表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/241

過保護すぎるんだよ

 結局遅刻して騎士団に到着した。昨日あれだけ呑んだのに、皆二日酔いしている様子はない。後で聞いたら、スノウが二日酔いの魔法薬を無償で提供したらしい。誉めたら喜んでたよ。アイディアはシロウ君らしいけど、今まで騎士団に迷惑かけまくったお詫びも兼ねているそうだ。子供っていつの間にか成長するのね!

※スノウは成人です。まだ来て1ヶ月経ってません。


 さて、副団長様からお説教を予測していたけど、まったく説教されなかった。不思議に思って聞いてみたら…


「まあ、新婚初夜の翌日に獣人が遅刻するのは普通です。人族より獣人の方が、基本的に性欲が強いので」


「…ああ(察し)」


「アオン!?おおお俺は違うぞ!??」


 特に否定しなかった私に対し、アワアワするケビン。何故彼はわざわざいじられようとするのだろうか。そこがまた可愛い。


「じゃあ、何故遅刻したんです?」


「……そ、それは…」


「昨日の甘え「アオオオーン!!頼む!雪花!その話は内密にぃぃ!!」


「…では、全裸を「アオオオーン!!それもダメだぁぁ!!」


 どっちもダメだなんて、ワガママなケビンだなぁ。


「…………別に、初夜が激しかったと要は大差ないんでしょう?」


「「………………」」


 副団長様からの冷静な指摘に、黙るしかなかった。まぁ、大差はない気がする。ケビンも酔っぱらった醜態を話すよりはと最終的に否定しなかった。





 さて、お仕事お仕事。


「雪花、重い書類(もの)は持つな」


 ケビンに書類を取り上げられてしまった。いや、たいして重たくな………ウルウルして目で訴える可愛いわん……狼さんに負けた。




 さ、さて…お仕事お仕事。


「姫様、脚立で登るのは禁止です。落ちたらどうするんですか」


 副団長様から脚立・梯子は禁止と言われてしまった。ぐぬぬ…




 さて、お仕事……


「姫様、資料は我々が持ちますよ」


「いや、護衛が資料で手が塞がってたら何かあった時にダメでしょ」


「俺は魔法も扱えるから問題ありません。姫様のお子に何かあっては困ります。お願いします!資料を持たせてください!」


 ヘルマータが頭を下げた。やめていただきたい。超目立つ。

 結局、ヘルマータに押し負けた。



 そして、こんなことが続けばいい加減イライラするわけで。


「雪花、その書類は重た」

「いい加減にしてください!」


「キャイン!?」


「重たいモノを持つな、脚立に乗るな、資料は持ってこなくていい!?仕事になりません!私はここに仕事をしに来ているんです!気遣いは感謝しますが、仕事になりません!!」


「いや、しかし…」

「しかしもかかしもない!!副団長様だって過保護すぎます!!」


「うぐっ!?」


 自覚があったらしく、珍しく言葉に詰まる副団長様。



「あー、提案がありまぁす」


 サズドマが挙手した。


「どうぞ」


「えっと、ヒメサマはぁ、押しつけ親切がメーワクなんでしょ?」


「あー、まぁ、うん」


 オブラートがないが、事実なので頷いた。


「脚立と梯子はオレが見てても怖いから、却下ね」


「なんで?」


「ヒメサマはさぁ、前は魔法があったから落ちてもヘーキだけど、今は使えねぇし」


「ぐっ!?」


「前、落ちたしぃ。だから却下。ヒメサマだけの身体じゃねーから、そこは納得な?」


「うう…」


 正論過ぎて何も言えない。しかたなく頷いた。


「で、荷物な。これ使えばいんじゃね?」


 サズドマが荷台を持ってきた。しかも買い物カート的なやつだから、腰への負担もない。音も静かだ。


「こんないい品、どこから強奪してきたの?」


「ひ、姫様…流石にサズドマも姫様に使っていただく品を強奪したりはしませんよ……多分」


「強奪してねぇし。コレ作ったドワーフのオッサンにソーダンしたら、くれた。べびーかー?にもなるらしーぜ。お代はこないだの大量発注と結婚祝いだってさ」


 サズドマはペンダントを見せた。実はこれ、ケビンと行った武器屋さんで作ってもらったやつなのだ。相性のいい石を選び、加工してもらいました。


「なるほど。今度お礼に行かなきゃね。サズドマ、サズドマもありがとう」


「フシュッ!?別に礼とかいらねーし!仕事だし!」


「おやつ、今日はプリンパフェなんだけどサズドマに私のぶんもあげる」

「マジで!?」


「マジマジ」


「イヤッハー!!」


 プリン、異世界で大人気だね。サズドマは大喜びで二人前をペロリとたいらげた。


 サズドマのおかげでその後の仕事は大変はかどった。しかし、午後急に大雨が降ったためサズドマのせいだとからかわれ……サズドマが大暴れして副団長様から説教されたのは言うまでもない。

 正座して足がしびれて小鹿みたいに歩くサズドマがやたら嬉しそうだったのは、記憶から抹消した。


 少しずつ成長してても、サズドマはサズドマだと思ってしまった。どMって、どうしたら治るんだろう。誰か教えてください。

Q何故サズドマに雪花の気持ちがわかったのか


Aそもそもヒメサマは『使われる側』の人間らしいし、明らかだんだんイライラしてたし…

『女』じゃなく『ヒメサマ』として見ればわかんじゃね?



 この回答を聞いて、わからなかったケビンさんが夫失格だと泣き出し、大変だったようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ