まさかのお茶会から…なんだよ
お茶会は、やたらと熱気に包まれていた。その中心にいるはめになった、私。
フルーツタルトとプリン(正確にはプリンアラモード)のおかわりを賭けて、ご令嬢達が争おうとしたからだ。後にカダルさんがしれっと
「所詮良家の子女達ですから、身分が高い家のお嬢様が食べることになったでしょうね」
と言った。だからそーゆーことは早めに教えようよ、カダルさん。事後報告すんな。無駄な努力でしたねと後に笑うとか地味に酷いよ!
そんなこととは知らぬ今の私は必死だった。食べたい人はじゃんけんです!と無理矢理じゃんけん大会を開催するはめになった。
いやもう、どうしてこうなった。最近スルーできない案件が多すぎて、誰からもマイペースだねと言われないよ。
意味不明な現実逃避をはかる私を取り巻く令嬢達は、私を注意深く観察していた。観察してもじゃんけんは勝てないよ、多分。
そして…
「じゃーんけーん、ぐー!」
握りこぶしを突き上げた私に合わせて手を出したご令嬢達。
「きゃあああああ!やりましたわ!」
「いやあああああ!ま、まけましたわぁぁ!」
「やったぁぁ!勝ちましたわ!」
「うわぁぁぁ…フルーツたると……」
狂喜乱舞するご令嬢、泣き崩れるご令嬢…そんなに食べたかったの?泣かないでほしい。次は多めに作るからね。というか、スイーツごときで盛り上がり過ぎだと思うの。
某教育番組のお姉さんはこんな気持ちなのかしら…いや、幼児とお姉さんに失礼か。
「じゃーんけーん、ちょき!」
「きゃあああああ!!」
「やりましたわ!!」
「あ、貴女!ズルしましたわね!?」
「し、してませんわ!」
「お姉さんは後出しでアウトでーす」
ご令嬢の指摘には反論したが、私のジャッジには従ってくれた。
そして、優勝者は…
「セツ様、わたくしはやりましたわ!」
「せっちゃん、勝ったわよ」
まさかの友人達だった。ラトビアちゃんは私のプリンも食べただろうに。
「…ラトビアちゃん、誰かに譲る気は?」
「勝負の世界は非情なものですわ。セツ様のスイーツは別腹ですのよ!」
言い切った!この子言い切ったよ!そんなに食べたいなら仕方ない。
勝者は敗者に超絶羨ましがられながらスイーツ(おかわり)を食べていた。
そして、当然食べ損ねた令嬢達は私をターゲットにした。
「是非、我が家のお茶会に!」
「いえいえ、当家の庭園は見事でしてよ!」
やばいな。ご令嬢達がヒートアップしてきた。このままでは私はセール品の如くひっぱられかねない。アラームが久しぶりに鳴っている。
「け、ケビン助けて!」
風がふいたと思ったら、一気に視点が高くなった。
「きゃあ!?」
「獣人!?」
「ぶ、無礼ですわ!このお茶会に汚らわしい獣人が…!」
「ケビン、助かりました」
「いえ…無礼をお許しください、ご令嬢方。我が婚約者殿が助けを求めたので馳せ参じました」
ケビンは私を抱っこしたままで謝罪した。ケビンに嫌な思いはさせたくなかったが、お嬢様達が怖くてつい呼んでしまった。だってさ、眼が血走ってるお嬢様達怖いんだよ!今ちみっこだから余計怖いんだよ!
「ケビン…」
いや、もうマジで安全安心なケビンの腕の中。アラームも聞こえない。
「アオン!?ちょっセツ!?嫌ではないが、ここでは…!」
あ、やべ。ついスリスリしつつ首に甘噛みしちゃった。お嬢様達も赤面している。
んー、まいっか。
れろ、とケビンの首筋を舌でなぞる。そして、綺麗にキスマークをつけてやった。しかし、うちの婚約者様はアワアワしまくるわりに私を微塵も揺らさない。安定した姿勢をキープさせている。
「セツ、何を?」
痛みについてだろうから、説明してあげた。
「んー、マーキング?ケビンは私のものだから」
「…!??も、もちろんだ!」
「と、言うわけで今回だけはノーカウントですが…次に私の唯一最愛の婚約者様に暴言を吐いた輩は二度と異世界スイーツを食べられませんから、そのつもりで」
お嬢様達は赤面しながらめっちゃ頷いていた。
「そのうち我が家でも茶会を開催したいので、その際は参加してくださいね」
お嬢様達はめっちゃ頷いていた。
「名前とかは…」
「私が記憶してございます。本日不参加だったご令嬢も招待いたしましょう」
「ありがとう、カダル」
「いえいえ、我が姫様のためでしたら」
カダルさんがなんだかツヤツヤしていたが、とりあえずスルーすることにした。
完全に側妃はスルーの構えだったが、自己顕示欲の塊なオバハンにはこちらの方が堪えるだろうと思ったが、この茶会が予想以上の効果をもたらしていたことを、私は後に知ることになる。
すいません、作者寝落ちしました。
花粉症の薬を飲むと眠いのなんのって…眠いと書けないし…飲まないと痒いし…
(=_=)
滅びろ、スギ花粉
(*`Д´)ノ!!!




