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よろしくしたんだよ

 服を着替えて朝食を皆で食べる。食べ終わるとちみっ子達が寄ってきた。


「おねちゃ、あかちゃ、いゆの?」


 ソラ君が話しかけてきたので、頷いた。


「そうだよ。ソラ君はソラお兄ちゃんになるんだよ。仲良くしてあげてね」


「おにちゃ?」


「そう、お兄ちゃん。よろしくね、ソラお兄ちゃん」


「ふにゃあああ!おにちゃ、なる!」


 ソラ君は瞳をキラキラさせてお腹に話しかけた。


「チョラおにちゃだよ~。たくちゃんあしょぼーにぇ。おにちゃ、なかよち、すゆよ~。おやちゅもわけてあげゆにょ~」


 お腹のベイビーズにも通じているらしい。楽しそうな感覚がする。そして、お腹がなにやら点滅している。ソラ君達は全く動じずに話しかけているんだけど、異世界では腹が輝くのは普通なの?


 ルル君、トーワ君、エド君もそれぞれ気にせず話しかけている。たくさん遊ぼうとか、微笑ましい。

 しかし、輝く腹が気になる。


 なんか、ソラ君達はクスクス笑っている。え!?君らベイビーズと交信できるの!?


「おとこにょこ?、おにゃにょこ?」


 あ、それは私も気になる。


「おねちゃ、おとこにょこと、おにゃにょこふちゃりだって」


「え?」


「おにゃかのあかちゃ、おとこにょこと、おにゃにょこふちゃり」


「ソラ、マジか?」


「ふにゃ?まじだにょ~」


 お兄ちゃんのトラ君が、ソラ君と目を合わせて確認した。素直に頷くソラ君。


「なんと!素晴らしい!!女の子が二人ですと!?ならばさっそく愛らしい服をオーダーメイドせねば!玩具も可愛らしいものを準備せねば!」


「落ち着け!」

「落ち着いてください!!」


 明後日の方向に暴走するじいを慌てて止めるマサムネさんとカダルさん。


「そっか…楽しみだねぇ」


「にぇ~」

「うん」

「ぴぃ(こくり)」

「………(こくこく)」


「お兄ちゃん達と遊ぶの、きっと楽しいよ。元気に育って、出てきてね」


 お腹が応えるように淡く光った。


「…どう見ても、通じてるよな。妊婦なんか見たことねぇけど、こんなに反応するもんなのか?」


 トラ君が首をかしげた。じいが頭をかきつつ、首をかしげる。


「さあ…ただ、私はぼっちゃまがお腹にいる頃を存じていますが…このような反応は無かったような…」


「ぼっちゃまの時は…無かったぞ」


「ああ…多分、無かったな」


 断言するマサムネさん。頷く庭師のマイケルさん。


「私は何度か妊娠した貴族女性のお世話もしたことがありますが、腹が光るような奇っ怪な現象に遭遇したのは今回が初めてです。また、幼児と意志疎通がはかれる胎児もありえません」





『…………………』


 しん、と静まる室内。






 オブラァァァト!!

 カダルさん、オブラァァァト!!






 うちのベイビーズは異世界でもおかしかった!いや、待て!


「…女神(ミスティア)の加護のせい!?」


「ああ…なくはないのでは?」


 頷くカダルさん。私はまだ朝食を食べてる精霊さんに声をかけた。


「ピエトロ君!」


「…多少影響はあるけど、素地が素地だから私のせいだけにしないで!だって。団長と姫様は最高の魔力相性だから、子供は高魔力保持者になるってよ」


 そうなの!?いや、ちょっと待って!


「なんでミスティアとリアルタイムで話せるわけ!?」


「こないだツーシンマグとかって奴をミスティア様から貰ったから。別世界の技術だから貸せないけど、僕を仲介してなら話せるよ」


「………便利だね」


「うん」


 まぁ、役立つ事は多分ないけど。ミスティアに用事は基本ないし。





「きゅーん」


 そして、マイダーリンが帰還した。大きな狼さんは捕獲されずに済んだらしい。


「おかえり。わ、泥と葉っぱだらけ…」


 尻尾を振りながら逃げるわん…狼さん。私をチラチラしている。照れてますね?


「あ、お腹の子は男の子と女の子二人らしいですよ」


 ケビンにも報告しないとね!


「アオン?」


 首をかしげるわん…狼さん。可愛い。抱きついてぐりぐりしたい。


「ソラ君達はお話しできるみたいですよ」


「できるにょ~」

「できるの」

「ぴぃ!」

「……(こくり)」


「…そうか、楽しみだが…これで貴女の価値がさらに上がってしまうな」


「価値?」


「そうですね。異界の姫君は女児を産みやすいとはいえ、初産で女児を二人もとなれば世界中が姫様を求めるでしょう」


 カダルさんも真面目に頷く。女児の出生率が低いこの世界では仕方ないことだ。


「そっか…」


「僕らも頑張って護衛します!」

「…ま、俺らがやることはどっちにしろかわんねぇしぃ?」

「姫様は我らが必ずや守ります!」


 シャザル君は真面目に、サズドマは笑って、ヘルマータが真剣に言ってくれた。頼もしいね。


「ああ、頼んだぞ」


 ケビンも頷いた。


「……とりあえず、ケビンはパンツを履いてください」





『…………………………』





 誰も何も言わなかったが、ケビンが話した辺りから彼は全裸だった。


「すいません、団長があまりにも堂々としていたもので」


 謝罪するカダルさん。頼むから裸族には染まらないでくれよ?これ以上属性を増やさないでいただきたい。


「ケビンだから正直眼福ですが、目の前でブラブラされるのは「アオオオオ!」


 ケビンが鳴いた。狼になって、必死に股間を隠してプルプルしている。かわゆす。駄目だ!辛抱たまらん!!

 気の利くマイベイビーズが浄化してくれたケビンを存分にもふる。首にスリスリ、耳を甘噛み。ふはぁ…いい匂い…首の匂いを嗅ぐ。


「ケビン、可愛い!好き好き!大好き!!かわ「アオオオオオ!!アオオオオオ!!アオオオオオン!!」


「ケビィィィィィン!??」


 ケビンはまた狼さん姿で窓をぶち破って逃亡した。今日の遅刻が確定した瞬間だった。




「…………わざとなんですか?」


「…可愛いから、つい…一回は我慢したよ!一回は!でも可愛すぎたから仕方ないんだよ!」


 ケビンが可愛いのがいけないんですよ。愛でたくなるんだもん!!


 ちなみに、割れた窓はスノウが直してくれた。よく研究でうっかり破壊するから直すのが得意らしい。そもそも破壊するんじゃないと私が叱ったのは言うまでもない。

 子供同士は意思疎通しやすいらしいです。

 そして忘れた頃にやや不憫なケビンでした(笑)


 作者は子供に『どいどぼい!』と言われ、指差すモノを見て納得しました。



 こいのぼり、でした。



 ちなみに、保育士な友人は即答でした。流石です。

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