どうあがいても絶望
今回が処女作です。拙い文章ですが、お許しください。
感想やご意見があれば是非。書くモチベーションになります。基本的には、なんとなく続けられたらいいなー、くらいの感覚で書いていきます。よろしくお願いします。
なんでだよ。
なんでこうなるんだ。
チート武器も、チート属性も、チートスペックも付与されたはずなのに。
なんで…………絶望しなくちゃならないんだよ。
燃え盛る家。そこら中に転がる、原型を留めていない屍の数々。親を殺され、泣き叫ぶ子供。正気を失い、立ったまま、空の一点を見つめる青年。この世のものとは思えない悲鳴をあげ、逃げ惑う人々。
みんな、俺の大切な人たちだ。ついさっきまで、仲良く談笑してた仲間だ。すぐそこに、首だけ転がってる少女は、羊飼いの家の娘さんで、最初に俺に話しかけてくれた。村に来たばかりの俺に、「やって来た人たちに必ず配ってるの!」なんて言って、クッキーをくれた。
その首の横に、膝をつき、手をだらんとさせて、うなだれた姿勢の遺体がある。少女の姉だ。活発な少女とは違い、姉の方は淑やかだった。微笑みを絶やさず、周りをなだめるように見ていて……。そんな、そばにいると落ち着くような女性だった。今、彼女の表情に、その微笑みはない。あるのは胸にポッカリと穴が空いた、彼女の身体だけである。
あの手足が欠損した少年も、顔が焼け焦げたおばさんも、頭の中身をぶちまけて倒れてるおじさんも……。みんなみんな、俺の大切な人たちだったのに。
信じられないほどの悔しさと、後悔が押し寄せる。自分の意識がまだあることさえ、今では不運でしかなかった。見たくないものを散々見せつけられ、聞きたくない悲鳴を、もう何度も聞いた。もう、これ以上の惨劇は見たくない、聞きたくない。できることなら、このまま消えてしまいたい。そう思えるほどに、酷く、深い絶望が、そこにはあった。
突如、『羊飼いの姉妹』の亡骸の、すぐそばに建っていた家が崩れ出した。燃え続けていたこともあり、とうとう耐え切れなくなったのだろう。けたたましく燃える木材が、姉妹に覆い被さるように、なだれ込む。遺体は、みるみるうちに焼け焦げ、ひどい悪臭を周囲に放った。
「あぁ………………っあ……」
地面に顔を伏せていた俺は、涙で視界が歪むのを感じながら、姉妹の遺体が黒く焦げていくのを見ていた。できることなら、遺体だけでもなんとかしてあげたかった。でも、今の俺は動くことすらままならない。
この悲劇を生んだ[悪魔]によって、俺の右足には、穴が空いていた。治癒魔法を使えるような気力は、もう残っていない。足の感覚が薄れてきている中、なんとか地面を這うのがやっとだった。
そう……この悲劇には、元凶がいる。それは今、目の前にいる。
目の前の『それ』は、愉しげに笑いながら、
「やっぱ転生してよかったわぁ。チート能力くれた神様には、感謝してもしきれねえなぁ」
そう言って、また一人、また一人と、村人を殺害していった。