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思いやれるのはいいことなんだよ

 お茶会が終わって仕事を片付け帰宅したら、スノウが決死の表情で土下座して待ち構えていた。


「説明ぷりーず」


「魔力を少しでいいから使わせてください!」


「…理由は?」


「子供達に魔法を見せてあげたい…魔法の素養がある子がいるので教えたいんです!信用できないなら、隷属魔法で縛ってもらってもかまいま「いーよ」


「へ?」


「いいのか?」


 同じく待ちぶせしてた(ただし横で立ってた)シロウ君が聞いてきた。


「シロウ君はスノウが嘘ついてないと思ったから玄関での待ちぶせを許可したんでしょ?魔力もあるなら使えた方がいいし、隷属魔法を使われてまでと言うなら、悪さするつもりもないんでしょ」


「よかったな、スノウ」


「うん…!」


 おお、すっかり仲良くなっておる。シロウ君のコミュ力がすごいのかな?スノウは基本ぼっちな生きものだったはず。

 後にシロウ君から、人間不信なガキの扱いは慣れてるからなと言われ…何人かの獣人の子達が明らかに目をそらした。なるほど。


「おねちゃ、おかえりなたーい」


「ただいまぁ」


ソラ君、ルル君、エド君が抱きつきに来た。ぐはっ!エド君のは突進レベルだったけど…耐えきったよ!

 トーワ君はちみっこフクロウとなって私の肩で頬ずりしてる。天国じゃ!かんわゆぅぅい!!

 しばしちみっこ達に囲まれて、ぷりてぃモフモフを堪能した。ぷりてぃでキュンキュンしたよ!!でらかわゆす!!


 ちみっこ達はすっかりナデナデがお気に入りらしく、帰宅したらお出迎えとナデナデはもはやセットだったりする。ふはははは、幸せじゃああ!!


「きゅーん…くーん」


「はっ!」


 私の可愛いわんK…じゃなかったケビンが…!せつなげに鳴いている!そんな悲しい表情で鳴かないで!


「だんちょ、おねちゃしゅきねー」


「うん…」


 そこは否定できない。ちみっこにジェラシーなケビン、かわゆす。あれだな、不憫可愛い。甘やかしてでろんでろんにしてやりたい。


「おねちゃ、なんでちっちゃい子?」


「あ」


 そういやちみっこ姿で会うのは初めてだったね。


「魔法だよ~。大きいお姉ちゃんが本当の姿だよ」


「しょうにゃんだ~。しゅごいのね~」


「…スノウと、どっちがすごいの?」


 トーワ君が聞いてきた。


「スノウかな」

「姫様です」




「「……………」」





「スノウ」

「姫様」


「…私はまだ魔法は習いたてだし超我流です。スノウは天才魔法使い様ですよ」


「私はちょっと魔力があるだけで、失敗を繰り返しながらわずかに成功して今の地位になったんです。魔力量、発想力・応用力…姫様こそが真の天才です」


 ぐぬぬ…お互い譲りません。


「つまり、りょーほーしゅごいのにぇ」


「「……………」」


 お互い頷いた。もうそれでいいや、と互いに妥協した。


「セツ姉」


「ん?」


「団長をそろそろ…」


「あ」


 放置されたケビンは耳も尻尾もしんなりして、涙目だった。スノウとどっちがすごいか対決してる場合じゃなかったよ!


「け、ケビン…」


 体育座りの愛すべき大男は、ほっぺを膨らませてプイっとした。しかし、尻尾はちぎれんばかりにパタパタしまくっている。



 ツンデレ、きゃんわゆぅい!!



「ケービン」


「……………(プイ)」

※尻尾はパタパタしまくっている。


「ケビンってばぁ」


「…………………(プイ)」

※やはり尻尾はパタパタしまくっている。


 やばい、ナニかに目覚めそうなほど私を無視するケビンが可愛い。プイしながらも常に尻尾はパタパタしまくっている。つまり『う、嬉しいけどまだ許してあげないんだワン!か、かまわれたって許してなんか………う、嬉しいけどね!』みたいな?


「だんちょ、おねちゃにいじわるめーよ?おちょこはおにゃにょこにやちゃちーしゅるにょ」


「…団長がお姉ちゃんとあそばないなら…お姉ちゃんは僕らがもらうよ」


 あら、いやん。トーワ君たら男前。ソラ君はえらいね!ご機嫌でちみっこ達をナデナデしてあげた。


「だ、ダメだ!セツは俺のだ!!誰にもやらん!!」


 ケビンが軽々と私を抱き上げた。耳も尻尾もピンとして、本気で慌てている。かわゆい。


「だんちょ、おねちゃしゅきねー」

「うん、だいすきだね~」

「ちがうよ、愛してるって言うんだよ」

「…らぶらぶ~」


 ちなみに、ソラ君、ルル君、トーワ君、エド君の順にしゃべった。


「エド君がしゃべった!」


 エド君のトークはレアであります。


「まぁ、確かにエドがしゃべんのは珍しいけど…セツ姉、そろそろ団長にかまってやったら?」


「たまには焦らすかなと」


「!??」


 あ、ケビンが固まった。そんな『ショックですワン!僕を弄んだんですか!?』という目をしなくても。


「大好きだからたまぁに意地悪したくなるんですよね。ケビンたら、こんな性悪小娘に好かれて可哀相」


 顎を撫で、くすりと笑った。すでにいつもの大人姿に戻っている。ケビンは動揺しまくっており、狼フェイスで銀がピンクの毛並みに見える……つまり赤面しているらしい。


「セツは性悪小娘なんかじゃない!素晴らしい女性だ!セツになら、意地悪されても…う、うれしぃ…」


 恍惚としたケビンに愛しさを感じつつ、サズドマ的な新たな扉を開かれると地味に困るので修正をかけることにした。私に嗜虐嗜好はない。


「まあ、虐めるよりもデロンデロン甘やかして幸せにしたいですけどね。…覚悟してね、ダーリン」


「あ、アオオオン!!」


 ケビンは鳴いたが、私を抱っこしているので逃亡不可である。興奮していようと私を抱く手は優しい。


「ぎゅー」


「アオオオン!?アオオオン!!アオオオン!!」


 首に抱きついて甘噛みした。ふさふさな毛皮にスリスリする。サラモフ…昨日念入りにブラッシングしたかいがあったね。

 逃げ場がないケビンはしばらく私を抱っこしたまま、屋敷周囲を駆け回りました。



「ぼっちゃま…近隣からぼっちゃまが女性を拐ったのではないかと……」


「「すいません」」


 ご近所の誤解はきっちり解消してきたよ。近隣の住人からは仲がいいんだね、と生温い視線をいただいたのだった。

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