自爆魔法は王をも悩ます
前回のあらすじ
王様の前にアホ2人が出現!
死なないで、ライト!貴方が死んだら、この国はどうなるの!
次回、ライト、死す
デュエルスタンバイ!
「ふぅ」
やっと王城についた・・
自分で言うのもなんだが、現在の自分の服装は中々様になっていると思う。ムキムキで、明らかに礼服より戦闘服の似合うイーサンとの最弱王決定戦を制した、と言うだけなのだが。
青と金に彩られた礼服、ピッシリとサイズ通りなのは何故かと言われると、昨日仕立ててもらったばかりのものだからだ。
初めての社交界デビューの後から、そういう服をきちんと着る機会がなかったので。この機会に新調してもらったのだ。
新しい服に着替えたまま、俺は王に会いにいく。
ケイアポリス王国国王、ライト王。兄が皇帝となった為急遽王となることとなった王様、治世面では一般的だが、王子の時に流行病の治療に全力を注いだ結果、国民からかなりの人気を博した王である。
そんな王様にまた会えるだなんて、緊張するなぁ
ガタガタガタガタガタガタガタガタ
う〜ん?
ガタガタガタガタガタガタガタガタ
ん〜この某名作ゲームのた〇しみたいな音を出しているのわぁ〜?
ご存知、俺の婚約者、エヴァです。
うわぁ、身体中が震えてるよ、地震?
「これで、身体検査は終了だ・・ふはっ。王への無礼がないようゆめゆめ注意することだな、ふふっ」
衛兵さん、笑いが漏れてるから。隠して!
エヴァも一応男爵家のご令嬢なんだから、自信を持てばいいのに。まぁ仕方ないけど。
エヴァの格好は、黄色とオレンジを主とした礼服だ。貴族の女なので、最低限の礼儀は心得てるだろうから。大丈夫だろう、基本的にライト王と話をするのは俺だしね。
ゆっくりと扉を開く、そうすると僕は、ここにいるはずがない2人の人物に遭遇することになる。
◇◇◇◇
(なんでここにいるんですか、父さん!)
(お前のことが心配だったから、来ちゃった♡)
(来ちゃったじゃないですよ!一体何やってるんですか!師匠まで)
(私も心配だったから、来ちゃった♡)
(心配だからで王に謁見するなぁぁぁぁぁぁ!)
「どうした、ノア。久しぶりだから緊張しているのか?」
「い、いえ、申し訳ありません、ライト王」
この間、わずか10秒である。王の間に入った瞬間、目の前には我が師匠ルーカン・バトラーとヘンリー・サムセットが平伏していた。
父は真っ当な貴族である、勿論王と謁見をし、意見を擦りあわせるようなこともあるだろう。謁見の間にたまたま居合わせた可能性はゼロではない。しかし師のルーカン・バトラーに関しては、騎士であるため王の間にてわざわざ謁見をして申し上げることなどは無いはずなのだ。しかもわざわざピッチピチな着なれない服を着て。
そう、ピッチピチな
流石はイーサンの親父だな
「お前がエヴァと報告にあった娘か、蘇生魔法に関しては後ほど魔導局の者が来て、色々と調べると思うが、よろしく頼むぞ。」
「は、はい。エヴァドニ・バスと申します。王国臣民として、王国の魔導の発展に尽くすことはこれ以上ない喜びです。王よ」
「うむ」
どうやら俺は自分の挨拶を終わらせていたらしい、ライト王はエヴァにも話しかけていた。エヴァの完璧とも言える回答に、ライト王も満足そうな笑みを浮かべていた。
そうだエヴァ、本番に強いタイプだった・・
「ノアと、エヴァドニ。そこのバカ親父2人には既に言ったが、今回の件は今命じて徹底的にもみ消させてもらっているぞ。お前達の待遇については不問とさせてもらう。今回のはAランクモンスターの自爆による事故、王国としてはそう処理させてもらう」
「「あ、ありがとうございます」」
俺とエヴァは、再度ライト王に平伏する。この2人がいる時点で察してはいたが、お咎め無しか、良かった。
「しかし!護衛も付けずに貴族家の人間がダンジョンへ行くなど持っての他だ!イレギュラーな事態だったのはそうだが、これからは必ず護衛をつけるように!」
「「は、はい!」」
「これで借りは返したぞ、ノア・サムセット。事実上不可能と呼ばれた魔導ゴーレムの稼働の成功は、お前の功績によるものが大きいからな。次はないぞ」
は、はい!
そう、ライト王には俺に借りがある。
邪神が王都へと攻めいった際、ライト王が撃退用に使用したのは当時の王国では画期的な武器「魔導ゴーレム」を使用した砲撃だった。
しかしそれには絶対的な魔力量が必要で、王国中の魔導師、魔法使いを動員しても足りなかった。
絶対的な魔力を持つノア・サムセットはつまり、ライト王の魔導ゴーレムを起動させるために非常に重要な要素だったのだ。
使える魔法は自爆魔法だったけど。
こうして事件は終わった、しかし、この自爆魔法を使った、さらなる苦難が訪れることを
俺は知らなかった。
ライト王
「私は側室いらない!息子できたし!いらないったらいらないもん!」