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体調不良?なんだよ

 朝、異変に気がついた。なんか…魔力が足りないというか…違和感?首をかしげつつ皆で朝食を摂ろうとしたのだが…


「うう…」


「…セツ?」


 気持ち悪い。味噌汁の匂いがなんかダメ。


「うにゃあ?」


 気持ち悪くてうつむく私に、ソラ君が駆け寄ってきた。頭を撫でるとゴロゴロ言ってる。ちょっと和んだ。


「なんか…気持ち悪くて…ごめんなさい。せっかく作ってくれたのに…食べられないかも…」


 朝ご飯は今朝も美味しそうだけど…やはり食べられそうもない。


「…かまわんさ。少し待て」


 マサムネさんは私の食事を片付け、新しく茶碗と焼き魚を持ってきてくれた。


「これは?」


「茶漬けならぬ水漬けだ。出汁に漬け物と野菜を入れた。焼き魚は冷ましてポンジュをかけた。さっぱりしているだろうから、食えるだけ食え」


「いただきます!」


 吐き気が嘘みたいで、ペロッと食べてしまった。ポンジュはポン酢だった。相変わらず惜しい。焼き魚に酸味が加わり、大変美味しかった。

 水漬けもサラッと食べられた。なんだったんだろ。

 結局、いくつかの匂いで吐き気が出ることが解った。マサムネさんがその食材は避けてくれるそうだ。うう、なんか面目ない。

 しかしマサムネさんは気にするな。皆が旨いメシを食えるように努力するのは俺の仕事だと言ってくれた。お、男前!



 しかし、異変は匂いだけではなかった。



「…あれ?」


 いつもみたいにちみっ子になろうとしたら、魔法が作動しない。


「セツ?」


「小さくなれない…」


「ま、まさか俺が昨夜無理をさせ過ぎたせいか!?」


「いや、多分違う…」


 なんだろう。ナニかに邪魔されてる??でも嫌な感じではないような?とりあえず、ちみっ子になるのは諦めた。


「あ、あの…」


 おずおずとスノウが挙手した。


「姫様の魔力が今までになく乱れています。お師匠様に聞いてみてはどうでしょうか?」


 原因は魔力の乱れなのかな?とりあえず賢者様のとこに行くことにした。ケビンは心配してごねたが仕事に行かせて、スノウと護衛にシャザル君・ヘルマータと行くことになった。







「ふむ…」


 私を見るなり、賢者様はメモを書いて渡した。


「ワシは専門外じゃ。そこ行け」


「え?」


 メモには住所が書いてあるようだ。貴族街の辺りかな。


「安心せぇ。そやつは口が固い。情報を漏らしたりはせんじゃろ」


「…情報漏洩するとまずいナニかなんですか!?姫様は大丈夫なんですか!?」

「まさか大病!?」

「不治の病!?」


 スノウ、シャザル君、ヘルマータが賢者に詰め寄った。君たち、心配してくれるのは嬉しいが、私の不安を煽るのやめてくれ。不治の病とか洒落にならないんですけど!


「予想じゃから詳しくは言えん。そのメモの場所に行けばわかる。これも持ってけ。これ渡せばすぐ診てくれるはずじゃ」


 賢者様からお手紙をもらった。そして素直にメモの場所に行くことになった。ヘルマータがここはもしや…と呟いていた。







「やはりか」


 なんかやたら高級感溢れる……病院に到着した。あれ?ヘルマータが眉間にシワを寄せている。ここは女性専用の病院なんだそうだ。めっちゃ居心地悪そうだね。 シャザル君も居心地が悪そうだ。スノウはポヤッとしている。

 高級感溢れる病院では、女性が働いていた。


「当病院では、検査も女性が行います。やはり旦那様以外に肌を見せるのは…という女性が多いですから」


 富裕層の女性が使うわけね、と納得した。上品な女性に案内され、問診表を受け取る。

 待合室にマダムがちらほら…若い女性もいる。身なりがいいから貴族ばかりだね。女性特有の病気を取り扱ってるってこと??


 問診表は向こうと同じだなぁとか考えていた。




 あれ?





 項目に記入していくうちに、ある可能性に気がついた。体温が一気に下がる感覚。




「ま、まさか…」





 迂闊だった。今、初めてその可能性に思い至った。






 そして、診察タイム。初老のお祖母さん医師は、私の予想通りのリアクションだった。


「ま、マジですか!?マジですか!?」


 いや、マジでした。この状況でか!?ガチでどうしよう…とりあえず、嘘とか隠し事が苦手なケビンには隠し通すべき!?


「あ、姫様。結果は大丈夫でした?」

「顔色、悪い…」

「何かあったんですか?」





 私は、とりあえず成すべきことをすることにした。


「とりあえず体調は大丈夫!私の護衛を緊急招集してください!!」


 私は緊急事態でない限り、魔法を使ってはいけない体になってしまった。だから、護身のために護衛さんたちにレベルアップしてもらうことにした。


 それにしても…本当にどうしよう。私が彼の足手まといになるわけにはいかないのに……


「姫様、大丈夫です。魔法が使えなくても、ちゃんと僕らが守りますから!」


 不安そうにしていたのがわかったのだろう。シャザル君が励ましてくれた。シャザル君みたいないい子が何故カダルさんの弟なのか…世界の不思議である。


「ヒヒッ。問題ないよぉ。ヒメサマに危害を加える前にヤッちゃうからぁ」

「馬鹿!殺るのは情報を引き出してからだろ!」


 それもどうなんだ。サズドマにずれたツッコミをするヘルマータ。ついクスクスと笑ってしまった。


「…大丈夫ですよ」

「騎士は護るのが仕事ですから」


 双子騎士からウインクをいただいた。イケメンだから違和感がない。イケメンすげぇ。他の護衛騎士さん達も頷いてくれた。


「…ありがとうございます。お世話になります」


 済んだことを気にしても仕方がない!前に進むだけだと気を取り直し、自分にできることをしようと決めたのだった。

※その頃のケビン


 そわそわそわそわ。


 そわそわそわそわ…


「団長、仕事に集中しないと姫様に姫様が居ないとまるで駄目な団長だとチクりますがよろしいですか!?」


「よくない!」


「なら、働け」


「わかった!」


 そして、必死に書類仕事を片付けるケビン。


「…使えるな」


 副団長様は必殺技『姫様にチクる』を覚えた。


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