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うん、これはあれだよ。

雪花視点になります。

 一部始終をケビンと見ていたけど、ど修羅場だったね!お義父様が病んデレになりそうだったよ!すごく我慢してたんだろうなぁ。私だったら耐えられない。


「雪花?」


 無意識でケビンに抱きついていたらしい。世界一安心できて安全な場所。


「…お義父様、辛かったんだね」


「そうだな。母が死んですぐは、確か脱け殻みたいになっていた」


「…そっか。でもケビンを放置してたのは許せん」


 ケビンが苦笑しながら私を撫でた。


「いや、今思えば…なのだが父上が俺を庇えば状況はさらに悪化しただろう。あの当時は捨てられたと思っていたが…」


 ケビンは目を閉じて…少し考えてから話した。


「…俺は、愛されて守られていたようだ。不幸を嘆いていた昔が恥ずかしいな」


 多分、そうなのだろう。お義父様は元側妃の罪を暴くために手元に置き、ケビンを逃がして無関心を装った。


 きっと、お義父様はケビンに無関心ではない。利用価値がある私を独占させることを許した。彼の幸せを願っていると言った言葉に、嘘はないと感じた。


「ケビンは子供だったんだから、仕方ないよ。それでもちゃんと立ち上がって、歩いて…他の人達の助けになったんだから、ケビンはすごいよ」


 それはお世辞でもなんでもない本心だ。


「元側妃と心中覚悟だったお義父様よりすごいよ」


 へらっと笑ったら抱きしめられてしまった。


「…雪花の方がすごい」


「はい?」


 私は好きに生きているだけで、特になにもしていない。


「…サズドマがまともになった」


「サズドマは周囲に誤解されてた部分もあると思うよ?そして悪循環になってたっぽい」


 根っこは素直な子供だと思うんだよね。


「スノウもまともになった」


「スノウは周囲環境が悪すぎたんであって、サズドマよりまともなんだと思う」


「ヘルマータもまともになった」


「……ああ、うん」


 ヘルマータは確かに。話をきちんと聞ける子になったよね。


「どれも手の施しようがない問題児だったが、今では驚くほど大人しい」


「……んんん、たまたまよ」


 タイミングによってはヘルマータは私の話を聞かなかっただろうしね。サズドマとスノウも。


「何より、俺を変えてくれた」


「ケビン?」


「怖いぐらいに毎日毎日幸せだ。君がいなかった日々が恐ろしい。もう君がいない日々には戻れない。君がいる幸せを知ってしまったから」


「…ケビン」


「雪花は俺の世界を変えてしまった。価値観も、味気ない毎日も、周囲の環境も………すべてが違う。君に出会えた奇跡が…俺の人生最大の幸運だ」


「………ケビン」


「愛している…いや、そんな言葉では到底足りないな。君に会えて幸せだ。君がいるだけで幸せだ。君のそばにいられて幸せだ」


 熱のあるオッドアイに見つめられ、胸がキュンキュンしてしまう。唇が触れそうになり………



「もー、何いちゃついてるのさ」



「「!??」」



 ケビンが一瞬にしてもふフェイスに変身しました。逃がさないよう膝に乗ってしがみつくのも忘れません。


「ひどいです、お義兄様!ケビンからのキスはめったにないのにぃぃ!!」


「…そうなの?」


「夜にエロスイッチが「アオオオン!??ダメだ!それは話したらダメだ!」


 慌てて私の口を塞ぐケビン。しかし、お義兄様はきちんと正確に読み取っていた。


「閨以外でケビンからの口づけが無いって?そりゃセッカちゃんに昼間から盛ったら悪いと思ってるからだよ」


「え」


「あにうえぇぇぇ!??そんっ、わかっ、そこまで正確に把握してるならばらさないでくださいぃぃ!!」


 必死でお義兄様に抗議するケビン。爆笑するお義兄様。


「獣人ってね、人間よりも性衝動が強いらしいんだ」


「へー」


「だからこの年齢でようやく「あにうえぇぇぇ!!」


 ケビンがついに私をそっとソファに置いてお義兄様の口を塞ぎに行った。

 んん?この年齢でようやく?




「ああ、つまりケビンはセッカが初めてなのか」




 お義父様と戻ってきたケイ様が爆弾を投下した。


「いや、それはないんじゃないですか?かなりねちっこいぐらいに念入りに「アオオオン!?そそそそりゃあ雪花は初めてなのだから初めては痛みを伴うと聞いていたからだ!」


「…でも、そういやいつも力尽きるまでされるなぁ…」


「ケビン」

「若いな」

「ぶひゅふっ」


 お義兄様はまだケビンに口を塞がれているからくぐもった笑い声が聞こえた。うーん、どうなんだろ。でも最近は慣れてきたのか上達しているよね?


「えーと…ケビンも私が初めてだったの?」


「アオオオン!アオオオン!!アオオオン!!」


 ケビンの羞恥心が臨界を突破したらしく、真っ赤な毛玉が窓を破壊して走り去った。


「ケビィィン!?結局どっちなのぉぉ!??」


「セッカが初めてだよ。落し胤とか出てくると困るからちゃんと把握してたから間違いない。そもそもお試しも婚約も…なにもかも全部、ケビンはセッカが初めてだね」


「…そうなんですか」


 なんか嬉しい。よし、後で本人から聞き出そう。夜の楽しみが増えました。



「で、そちらの首尾はいかがです?」


「見てたと思うけど、かなりのダメージだね。私も妻の件を話したけど、ありゃ聞いてなかったね。また機会はあるからネチネチやるつもりだよ」


 にっこり笑うお義兄様を見て、明らかに敵にまわしたらヤバい人から敵認定されちゃってると思った。

 今日は正気に戻るまで、何をしても反応がないだろうからと元側妃へのちょっかいは終了になった。


 私の様子をチラチラとうかがう可愛らしいわん…旦那様を捕獲してから帰宅した。今夜は寝かせないよ!


 元側妃にお借りしたシャカさん達で嫌がらせでも…と考えていたら、その夜元側妃が脱獄したという情報が入った。

側に行きたいが、恥ずかしくて行けない…

(/ω・\U)チラッ


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