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頼もしすぎるんだよ

 ずっと休むわけにもいかないので、今日はケビンと騎士団に行くことになった。ケビンに抱っこされての移動はとっても快適。速いんだけど、振動もほぼない。そしてケビンがぬくいので寝てしまいそうなぐらい心地いい。ケビンは私がうたた寝する前に騎士団に到着した。そして騎士団に到着するなり、大勢の騎士達さんに囲まれた。


「おはようございます、姐さん!襲われたって聞いたけど、大丈夫ですか!?怪我は!?容態は!?団長に抱っこされてますが、まさか歩けないとか!?」


「大丈夫。怪我もないし、歩けるよ。抱っこされてるのは、その方が早いからだよ」


 どうやら心配されていたらしい。私がへらっと笑って怪我はないと話すと、皆ホッとした様子だった。


「おはようございます、姐さん!白い悪魔を団長とボコボコにしたって聞きましたけど、無事ですよね!?」


「ボコボコにしたのは主にケビン…団長の仕業です。そして白い悪魔ではなく白い人間です。私は無事です」


「姫様、白い悪魔はスノウのアダ名だ。あれはよく爆発やら魔術の失敗で事故を起こしたりするのだ。ゆえに魔法使いの中でもトラブルメーカーとしてマークされている」


「……そうなんだ」


 ケビンが情報を補足してくれた。悪魔と呼ばれるのは自業自得な部分もあったようだ。よーく常識人(シロウ君)に教育していただくとしよう。ちなみにカエルが空から山ほど降ってきたりするなど、バラエティに富んだ失敗をするらしいです。


「おはようございます、姐さん!王妃とタイマンしたってマジですか!?当然勝ったんですよね!?」


「しとらんわ!」


 いくら私でも殴り合いはしないよ…多分!あのオバハンにはイラッとしてまくってるから断言はできないけどね。


「あの顔だけ近衛副団長を降格させたって本当ですか!?」


「降格させたのは国王陛下です。私ではありません。そもそもそんな権限ないし、あれはアイツの自業自得だから」


 皆さん、ヒャッホーざまぁ!と喜んでます。人望ないんだね、あの残メン。やはり残念なイケメンで正しかったらしい。

 ケビンによると、手柄を横取りしたり、騎士団にせこい嫌がらせ…例えば会議の時間を間違って伝えるとかをするので、毛虫のごとく…いや、毛虫より嫌われているんだそうだ。

 顔がいいからって偉そうにしやがって等、個人的な恨みも多々あるようだが。


「近衛騎士団長を寛大な心で許したって聞きましたけど、マジっすか!?」


「いや寛大もなにも、そもそも近衛騎士団長は悪くないし。強いて言うなら管理不十分だけど…あの人が抜けた方が色々とまずいでしょ。許したんじゃなくて、働き次第でチャラにしますとは言った。実質不問にするけどね。主犯は顔だけ近衛副団長だし」


「姐さん、頭いいっすねぇ…」


「いや、普通だから」


「いや、その年でそこまで判断できるとかスゲーっす。俺らなんか姫様の年じゃ…なんも考えてなかったですよ!いや、今でも姫様みたいに先まで考えられるかわかんねーです」


「………ウン?ソウカナー?」


 すいません、年齢偽ってますから。立派な成人女性であります。見た目は子供!頭脳は大人!名探偵ではありません!


「王妃が負けてハンカチくわえてキーッてしてたってマジっすか!?」


「うん、してた」


「マジすか!ざまぁ」


 王妃もめっちゃ嫌われてるんだね。なんか、やたら騎士さん達から誉められた。彼らから見ても、あの王妃はダントツでケビンに嫌がらせやら酷いことを言ったりしていたらしい。もっとしめとけばよかった。いやいや、これからやればいいよね!


 それにしても、誰かがわざと情報を錯綜させてないか?真実と嘘が混じっている。しかも、情報のチョイスに王妃への明確な悪意を感じるんだけど…

 一瞬イイ笑顔のカダルさんが浮かんだ。気のせいだと思いたい。気のせいに違いない。


 騎士達は他にも色々質問してきた。出勤に間に合わなかったらどうしようかと困っていたら、モーゼのアレみたいに、騎士達が一斉に割れて道を作った。漂う冷気と圧力感。魔王かと思ったら、我らが副団長様でした。


「…お待ちしておりましたよ。もちろん、説明していただけるんですよね?」


「喜んで!」


 副団長様がそれはもうイイ笑顔だったので、もはや反射的に敬礼しちゃいました。





 というわけで、かくかくしかじか説明中。





「…なるほど。では姫様は我が騎士団から護衛を出しましょう」


「いや、セツは俺が「風呂の時は?遠征中は??あんたにはただでさえ敵が多いんですから、こんなわかりやすい弱味があれば狙われるに決まってるじゃないですか。しかも彼女自身にも非常に高い価値があるんです。ワガワマ言うんじゃありません!」


「きゅ~ん…」


 流石は副団長様。一刀両断である。ケビンがしょんぼりしてしまった。


「まあ、なんかあったらケビンのとこに逃げるつもりだけど、今回みたいに不測の事態もないとは言いきれないから、保険は必要かな?」


 副団長様は頷いた。


「なるべく姫様の負担にならないよう、親しい奴を選出します。さて、仕事をしましょうか。昨日団長不在でしたからたまっていますよ」


「…副団長様」


「なんです?」


「私、王妃にケンカをふっかけるつもりなんで色々あるかもしれません。ご迷惑をかけるかもしれません。先に謝罪します」


 副団長様は、イイ笑顔でした。その反応は予想してなかった。


「謝罪は不要です。是非やりなさい。私も常々あのくそババアの行動は目に余ると思っておりました。存分にやりなさい。なんなら全力で協力しますよ。何でも言いなさい」


 あ、副団長様…王妃(ババア)が嫌いなんだね!すっごくイイ笑顔いただいちゃったよ!頼りになるね!


「頑張ります!」


 私は副団長様と握手するのだった。


「……あまり派手にはやらかさないでくれよ」


 ケビンも苦笑してたけど、止めませんでした。

 ちなみに、騎士団は団長が大好きなので王妃はもとから大嫌いです。


 特に副団長は言い寄られてたりするので毛嫌いしています。

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