言ってきてもおかしくないやつだった。


「あ、違う、今のなし。『女好き』なんじゃなくて『女の子が好き』なだけだから! ほら、恋愛対象として! 誰でもいいわけじゃないから!」


「……誰でもいいわけじゃ、ないんですか」


ノアがまっすぐに俺を見つめる。その、綺麗な瑠璃色の瞳に目を奪われ、俺はなぜか「はい」と敬語で答えていた。


「コータ君……そもそも私は、自分を『男』と言った覚えはありませんよ?」


ノアに見とれていた俺に突如、衝撃が走る。あわててゼノンの方を見ると、なんと、指を合わせて上目遣いしているではないか。


「あれ、私は綺麗な女の人に見えてたのですが……」と、ノア。


え、嘘やろ? ゼノンって女の子なん? だって男もんのタキシード着てたやん。髪もショートやん。俺ずーっと心の中で『タキシードの男』『デタラメ男』『胡散臭い男』って呼んでたんだけど?


あまりに唐突な話に、まじまじとゼノンの顔を見る。端正な顔立ちであることは知っている。だが、改めてよく観察すると、大人びているような……幼さがうかがえるような……可愛いような……カッコいいような……綺麗なような……。


あかん、こいつの顔『むっちゃ綺麗』ぐらいしか分からない。言うなれば、人類の、顔面偏差値高めの老若男女をごちゃまぜにしたような顔だ。まさか……本当に女の子……?(トゥンク……)


「まぁ超高次元の存在なんで、性別とかないんですけど」


ゼノンはそう言うと、固まったままの俺から離れていった。クソ、またおちょくられた!……と、その時。


『ちょっとアンタたちー! 何王都の前で騒いでんのよー!』


王都上空から、スピーカーを通したような声が響き渡った。


「あ、ルルカ! 私です、ノアです! 調査から帰ってきました! 門を空けていただけますか!?」


『え、嘘、ノア!? うわー、超久しぶりー! 元気してた? あ、待ってて、今門開けるね』


【ルルカ】と呼ばれたその声は、そう返すとプツン、という音を出して、途切れた。直後、重量ある摩擦音と共に、門の扉が、ゆっくりと、重々しく開いていった。


その門の先に、魔法使いのような容姿をした女の子が立っていた。ボブカットの髪を、片側だけ耳にかけ、その耳に紫色のピアスがつけられている。パッと見、中学生のような身長と顔つきをしていた。


そして、その女の子はこちらに手をあげて、はねながら言った。


「おかえり~! ノア!」


その途端、ノアがいきなり女の子の方へ駆け出し、抱きついた。


「う~ルルカぁ~! 私、すごく怖かったです~!」


「え、ちょ、どうしたのいきなり! まさかあいつらが何かしたの!?」


そう言って、キッ、と、こちらを睨み付けてきた。いや誤解だから。あとその「ちょっと男子~」みたいな目やめて? あれ陰キャにはほんと辛いんだから。


「ち、違いますルルカ! この人たちは……」


と、ノアがあわてて弁解を試みる。が、次の瞬間、ルルカの表情が険しいものに変貌した。明らかに敵意マシマシで、俺のことを見ている。そして、俺から目線を外さないまま、ゆっくりと手をあげ、指を差すと、言い放った。


「あんた、転生者でしょ。悪いけど、この王都に転生者が入ることはできないわ」


そして、そこで一呼吸おき。


「私以外はね」


目の前の()()()は、そう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ