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下準備、頑張ったんだよ

 雪花視点になります。

 側妃のオバハンが軟禁されている間、私達は味方集めに奔走した。情報操作はじいとカダルさん、マーロさん達。魔法院を隠れ蓑にしていた暗殺ギルドによる暗殺依頼者の洗い出しは賢者・スノウと騎士団が。

 さらに情報を側妃に流さないよう徹底した。


 そして、私はというと幽霊騒動とご婦人達のえづ……交流により味方していただくように頑張ったよ。

 野心がある、または賢い令嬢や夫人はむしろ積極的に味方になってくれた。もう側妃の実家がヤバいと読んでいるらしい。

 毒のないご婦人達には涙ながらに素直になれず酷いことをした。仲良くしたいと泣き落し、協力していただくことに。

 ラトビアちゃんやローゼンシアちゃんも、もちろん全力で協力してくれた。おいしいおやつに釣られたわけでは…たぶん、ない。打算的な令嬢達はおやつで釣りました。異世界レシピにはそれだけの価値がある。


 そんな中、ローゼンシアちゃんは側妃に恨みがあるらしく、とても積極的に動いてくれた。同じ公爵家で気の強いローゼンシアちゃんは目の敵にされていたらしい。納得。





 ある日、ローゼンシアちゃんとマーロさんを呼び出した。


「折り入って、お願いがあります。悪い話じゃないと思うんですが…」


「はい」

「何かしら?」


 お二人とも興味津々だね。楽しそうだなぁ。悪だくみ大好きだよね。もちろんお呼び出しした理由は悪だくみですがね!


「現状、側妃の家を潰すのに問題ないところまで来ています。彼女もある意味ではこの国の被害者と言えるでしょうが…彼女は明らかにやり過ぎました。ケビンを虐めただけでも許せませんが…彼女は殺しすぎている」


 彼女の元夫だった元近衛の無能副団長は側妃のために自らがもみ消した事件を全て明らかにした。また、自分が関わっていないが他の夫がやった犯罪も告発した。あまり期待していなかったが、彼がもたらした情報はかなり有益だった。本人は相討ち覚悟で詳細に話してくれた。


 さらに愛する婚約者がいるのに側妃に見初められて引き離された現夫も協力して他の夫をはめる、内部資料を盗み出すなどして、着実に夫を減らしていった。


 側妃の実家も他の公爵家が一斉に側妃の実家の領地への流通と交易を止め、周囲の領主にも圧力をかけた。


 そんな感じで着々と力をそいでいる。あとは時間の問題だ。




 だが、それでは納得がいかない。




 側妃に仕返しがしたいのだ。ケビンを傷つけ、いたぶり、虐めただけでも万死に値するが…私達を引き裂こうとするわ、刺客はよこすわ…ケイ様殺人未遂事件の主犯でもある。

 ヤっていいよね!?というわけで、これは私による復讐劇なのだ。


「えっと、銀翼騎士団長兼側妃だったケイティ様をご存知ですか?」


「「はい」」


「実は、生きてました」


「「は?」」


「でも、死んだことにします」


「「え?」」


「で、その生きてた銀翼騎士団長様を別人としてクリオの養女にしていただけませんか?」


「「お任せを!!」」


 お二人の目がキラキラしている。ヤル気満々ですね!めっちゃいいお返事でした。一切のためらいがなかったよ!


「ケイティ様の調きょ…淑女指導はこのわたくしにお任せあれ!素晴らしい淑女にして差し上げますわ!」


「父は二つ返事で頷くでしょう!いやあ、姫様は最高だ!!いますぐ!早急に!話をして参ります!!」


 え?もーちょい難色を示すかと思いきや、超ヤル気満々ですな!


「マーロさん達は平民がどうのとか気にしないのですか?」


「銀翼騎士団長様は己の力で正妃の道を切り開いた女傑と聞いています。それに、姫様の推薦ですからね。家としても正妃を輩出できることはプラスですから、願ったり叶ったりですよ」


 マーロさんがウインクした。信頼が嬉しい。


「ありがとう」


「「それに、あの側妃にとって最大最悪の嫌がらせでしょうからね」」




 ですよね!!




 姉弟はとても悪い、イイ笑顔を見せた。


「私もそう思います」


 私も似たような表情をしていたに違いない。3人で…いや、お茶を持ってきたカダルさんも親指をグッとしていた。


 私は色々考えた。その結果、今回の作戦こそが側妃への最高最強最悪の嫌がらせになるに違いないと考えていた。



 それからケイ様は昼はマナー講座、夜は幽霊のふりと子作りと忙しい毎日を過ごした。マナーはキツいらしく、たまに悲しげに泣くので癒しのちみっ子部隊にフォローをお願いした。


「けいちちゃ~、がんばってておりこうにゃにょ~」

「けいちゃ、がんばってる」

「ぴ!」

「…………なでなで」


「ああ、頑張らねばな!愛しの夫に並び立つためだ!よし!ちみっ子達、ありがとう!」


 高すぎる高すぎるは私には心臓に悪いですが獣人にはスタンダードな遊びらしく、皆でキャッキャしてました。うむ、癒し。



 幽霊のふりについては、女神直々にとある品の貸し出しがあった。またしても異世界の発明品。オーバーテクノロジーのシャカくんとシャカさんとハンドゴーレム×100。

 いや、スゴいよ怖いよヤバいよ。某芸人並みにヤバいよ連呼しちゃうよ。明るくしてても怖いよ!昼でも目があったら泣きそうだよ!

 ちなみにシャカさんは女性の上半身しかないゴーレム。シャカくんは男性の上半身しかないゴーレム。ハンドゴーレムは手だけでシャカシャカはい回る。これがうぞうぞしていたら、超逃げる!泣く!走る!


 ちなみに何も知らずに部屋に入ってきてゴーレム達に遭遇したケビンが、キャイイイン!?と鳴いた。でら可愛かった。


 悲鳴で駆けつけたシロウ君の尻尾が股から動かなくなった。不憫可愛かった。


 騒ぎを聞きつけて駆けつけたシャザル君がきゃあああと叫んだ。普通に可愛かった。私より女子力高かった。


 同じく騒ぎを聞きつけて駆けつけたサズドマは………ぶわっと鱗が身体中に出てバイブレーションになった。ヘルマータとコンビでバイブレーションしていた。気が合うな、君ら。


 同じく来た双子は動じなかった。流石騎士…いや!違う!白目むいてる!そんなにか!? 叫びもしなかった。


 スノウは素晴らしい技術に興奮していた。彼の感性は明らかにおかしい。



 この世界にホラーとか怪談は存在しないらしい。しかし、実際に化けてでるそうな。それは怖い。そっちの方が怖い。だからこそマジで出たら怖いから、こんなもの(ゴーレムさん達)を作成するなんて狂気の沙汰なんだそうだ。


「ちなみに、本来の用途はなんだったの?」


「制作者がノリで作ったらしいよ。制作者も怖いからレンタル申し出たら喜んで貸してくれたってさ」


 制作者さん…後先考えない人なんだなと思った。とりあえずシャカくんに狼耳つきカツラをつけて、肩パットやさらしでボリュームアップ。

 パッと見ケイ様に見えるようにして血糊でメイク。ケイ様にもお化けメイクを施していく。


「できた!」


 その出来ばえは、うっかり見たちみっ子がお漏らしして一人でトイレにいけなくなるほどだった。

 次からお城でやることにした。すまぬ、ちみっ子達よ。


 そんな状況だったから、ターゲットの貴族が全裸で城内疾走や粗相は仕方ないのだ。つーか、あのゴーレム達に追われたら仕方ないよ!





 そして……



「多分できた!」


「何がですか?」


 ケイ様がパタパタ尻尾を振って走り寄ってきた。何か嬉しいことがあったらしい。


「母上、どうしたのですか?」


「おう、ケビン!多分お前に弟か妹ができたぞ!」


 ケイ様がお腹をペチペチする。急いで病院にいったら、やはり妊娠していた。


「ケイ様、おめでとうございます!」

「母上、おめでとう」


 その日は皆でお祝いをした。ケイ様も皆も嬉しそうだった。


 全て側妃の謹慎が解ける日に間に合った。さあ、覚悟はいいかな。



 楽しい楽しい、パーティの時間だよ。

雪花が忙しい…

(・ェ・`U)ショボン

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― 新着の感想 ―
ロザリンド……貴方、なんてものを異世界に貸し出してしまったの……w こちらの世界でも随分と猛威を奮ってらっしゃるww
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