チームを組もう
それでも自宅にて謹慎かぁ、やることがないな
イーサン、エヴァは毎日のように来てくれる。というかイーサンは何故かルーカン様に呼ばれて来たらしい。
ーーかつて起こった人魔戦争は、紹介した通り、ケイアポリス王国に様々な障害を引き起こした。土地を収める当主が一斉に死に、酷いところだと一家全滅などと言うのもある。無論王国の役人なども不足し、貴族だけでなく能力のある平民をも役人として取り立てると言う政策まで行なっている。
そういうことで王国の貴族たちも王都に詰めることが多くなった。
王国から高い位を授けられて、そちらの業務もこなしつつ自分の領地は代官と言われる代わりに治めてもらう役人に全権を委ねることが多くなった。
自分の父もその1人だ。
まぁ、父上はどちらかと言えば元々王国の守護が任務の1つだから、仕方がないところもあるんだけどね。
俺の家、謎が多い。
「ノア〜〜いや〜〜本当に良かった〜〜」
この子離れできてねぇ親父が・・
「いや、ノアよ。謹慎もいい機会よ!これよりは私との修練に時間を費やすことこそが吉かと思うが!」
「父上、何故いるのですか・・」
いや、本当になんでいるの、この王国騎士団長?
「今日は個々の修練の日ゆえな!戦いがないときは王国の治安を守るための警備活動ぐらいしか役目がないのだ!つまりヒマなのだ、グアッハッハ!」
そう言うとルーカン様は笑い始める、このおっさん暇なのかよ。
さっきまでやることないなとか言っていた自分が馬鹿みたいだ。
「ルーカン、貴様私の可愛い息子にまたちょっかいをかける気か!あ、イーサン君はいいからね。ノアの友人としてこれからもよろしく頼むよ」
親と子で全然対応が違うんですけど、やだ怖い。
「そう言ってくれるなヘンリー!今回はお前たちの警護件、これからの部隊を率いてくれる人物を連れてきたから、紹介しに来ただけだ!いいぞ」
そう言うと、1人の男が扉から入ってくる。
髪はピッシリとショートに切り揃えられており、その顔は油断なく辺りを警戒しているように辺りを見回す。鋭い顔つきというよりはのほほんとした雰囲気を漂わせるちょい悪親父がそこにいた。
「隊長!なんでこんな所に?」
「あ〜、イーサン、ノア。嬢ちゃん久しぶりだな〜。俺がこの部隊の隊長を勤める。キビキビ働けよ〜」
そう言うとリカルドは親父とルーカン様に礼をした。
リカルド、元Aランク冒険者集団の一員として最近まで暴れていた男であり、神々との戦いの最前線で生き残った数少ない冒険者の1人である。
「雷豪魔剣」とまで言われた、魔法と剣術のハイブリットである魔法剣士は王国でも評判だ。
ちょっと前まではルーカン直轄の精兵部隊にいたらしいが、歳ももう若くないし、どこか閑職にでも回してくれと言われたのでこの役目を授かったらしい。
50でもう老兵と言われるこの時代、33歳まで冒険者を続けて現在は36。立派な熟練騎士だ。
そんな彼だからこそ、子爵家である自分とイーサンを預けるのには丁度いいとルーカン様は判断したのだろう。
「そんなわけでな〜騎士団新兵の奴らがそれぞれグループを作ってるのは知っているよな?」
「もちろんです」
王国騎士は、小姓を卒業すると、チームを組む。人選は本来ならばランダムでそれぞれ決められるものなのだが、俺たちは特別らしい。
チームは全員で5人、俺、イーサン、リカルド。あと2人足りない。
「はぁ〜ノア、1人は補充するけど、新兵の割り振りはもう終わっちまっててな、あと1人足りんのよ。」
「じゃあっじゃあ!私が行きます!」
そう言うのはエヴァ、無理があるだろう
「いや無理でしょ」
「いいじゃないか、ノアの妻となるものならばこの新兵のこなす任務程度こなしてくれなくては。」
「うむ!決定だな!」
いいんかい!
「あの〜ルーカン様、兵士の身を預かる身としては女性を入れるのはチームワーク的にも少々問題が・・って聞いちゃあいねぇか」
若干一名の不満の声が聞こえたがなんのその。かくして、謹慎を終えたノアは騎士団の新兵として活動するようになる。
王国騎士としての彼の生活は始まったばかり。