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楽しい楽しいパーティの始まりなんだよ

 ようやく待ちに待ったパーティの日。


 パーティは側妃(ターゲット)に不自然に思われないよう、協力者である側妃の夫、レイヴンさん。主催者が協力者だから、色々仕込み放題だよ!やっほぅ!!


 心待ちにしていた今日のパーティの主役が来た。仕掛人の一人であるレイヴンさんと新しい近衛騎士の夫にエスコートされている。うわぁ、どや顔してる。きっと『私はやはり、華々しい場にいるべきなのだわ』とか思ってるんだろーなぁ。

※雪花さん、正解。



 パーティ会場にはたくさんの女性達がつめかけていた。いやぁ、頑張って集めたよ!側妃を再起不能にするため、目撃者はたくさん欲しいからね!


 女性達が次々に心配していた、具合はどうか、お元気そうで安心しました等、労りの言葉をかけている。


「私は大丈夫よ、ありがとう」


 女性達に挨拶をしてまわる側妃。そろそろ頃合かな?さぁ、楽しい楽しいパーティの時間だよ。


「ごきげんよう、お義母様」


 明らかに顔をひきつらせる側妃。私の発言で謹慎するはめになったんだもんねぇ。お怒りなご様子の側妃に怯んだ様子を見せたら、気のいいご婦人達が私を庇ってくれた。あらかじめ、彼女達にはこのパーティをきっかけに側妃と仲良くしたいと言ってあるからある意味当然の反応だ。しかし、側妃から見たら意味不明だろう。鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔になっている。


「妃殿下、姫様は妃殿下と仲直りがしたいそうですの」


「ですから、わたくし達がお誘いしましたのよ」


「妃殿下はお優しいですもの、きっと許してくださいますわ」


 側妃の友人達は優しく話しかけていた。こういう優しくてお節介な人種はこういう時に厄介だよね。善意の押しつけほど面倒なものはないもの。利用しちゃって申し訳ないけど、側妃を貶めるために協力していただいちゃいました!


「そうですわよね、妃殿下は『お優しい』ですものねぇ」

「ええ、ケビン様を獣人だからなんて理由で冷遇したりなさらないわよねぇ」


 ねっとりと嫌みを言う高位貴族の美しい毒花みたいなご婦人達。流石です、姐さん方!敵が明らかにイラッとしてますぜ!そこに痺れる憧れるぅ!!素敵すぎますぜ!!


「…そうね」

「わあ、嬉しい!ありがとうございます、お義母様!そういえば、私お腹に子供が3人も居るんです!」


 もはや是と言うしかない側妃は苦虫を噛み潰して噛み潰して噛み潰したような顔をしていた。さらに追い討ちをかける私。


「………そう、オメデトウ」


 もはや怒りが臨界を突破したらしく、側妃は真顔になった。いやぁん、怖い!

 でもでも、更に追い討ちしちゃうぞ!


「しかも、女の子が二人!」


「………………………え?」


 側妃が固まった。女児を出産できる女こそが、この世界で最も価値がある。その価値観は正直くそ食らえなのだが、この側妃にダメージを与えるためなら私はなんだってする。


 周囲もざわめき、口々に私へ祝福の言葉をくれた。誰も側妃を見ない。パーティの中心、価値ある人間は完全に私になってしまった。

 悔しかろう?屈辱でしょ?寂しいね。でも、まだまだだよ。



 あ、なんか黒い笑みを浮かべてる。私の暗殺計画でも考えてるのかしら。

※雪花さん、正解。



 さて挨拶もそこそこに、新たな嫌がらせを仕掛けることにした。


「お義母様のために、ケーキを作りましたのよ」


 ふふふ、憎しみを練り込んだ仕掛けつきケーキだよ!味はいいけど、作ってるときに怒りと呪いとカロリーをたんと練り込んでいたらケビンがプルプルしていた。なんかごめんよ。


「あら、そう」


 そっけない態度ながら、美しく豪華見た目のケーキは気に入ったらしい。上げて落とすは基本だよ。

 その特等席に立った瞬間、側妃は固まった。


「ひっ!?」


 小さな悲鳴をだけとはなかなかだ。いや、悲鳴すらあげられなかったのかも。顔面蒼白で硬直している。


 実はケーキの内側に正面至近距離にいるものにだけ見えるし聞こえる立体映像投影魔具をこの日のために作ったんだよ。正常に作動したみたいだね!


「どうなさいましたの?」


「え……?」


 明らかに見えていないの?と狼狽する側妃。見えてないし、聞こえてないよ。


「………え?」


 しかし、他の貴族が漏らしたりしていたとこを考えると、この側妃のメンタルは超強いね。相手に不足なぁぁし!!どんどん行くよ!お義父様達にこっそり合図した。



「………疲れているのかしら」


 人々がざわめく。お義父様とお義兄様が来たようだ。

 側妃は笑顔を向けようとして、失敗した。そりゃそうだ。


「ああ、お義母様に紹介しなくてはなりませんわね。新しいお義母様ですわ」


 私はにこやかに紹介してあげた。側妃は顔をこわばらせたまま固まっている。


 そこには、ケイ様もいた。ただしドレスアップしておしとやかに立っている。調きょ……特訓の成果だね!


「彼女は私の義姉ですの」


「ケイシィ=クリオです」


 にこやかにローゼンシアちゃんが側妃にケイ様を紹介した。名前はよく似た偽名にしたよ。下手にぼろが出ても困るからね!

 側妃は固まったままだ。


「義姉様はなんと、あのケイティ様の姪なんだそうですわ。面影がありますでしょう?陛下がどうしても妻にしたいと望まれましたので、我が公爵家に養子縁組しましたの」


「………は?」


 ようやく側妃が再起動した。顔色は白を通りすぎて青い。逆にローゼンシアちゃんは楽しそうだ。知ってたけどローゼンシアちゃんてどSだよね。決して敵にまわしたらいけない人種だよね。


「もうすぐ私の義姉様は正妃になりますのよ!楽しみですわ!」


「せい、ひ?」


 この側妃が得たくてもけして与えられなかった地位にケイ様がなるのだと伝えられる。まだ頭が働いてないっぽいなぁ。


「さらに、新しいお義母様は懐妊中なんです」


 ダメ押し!とばかりに追加情報を与えた。


「…………え?」


 ケイ様が幸せそうにお腹を撫でる。無意識だけど、ナイスリアクション!!

 後で知ったけど、側妃と王様って一度も子作りしてなかったのね。プライドが高い自称最高の女にとって、どれほど屈辱だっただろうね。


 側妃は泣きそうな顔でまた固まり、半狂乱で泣き叫んだ。


「いやあああああああああ!!」


 貴女にはわからないだろうね。ずっと踏み躙るだけの立場だったから。貴女は王様に虫除けにされてたんだよ。王様が愛していたのは…愛しているのは正妃と正妃になるはずだったひとだけ。


「いやあああああああああ!!」



 側妃が頭をかきむしり血が出た。いやぁ、キテますな。怖いね!リアル修羅場!!王様がドン引きしてるよ。



「いやあああああああああ!!お前!あの邪魔な正妃も!下賤な獣女も始末して、陛下には私だけなのに!!殺してやる、殺してやる!殺してやるぅぅぅ!!」



 そして、側妃は気絶した。良かった、やっと決定的な台詞を言ってくれたね。


「この罪人を捕らえよ。貴人用でなく、一般の罪人用の牢に入れるのだ!!」


「!?何故姫にそのような酷いことを…」


 側妃を庇おうとする近衛騎士。彼は本気でこのオバハンが好きみたいなんだよね。


「この者には我が妃達を暗殺した疑いがある。先ほど『自供』したであろう。聞かなかったとは言わせぬぞ」


「ぐっ…」


「それ以外にも…私にも責はあろうが、色々とやり過ぎた。知らぬわけではあるまい。連れてゆけ」


「触るな!私が…連れていく」


 うーん、あの近衛騎士は厄介かもなぁ。まだまだ仕掛けてたのに、仕方ないね。ま、次の機会を待ちますかね。


 こうして、側妃は元側妃となり投獄されたのだった。


 第一段階、これにて終了!!

※実はパーティ会場にいたケビン&サズドマ達の会話


女の争いかぁ、こっわぁ!楽しそうだなぁ、ヒメサマ…

byサズドマ


雪花…綺麗だ……

(U´・ェ・)


団長は姫様が大好きですよね

byシャザル


ふあっ!?ぬっ!?しゅしゅしゅきだが…その、走ってくる!!

ε=(Uノ゜д゜)ノ


そんな一幕があったり(笑)

雪花に側妃が攻撃する危険もあったので、一応警備に混ざってました。

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