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お呼び出しをされたよ

 ケビンが朝のフルマラソンから戻ってきたので皆で朝食を摂っていたら、城から使いが来た。


 出勤したら騎士団ではなく城で王様と謁見をとのこと。伝言だけで使いの人はすぐ帰っていった。


「多分ケイ様についてだよねぇ…」


「だろうな。このバ(かしら)が」


「本当にどうしようもないバ(かしら)ですなぁ…」


「「はぁ………」」


「きゅ、きゅ~ん…面目ない……」


 ケイ様、結構な問題児だったのかしら……大人達のため息が重い!

 ケイ様本人はしょんぼりして耳も尻尾もしんなりしている。ついしょんぼりケイ様をよしよししたら、甘やかしてはいけませんとじいに叱られた。す、すいません。

 ああ、でもむしろ状況を逆手にとればいいんだな。うん、やる価値はある。


「スノウ、作って欲しい魔具があるの。できる?」


「へ?ああ、はい。できますよ~。それぐらいなら30分あれば大丈夫です」









 そして、王城応接室。謁見の間ではなく、人払いがされている。

 応接室には遠い目をした王様と、疲労した様子の王太子殿下がいた。


「あの、王様はどうしたんです?」


「ああ、それが…」

「ケイティ……俺のケイティ…」


「…ああ(察した)」

「父上…(察した)」


 王様はすっかり魂が抜けちゃってメソメソしている。


「実はな、ケビン。お前の母が生きていたらしい」


「…え?」


「昨日の午後、お前の母である筋肉狼女が父を拐い、やらかしてから城に帰したのだ。痕跡も盛大に残っていて、あの女しかあり得ない」


 あ、王太子殿下が嘘をつけないケビンの顔をうかがってる。


「まぁ…幽霊じゃないですか?」


「幽霊?明らかに実体…!?『そうだな、その可能性もあるな。側妃の横暴に我慢できなくなったのかもしれん』


 スノウに作ってもらった魔具『違う話が聞こえる君』が上手く作動したようだ。そして、この王太子殿下なお義兄様は頭の回転がよい。私が何を言いたいか理解してくれたようだ。

『違う話が聞こえる君』はあたかもケイ様は幽霊なんだぜ、私の夢に出てきて呪ってやるって言ってたぜ的な会話をしている。


「つまり、あの女は生きているのだな?」


「はい」


「しかし、幽霊のふりをさせると」


「はい」


「それに何の意味がある?」


「ケイ様暗殺に加担した馬鹿が怯えます」


「ふっ…いいだろう」


 お義兄様がニヤリと笑った。共犯者の笑顔でした。


「それから、楽しい楽しいパーティに出ていただきたいです」


「パーティ?」


「はい、是非」


 パーティの概要について説明したところ、お義兄様はまたニヤリと笑い、快諾した。ところで、腑抜けになってる王様ことお義父様が気になるんだけど。ケビンもチラチラ見ている。


「国王陛下…いえ、お義父様」


「…ケイティ…おお、なんだ?」


 駄目だ、この人。さっきまでの話を完全に聞いてなかったな?


「実は……」


「そうだったのか!つまりケイティは俺を捨てたのではないのだな!?」


「大丈夫ですよぉぉ、むしろケイ様はお義父様に会いたくて底無しの谷を2年も諦めずに登り続けたんですよぉぉ。真っ先にお義父様に会いに行ったんですからぁぁぁぁ」


 だから私をガクガク揺さぶらないでほしい。お願いだから。


「父上!雪花は身重なのです!そのように扱わないでください!」


 ケビンに救助されました。助かったぁぁ…ケビンの腕でぐったりする。獣頭で毛を逆立てて怒るケビン、可愛い。


「もふもふ~」


 耳がふかふかのもっふもふ~。ほっぺもフカフカもっふもふ~。


「グルル……雪花」


「もふもふ~、可愛い~」


 胸にスリスリすると、ナデナデされた。ふああ…肉球が…


「…くーん……雪花」


「肉球、幸せ~」


 肉球、肉球、ぷ~にぷに~。ケビンがナデナデしてくれていた手を捕まえて頬ずりする。はう、幸せ肉球…


「……きゅ~ん……くっ、俺の妻はなんと愛らしいのだ!」


「え?はっ、つい日頃の癖が!」


 完全にケビンの魔性のもふもふに魅了されていたわ!しかしギュウギュウ抱きしめられて悪い気はしない。むしろウェルカム!たくましい筋肉も美味しいよ!



「ケイティ…」

「妻に会いたくなってきた…」



 お義父様とお義兄様が遠い目をしていた。イチャイチャしまくってすいません。ケビンがもふ可愛いのがいかんのだ。けしからん毛皮と肉球だからいかんのだ。


「それから、お義父様にはもうひとつ励んでいただくことになります」







 それからというもの、毎晩城にケイ様の幽霊(笑)が出没した。ケイ様暗殺に加担した馬鹿が一人、また一人とものすごく質の悪い祟りにあうのだ。肥溜めに落ちたり、全裸で逃げ惑って醜態を晒したり、粗相をしたり。

 あまりにも出没したので祟りを恐れた貴族が次々に引きこもり、心の病になったりするのだった。さらには悪事が露見し、処刑や降格が相次ぎ『祟り』はさらに信憑性を増した。



 そして、次はきっと………だと貴族達は噂した。



 さらに、王様が毎晩ケイ様に苛まれていると噂になった。王様、かなり痩せたらしい。頑張れ、王様!!

なんだか雪花が忙しいみたいだ…(・ェ・`U)

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