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自分より周りの反応がすごかったんだよ

 とりあえず、城に行く前にケビンと地下牢にいるというヤツに会いに行くことにした。私の予測はあくまでも予測なので、確証がほしかったからだ。




しかし。




「………いないね?」




 地下牢にヤツは居なかった。うーん、自分で作った魔具だから、解除できたとか?魔法さえ使えれば、ヤツは逃げられるはず…逃げちゃった?まぁ捕まえようと思えば私とケビンなら………できるな。


「ぼっちゃま、若奥様、おはようございます。このような所で、どうかなさいましたか?」


 私が考え混んでいたら、じいが穏やかに声をかけてきた。


「賊はどうした?」


「運動中でございます」



 運動??



「………誰とだ?」


「体力があり余った子供達とでございます。若奥様に無体を働いた不届き者だと申しましたら、皆それはもう楽しく遊んでございます」


 じい、目が笑ってないよ!超怖い!!


「まぁ、殺しはしないだろうし…腹が減れば帰ってくるだろう」


 ケビンも激おこだからかばう気がマイナスだね!まぁ…ヤツもたまにはひどい目にあったらいいかと軽く考えていた。





 朝食後、引きずられてきたヤツは、もはやぼろ雑巾と化していた。予想外に、酷かった。

 子供とはいえ獣人。ただでさえ体力がないヤツは、引きずられ続けたのだろう。


「ううっひっく…ゆるして…もう無理……いたい…」


 子供みたいに泣いてるし、哀れなんだけど…子供達は容赦する気が一切ないらしい。


「うちの家族に手を出したらどうなるか、思い知ったか!!」


『そうだそうだ!!』


 シロウ君監修のもと、引きずられ続けていた変態。家族と認めてくれたのは嬉しいけど、お姉さんはやり過ぎな気がするよ?


「ふむ…あと5周はいけたな」


 ケビンさん、鬼だ!


「ううっぐすっ…私が何をしたって言うんだ…」


「え?不法侵入と強姦監禁未遂」


「してないですよ!?不法侵入は…そうかもしれないけど、ゴーカンとカンキンてなんですか!?」


「いや、世間様から見たらそう思われるよ?だって幼い私の魔力を封じて夜のベッドでスルことって…」


「魔力実験」


 変態は真顔だった。うむ、これは本気で言ってる顔だね。あ、私は現在子供の姿だよ。こいつに大人の姿は見せたくないからね。


『……………………』


 私以外の全員が固まった。いや、よく見たらちみっこはよくわかってないな。


「ね?」


 私は硬直したケビンに話しかけた。私の予想は当たっていたようだ。


「…頭が痛い」


「…なんかごめん」


 ケビンが頭を抱えた。面倒事を持参して大変申し訳ない。


「いい?強姦と監禁と言うのは……」


※ただ今、雪花が説明中。





「しないしないしないです!あ、でもカンキンすれば魔法実験し放題?」


 こやつ、マジで懲りてないな。反応に怒りを通り越して呆れてしまう。


「よし、チビ共!こいつと遊んでやれ!」


 うわぁ、シロウ君の笑顔が黒~い。オーラが…怒りのオーラが見えるよ?お姉さんはビビるべきか喜ぶべきか…微妙です。


『わ~い』


 そして、ピュアなちみっこ達が変態にじゃれつき、また引きずりだした。


「あ、あわわわわわ!?しません!しませんから許してぇぇ!!」


「し、シロウ君!やめさせて!」


 しかしシロウ君は渋い顔をした。


「…許すのか?」


「いえ、後で喋れないと困るので、多少加減はしてくださいね」


「わかった!任せておけ!」


 シロウ君はとてもイイ笑顔でした。カダルさんの悪影響に違いない。


泣き叫ぶ変態。がんばれ。自業自得だ。毎晩毎晩毎晩安眠妨害された恨みを思い知りなさい。



 ところでこういうことが大好きそうなスペシャリストのカダルさんが居ません。


「カダルさんは?」


「あっち」


「ヒッ!?」


 カダルさんは、部屋の隅で体育座りしてた。気配がなかったよ!どうした!?


「か、カダルさん!?」


「姫様…これを…」


 彼は死んだ魚のような瞳で、そっと鞭を私に手渡して四つんばいになり尻を向けた。


「どうぞ」





『………………』⬅固まる一同。




 悲しいことに変人というかカダルさん耐性が高い私が最初に復活した。


「カダルさん、私に加虐嗜好はありません」


 全力で鞭を返却しようとするが、彼は受け取らない。何故尻を向ける。


「存じております」


 なら、なんで鞭を手渡した!?しかも、四つんばいから動かないし、尻を向けるし!


「じゃあ何故…」


「私は姫様の侍従として取り返しがつかないミスをいたしました。姫様が何故毎晩毎晩結界を張る必要があるのか…気がつける要素があったにもかかわらず気がつけないばかりか、姫様が危険にさらされるに至りました。死んでお詫びをとも思いましたが、姫様が望まないと思いまして……罰を与えていただきたく思います」


「……それで鞭打ち……」


 まぁ、死んでお詫びをとか早まらなくて良かったけど…う~ん…


「というわけで、全力でお願いいたします!」


 カダルさん、Mもイケるのかしら。なんか喜んでない?これ以上変態はいらないからね!?もうSだかMだかややこしいのはサズドマだけで満腹だから!


「鞭打ちはしない。罰として、面倒事を引き受けてもらおうかな。体罰よりも働きで示しなさい、カダル。貴方なら、これで充分挽回できるでしょ?カインとメルも協力させなさい」


 私はニッコリ笑って魔具を渡した。


「?これは……かしこまりました。必ずや我が姫様のために最高の結果をお持ちいたします!!」


 カダルさんが輝いていた。元気になってよかったね。


「何を渡したんだ?」


「ふふふ、後のお楽しみですよ」


 首をかしげるケビンに、私はニヤリと笑った。カダルさんは颯爽と出ていった。きっときっちり仕事してくれると思うんだよね。


 そして何より…よく思いついたよね、私!鞭打ち回避したよ!よくやった、私!公開SMプレイ回避に、心底ホッとする私だった。

 とりあえず、カダルさんが第2のサズドマにならなくてよかったです。カダルさんは現在、本気を出してお仕事をしています。

 本人、ああ見えて仕事には真面目なんで雪花の夜間状況を知って本気でへこんでいました。

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