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お肉を皆で食べるんだよ

 落ち着いた頃に説明されたが、狩りに出かけた騎士さん達はあの猪もどきの群れを見つけた。

 あの猪もどきはおいしいので狩ることにした…まではよかったが、思ったより群れがでかくて取り逃がしたらしい。


 この猪もどきの嫌なところは、自分より弱いものを探して倒そうとするところ。私にキング(正確にはキンググレートボアだったかな?)が襲いかかってきたのも、私があの中で一番弱かったからだ。おっさんがいてよかった。

 プクプク君はパワーアップが切れたらしく、いつの間にかもとの姿に戻って泣きながら私の無事を喜んでくれていた。しかし『ピエトロに殺されるとこだった』と泣く彼に…ピエトロ君はプクプク君の中でどうなっているのか大変気になった。


 騎士さん達はウキウキと猪もどきを解体してお肉にしていく。あ、どうせならソーセージ作ろう。保存もきくし、作り方も知ってる。


「あ、プクプク君。くさみを消すハーブとか、保存にいいやつ知らない?」


「お任せだよ!そのかわり、おいしいお肉を僕も食べたいなぁ」


「いいよー」


 プクプク君は野菜や果物を提供してくれるし、騎士さん達も文句はないだろう。

 こっちにもソーセージはあるらしく、そちらは騎士さん達が作るとのこと。プクプク君はおいしいソーセージのために、ハーブについて熱く説明した。

 おいしいソーセージを食べたい騎士さん達も熱心に聞いていた。これならおいしいソーセージができるに違いない。





「豚汁食べたいなぁ…」


 正確には猪もどき汁になるのかな?一気に得体の知れない汁になったね。


「トンジル?」


「豚肉と野菜たっぷり入れて、味噌で味付けした汁物」


「ミソ?」


「大豆を発酵させた調味料で……」


「あ、ミソラだ!」


 いや、味噌…こっちだとミソラなの?






 結局、ミソラは味噌だった。さらには醤油がソーユ、ケチャップがケチャプ、ソースがソーナンス。最後辺りは作った人のちゃめっ気が見えている。何故ちゃんとした名前を覚えさせなかったのか!


 気を取り直してひたすらお野菜を刻んでいく。


「イヒヒッ、意外に手を切らないねぇ。切ったら舐めてや「おっさん、助けてぇぇ!!」


「ふん!」

「イヒッ!?」


 上から降ってきたおっさんにどつかれ、変態が連行されていった。おっさんはどこに潜んでいたのだろう。考えないことにした。


「……すいません、変態がすいません…」


 シャザル君が謝罪しながら野菜を刻むのを手伝ってくれた。出汁はキノコ。おいしそうな匂いがしてきた。


 豚?汁は問題なく完成。




「しょうが焼きが食べたいなぁ…」


「ショウガ?ショーガナイかな?」


「………………」


 もはやちゃめっ気を通りすぎた何か(親父ギャグ??)を感じたが、気にしないことにした。


 ショーガナイはやはり生姜だった。下処理を丁寧にしたから、柔らかくておいしいしょうが焼きになる…はず!つけだれに肉をつけこんでいく。快く肉をたくさんわけてくれた騎士さん達のためにもおいしく作ろう。


 せっかくだから皆に食べてもらおう。多目に作るんだ。付け合わせはホウレン草のおひたし…いや、やはり刻みキャベツは外せない!





「そろそろいいかな?」


 具だくさんの豚?汁にお味噌を投入。味見をしてみる。


「んまぁい!」


「くぅん………」


「……………………」


「きゅーん……」


 おっさんはおねだりしている。コマンド?

・なでる

・だきしめる

・あじみさせる


 いや、上2つはあかん。小皿に肉を少しと汁を分けてやった。


「う…………………」


 おっさんが地面に膝をつけた。え??なんで??体調不良??


「うおおおおうまああああい!!うますぎる!!アオーン!アオーン!!」


「おっさああああん!?」


 おっさんが大興奮である。おちつけ、ただの豚?汁だ。


「そんなにうまいのか!?」

「しかも女の手料理…」


 なんだかおっさんのせいでハードルが上がりまくった気がする。そんな極上の味ってわけではない。普通においしい豚?汁だ。



 周囲の期待が過剰な気がしてならないが、マイペースにしょうが焼きを焼き始めた。


「きゅーん…」


「駄目」


「きゅーん?」


「………………」


「きゅう………」


 そんな穢れない目で味見したいなっておねだりすんなよ、おっさん!!


「……………………ちょっとだけだよ?」


 誰だ!?今『姫様団長にあっま!』とか言ったやつ!仕方ないだろ!おっさんが可愛いんだもん!あの巨体でありながら、耳と尻尾をしんなりさせて『お肉食べたい…きゅーん』と言われたら…自分のぶんまでおっさんに貢ぎかねない。なんと危険なおっさんなんだ!


「うまああああい!!うますぎる!!アオーン!アオーン!!」


 そして、またオーバーリアクションなんだから…


「イヒッ、本当にそんなうまいの~?」


「あっ、コラ!」


 変態が盛りつけた皿から摘み食いした。この皿はこいつの分にしてやる。皿を渡そうとしたら、変態は目を開いたまま固まっていた。


「ナニコレ、うっま!!これオレの分??食っていい分??」


「え?ああ、温かいうちに食べたら?」


 変態の無邪気な笑顔に叱るつもりが毒気を抜かれてしまった。あれ?なんか変態に鱗が??変態もなんかの獣人なわけ??変態は皿を受けとると噛みしめつつしょうが焼きを食べていた。

 そして気がついたら、しょうが焼きに行列ができていた。


「アオーン!」

「にゃふーん!」

「パオーン!」

「うっっめえ!!」

「スープもあったまる…うめえええ」

「んめえええええ!!」


 私の捜索に来ていた騎士さん達は40人。おっさんが指揮するうちの3割なんだそうな。残りは通常業務してるかお休みらしい。

 その半数が獣人だったらしく、犬(後に狼と判明)猫 (と思ったら彪と虎と獅子もいた)リス?象、猪(と思ったら豚だった)なんかの姿をしていた。


「姫様……」


 おっさんは戸惑っていた。特盛にしたからだろう。


「おっさんは私をたくさん助けてくれたから、特別サービスだよ。たくさん食べてね」


「あ…アオーン!アオーン!!アオォォーン!!」


「だ、ダメ!温かいうちに食べて!」


 感激したおっさんがまた独りマラソン大会を開催しそうだったので腰に抱きついて阻止した。


「姫様、おいしいです。ぐしゅっ………すごくすごく、おいしいです」


「うん、たくさん食べてね」


 おっさんがあまりにも可愛いもんだから、ついナデナデしてしまった。


「!!??」


 おっさんが真っ赤になってフリーズした。


「ご、ごめんね!?撫でたらダメだった?」


「い………いえ、その…う、うれしいでしゅ」




 噛んだ。やだもう、なにこの可愛い生き物。おっさんが可愛すぎて、私の理性が迷子になった。



「おっさん可愛い」



「は?」


「ちょっとでいいからぎゅーさせて!」


「は!?姫様!?あ、アバババババババ!?」


「ぎゅー」


 おっさんの頭を抱えてスリスリしてやった。おっさんは抵抗できず、されるがままである。




「ああああ可愛い!おっさん可愛いぃぃ!」





 しばらく私は大暴走(フィーバー)してしまいました。


「…………ヒメサマさぁ、ナニしてんの?」


 まさかの、変態に諭されてしまった。


「…………えっと…親愛の抱擁??」


「団長、白目むいてるけど?」


「おっさああああん!?」




 その後、おっさんは私をチラチラ見るものの、近寄ってきませんでした。おっさん、謝るから許してくれ!

 おっさんが可愛いから仕方ないと思うの。書いてて楽しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ソーナンス…… ???「ソーーーーーーーナンスッ!!!」 というのが、頭の中でめちゃくちゃ主張してくるんですがw
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