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さらに祝福されたんだよ

 外ですぐに結婚式ができる教会を騎士さんが見つけてきてくれました。


「ちゃんと神父も捕獲しました!いつでも式は可能です!」


 報告に来たのはシャザル君でした。君はまともだと信じていたのだけど…神父さんはこの国では捕獲するものなんだろうか…多分違う気がする。


「団長、姫様、おめでとうございます!」


 満面の笑みで祝福してくれるシャザル君。


「ありがとう」


「…あれ?珍しいですね。赤い石の飾りですか」


 胸元のコサージュで隠れているが、中央に赤い石が飾られている。ん?赤、青、白というか、光沢ある白だから銀?


「…ケビンの色だからじゃない?」


「アオン!??」


 多分正解とみた。ケビンがめちゃくちゃ動揺している。


「ああ、なるほど」


 シャザル君が私とドレスを交互に見る。ケビンは赤面しているが、これ以上刺激しては花婿不在の結婚式になりかねない。ガマン、ガマン。


「でも、私の世界だとウェディングドレスが白いのは旦那様の色に染まるって意味だから、ケビン色のドレスはこれ以上ないぐらい結婚式に相応しいね」


「アオオオオオオ!!」


「ケビィィィン!?」


 久しぶりにケビンが走り去ってしまった。何故!?今の会話のどこに走り去る要素が!??


「だから的確に致命傷を与えないでくださいよ…」


 呆れたご様子の副団長様。いや、私はなにもしてないよ?


「…今のどこに致命傷になる要素が?」


「…姫様は精魂込めて縫った自分の色のドレス。意味に気がついた上、結婚式に相応しいねと相手が喜んだらどうですか?」


「普通に嬉しい」


 ダメだこいつって顔をされました。いや、嬉しいんじゃない?


「………………ええと…自分でも『自分の色』とかキザだなと思っていたのがバレた。しかし相手は喜んだ」


 シャザル君が微妙にニュアンスを変えてきた。それには白い薔薇事件で覚えがある。


「嬉しいけど悶える」


「そんな感じです。姫様はそういうポイントを容赦なく突いてくるんです」


「おお…」


 後で謝ろうと思いました。ケビンは5分後に葉っぱだらけで戻ってきてじい&カダルさんに叱られ、耳と尻尾がしゅんとしてました。かわゆす。






 ケビンが綺麗になったので教会に行くことになりました。


「さぁ、行こう。その靴では歩きにくい。教会まで抱いていこう」


「ええ!?」


 軽々とお姫様抱っこをされてしまう。暴れるが安定していて降りられない!


「そうですね、それがいいでしょう。姫様が団長にメロメロだとアピールもできますし」


 カダルさんとじいが先に移動し扉を開けてくれる。味方がいない!たまたますれ違った近衛騎士の青年は驚いた様子だったが、すぐ察して祝福の言葉をくれた。


「もしや結婚式ですね?おめでとうございます!」


 すぐに噂が広まったらしく、侍従さんやコックさん、庭師さんまで見送りながら口々に祝福してくれた。


「姫様、おめでとうございます!」


「おめでとう!」


「団長、羨ましいぜ!」


「ありがとう!」


 私も声をあげ、手を振って皆にお礼を言う。


「ああ、ありがとう」


 ケビンも穏やかに祝福の言葉に応えて手を振る。




 城の入り口まで来たら、聞きおぼえのある声が聞こえた。


「待て!止まれ、ケビン!!」


「陛下……」


 国王陛下が猛ダッシュで追いかけてきた。かなり必死な様子だったので、とりあえず立ち止まるケビン。


「ぜー、ぜー…げほっ…んん!今日、異界の姫君と結婚すると聞いた。祝いの言葉ぐらい言わせてくれ…これでもお前の父なのだ。愛する妻を亡くして腑抜けになり、幼いお前が危険に晒されているのに気がつけなかった愚かな父ではあるが……お前の幸せを願っている。おめでとう、ケビン」


「父上…ありがとうございます」


 少し涙ぐむケビン。良かったね。


「できることなら、結婚式に参加していただけないでしょうか。私の肉親はすでに他界していますし、ケビンの肉親だけでも参加してほしいです」


「…ああ!よし!執務は後回しだ!結婚式に参加しよう!!」


「あ、父上ずるい。私も参加していいかい?」


 この世界基準でかなりの美形…誰??首をかしげていると、ケビンが説明してくれた。


「兄だ。兄上、参加してくださるなら…嬉しい」


 言われてみれば、彼も銀髪に青い瞳だ。


「あ、お義兄さんでしたか………お若く見えますね」


 というか、ケビンが老けてるのか。並ぶとケビンが年上にしか見えない。


「そうなんだよね!ケビンみたくこう…貫禄があるといいんだけどさぁ、私ってば年齢より若く見られちゃうんだよ。ケビン、威厳を分けて!」


「ええ?…兄上、俺に威厳なぞありませんよ?」


 首をかしげるケビン。


「とりあえず、しゃべり方じゃないですか?」


「うん、姫君はなかなか頭がいいね。私に媚びないところもいい。いいお嫁さんを見つけたんだね。私がまだ幼かったからなんて、言い訳にもならない。ずっと助けられなくて、ごめん。でもお前が自力で幸せになって…よかった。姫様、自慢の弟なんだ。弟をよろしくね」


「はい!」


 必ず後で行くからね、と国王様と王太子様に見送られ、城を出たのだった。

 なかなか結婚式にたどり着きません。何故だ…!二回ほど結婚式にたどり着かずタイトルを直しております。

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