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うん、予想通りだよ。しかし反応が予想外だよ。

 ケイ様とご飯を食べることになりました。マサムネさんがはりきってたから、きっと今夜はごちそうです。楽しみ~。


「ただいま帰りました」


「おかえり」

「おかえりにゃにょ~」


 スノウはどっかに行っていたらしく、今帰宅したらしい。ちょうどいいや、聞きたいことが…あれ?スノウが硬直している。


「あ………あ………」


 真っ青になって震えるスノウ。ヤバい!魔力が暴走しかかってる!?可視化できるほどの魔力が漏れ出ている。私は魔力が使えないし、どうする!?


「え!?」


 お腹が激しくシャイニング!あっという間にスノウの魔力暴走を止めてしまった。他者の魔力に自分の魔力で介入して中和するという変態的までに緻密な作業をうちの胎児はこなしてしまった。ベイビーズの中に一人、魔力特化がいるらしい。うちの子は確実にママン以上の魔法使いです。


「…あ、あ、あ…ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「スノウ!?」


「しあわせになんかなったらだめだった!ぼくはひとをふこうにしかできない!あ、あああああああ「うっせーわ!!」


 シロウ君がスノウを叩いた。痛かったらしく、うずくまった。


「お前がナニしたかなんざ知らん!だが、お前が悪いやつじゃねーことは、俺が保証してやる!」


「しゅのーはいいこにゃのー。かなちーの?よちよちしてあげるにょ~」

「よちよち」

「ぴぃ」

「………(すりすり)」


「う…ぐすっ……うぅ……」


 シロウ君の侠気と癒しのちみっこコンボによりスノウはなんとか落ち着いた。スノウの反応に対して、首をかしげているケイ様。


「…誰?」


 ですよねー。ケイ様だもんねー。じい達は察したみたい。


「ケイ様が言ってた痩せた子供、この子なんじゃないですか?」


「いや、あれはもっと……いや、ケビンがこんなだから……そうかもしれん。白髪に赤い瞳だった」


「…私…いえ、ぼくは…「そっかそっか!生きてたか!」


「………へ?」


 ケイ様は豪快にガハハと笑うとスノウの頭を乱暴に撫でた。


「いや、ちゃんと助けてやれなくてゴメンな。しかし、あのクズみてーな親に育てられたわりにマトモに育ったな!」


「あ、育ててくれた、のは…あの後、親戚のお師匠様…に引き取られて…」


「そーかそーか!良かったな!ところでお前、どんだけ知ってる?」


「あ…はい」


 スノウはまだ実家にいた頃に暗殺者に使われていたらしい。ようするに、魔力版電池として扱われていたのだ。

 当時は幼かったスノウだが、頭が良かったのとケイ様が特別だったのでよく覚えていた。


 虐待されていたスノウを何の見返りもなく助けて崖に落ちたケイ様を、スノウはちゃんと覚えていたのだ。

 そしてケイ様がケビンの母だと知り、大変だった。



「すいません、すいません、すいませんすいませんすいませんすいません、ぼくは…ぼくは団長様に情けをかけていただいたのにこんな…恩を仇で返すようなマネを……」


「…スノウ」


 ケビンが口を開いた。


「はい」


「お前は悪くない。俺はお前を恨んではいない。母もだ。だが、お前の家を今後糾弾することになるが…」


「かまいません。ぼく…いえ、私の家はお師匠様の居る場所です」


「あと、ここもだろ」


 シロウ君や少年達、ちみっこ達、私もケビンも…じい達も頷いた。


「あ…」


 スノウが泣きじゃくる。


「しゅのー、かなちい?」


「ちが…うれじいんでず…」


「しゅのー、なきむちねぇ。おとこにょこは、ないたらめーよ」


「スノウは悲しいとか悔しいで泣いてない。嬉しくて泣くなら、いいんだ」


「そうにゃにょね~。うれちいでなくの?」


「ああ。ものすごく嬉しい時だけな」


 トラ君がソラ君にそう教えた。超和むわ、この兄弟。


「あああ、もう可愛い!」


「「にゃっ!?」」


 どちらも捕獲してなでなでしてやる。


「ふみゅ~、ゴロゴロ」

「うあ!?セツ姉、やめれ!…ゴロゴロ…」


 ふはははは!このかわいこちゃん達めええ!ゴロゴロいわせてやんよ!


「ぼくもナデナデ~」

「ぴ!」

「…………(スリスリ)」


 他のちみっこも撫でられに来た。皆まとめて可愛がってあげるよ!


「…仲がいいな!ところでなんでうちにガキがたくさんいるんだ?ケビンの子か「違います。孤児を引き取って育てているんです」


「孤児を?そっかぁ…そんな方法もあったか!ケビンは賢いな!」


「…あんな無茶な救済をするのはあんただけですよ。せっかくのメシが冷めるだろうがぁぁ!!話は後だ!メシにすんぞ!!」


 マサムネさんの雄叫びにより、ご飯タイムにすることになったのだが…うちのわん…ダーリンが耳と尻尾をしんなりさせて悲しげにこちらを見ていた。


「マサムネさん…」


 私には最愛のわん…ダーリンをこのままにしておけない…と目で訴えた。


「…ぼっちゃんは任せた」


「かしこまりました!」


 マサムネさんの許可をもらって私はケビンをかまいたおした。尻尾がパタパタと機嫌よくふりふりするまで回復させ、食堂に行ったのだった。


「その…嫉妬をしてしまってすまない」


「ううん、嬉しい」


「ぐうっ…あ、あまり可愛いことを言わないでくれ…また窓をぶち破って走りたくなる…」


 胸をおさえて何かに耐えているケビン。


「駄目。むしろイチャイチャにケビンが慣れて」

「無理だ」


 ケビンが真顔だったから、笑ってしまった。


「ふは、即答!まぁ、まだまだこれからずっと一緒だから…いつかは慣れるよ」


「…そうかな…だが、雪花とずっといられると思うと…幸せだな」


 お腹から柔らかい魔力を感じる。


「忘れてないよ。産まれてくるのを楽しみにしてる」


「なんと?」


「多分…ボクたち、私たちもいるよって言ってた」


 お腹を撫でる私に、ケビンがひざまづいてお腹にそっと耳を当てた。


「…俺も、お前達が産まれてくるのを楽しみにしているからな」


 その優しい声に、ベイビーズが笑ったのを感じた。


 メシが冷める!とマサムネさんに叱られたけど、あったかい気持ちで幸せだった。


 夕飯はやっぱりごちそうで、とってもおいしかった。肉料理が多いのは、きっとケイ様のためだね。多かったから、ケビンにちょっと食べてもらったよ。

 餌付けされるわん…マイダーリンは安定の可愛さでした。しかし、あーんをケイ様につっこまれ、恥ずかしがりやのマイダーリンは疾風のごとく走り去ってしまった。


 走り去る背中を眺めながら、私のケビンがイチャイチャ慣れする日は遠そうだと思った。これはこれで楽しいからよし!

 最近、走りまくる騎士団長をよく目撃します。


「アオオオン!アオオオン!!」


 この間、ちょっと近所迷惑だと注意した勇気あるオッサンから走りまくる理由を聞きました。お嫁さんが可愛すぎて耐えられないらしいです。


 僕は、団長さんがお仕事を頑張ってるのも優しいのも知ってます。よかったね、団長さん。


 ところで、知らないお兄さんから団長さんの恋を応援しないか誘われました。僕も応援してあげたいから頷きました。


 最近では、皆走りまくる団長さんをほのぼの眺めています。怒る人はいません。よかったね、団長さん。お幸せに。

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