表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/241

とっても幸せなんだよ

 私は今、天国にいる。


「おねちゃ、しゅきー」


「ねーね、あしょぼー」


「………(すりすり)」


「……………(ぎゅうう)」


 私、現在ちみっこ達になつかれ、じゃれられたり、ひっつかれたりしている。ぬああああ、幸せ!


「皆可愛いぃ」


 私はもう可愛いちみっこにメロメロです。ちみっこ達は可愛がられた経験があまりないのか、嫌なことがあったのか手が頭上に来ると一瞬怯える。しかし、撫でられるのが心地いいらしく、今ではすっかり頭を差し出して撫でて撫でて~の構えである。

 うむうむ、撫でてあげるよ!いくらでも!


「ゴロゴロ…」


「すっかりとなつかれたな…特にトーワとエドは人見知りのはずなんだが…」


 シロウ君が苦笑する。そうなんだ?確かにトーワ君とエド君はあんまりお喋りしないけど。

 ちなみにソラ君は虎、ルル君は兎、トーワ君はフクロウ、エド君は馬の獣人だ。トーワ君はちみっこフクロウとなって私の肩にいる。お持ち帰りしちゃいたい。


「だなぁ。まあ、変わってるからなぁ…この…なんて呼べばいい?」


 トラ君も最初の警戒が嘘のようだ。まあ、こだわりはないけど…


「お姉ちゃんかお姉さんで。名前はセツだからセツお姉ちゃんとかを希望」


「じゃあ、セツ姉ちゃん」


「採用!」


「セツ姉」


「それいい!」


 結局年長組はセツ姉呼びで落ち着いたらしい。


「セツ姉、兄ちゃん達にも菓子ないの?」


「あるよ~」


 トラ君にお菓子を渡す。皆幸せそうに食べるなぁ。たんとお食べ。しかし、奪い合いにならずちゃんと分ける辺り皆えらい。


「食い過ぎると…夕飯食えねぇぞ…」


 料理人のマサムネさんが少年達に注意する。


「余裕だね!」

「いけるいける!」

「マサムネのメシうめぇから満腹でも食える!」


 皆さん仲良しですなぁ。まあ、お菓子はこれ以上出さないようにしよう。









「ふーん…きゅぅぅん……」







 和やかな空気の中、寂しげな声が聞こえた。私の隣でしょんぼりしている可愛いマイダーリンが鳴いた。そして、それを聞いたちみっこ達が私の側から撤収した。


「おねちゃ、だんちょにかえちゅ」

「ねーね、だんちょによちよちちてにぇ」

「…………ぴぃ」

「……………団長、お姉ちゃん、すき。お姉ちゃん、団長ぎゅうしてあげて」





 ケビンさん、ちみっこに遠慮されてますがな!!しかもソラ君達賢いな!私はケビンのもの予定だけど……借りてた認識なの??



「………来る?」



 とりあえず、私はいつでもウェルカムだよ。両手を広げて首をかしげた。


「!??」


 むっちゃ挙動不審になるケビン。行きたいが恥ずかしいらしい。手を伸ばしては引っ込め、手を伸ばしては引っ込めを繰り返している。そもそもおいでと言われて素直に甘えられるタイプではないだろう。


「てや!」


 来ないなら、こっちから行くまでだ!立ち上がって抱きついてやった。


「アオン!?」


「ぎゅー」


「!??だ、ダメだ!当たっている!ははははははにゃしてくれぇぇぇ!!」


「当ててるのよ!うりうり~」


 私は立ってケビンの頭を抱きしめており、顔に胸が当たっているのだろう。それなりにはあるからね。ふかふか攻撃である。ついでに頭もナデナデしてやる。慌てて離れようとするが、本気で私を離そうとはしていない。

 暫くして観念したのか、スリスリと甘えてきた。ちなみに尻尾は慌ててる間もパタパタしていたので喜んでいるのは確かだ。そして興奮しすぎたのか、ケモミミどころか狼顔になっている。


「く~ん…きゅうう~ん…」


「ケビン可愛い…だぁいすき」


「きゅぅぅ~ん…」


 甘えた声で鳴き、撫でるたびにうっとりと目を細める婚約者が可愛くて可愛くて仕方ない。


「うおお…マジでラブラブだなぁ…」


「らびゅらびゅ?」


「そうそう。団長達が仲良ししてたら二人にしてやるんだぞ」


「あい!」




「「…………………」」





 ケビンが赤くなって固まり、丸まじろになった。私もいたたまれないわ!ケビンが可愛すぎるのがいけないんだよ!つい可愛がっちゃうんだもん!


「さて、メシの支度を追加しねぇとな…お前らも準備しねぇとメシ、間に合わねぇぞ」


「はい?」


「若奥様はガキ共も『家族』だっつったんだから『家族』なら一緒にメシ食うだろ。机とか「私としたことが!総員、手伝いなさい!セッティングを変えますよ!使用人を含む全員での食事にしますよ!!」


「手伝う」


「俺も~」


 少年達もお手伝いするらしい。


「あ、私もお手伝いしたいです。皆さんとご飯、嬉しいです。マサムネさん、素敵な提案ありがとうございます」


「いや、ぼっちゃんの嫁があんたみたいな人でよかったよ」


 マサムネさんはほんの少しだけ笑った。じいが慌てて私を止める。


「いやいや、若奥様は今日はお客様で…」


「できたら早く皆さんと家族になりたいです。共同作業は仲良くなるにはもってこいかなぁ…と思ったり…」


 わがままだろうか。でもどうせなら、皆でわいわい準備したいなぁ。


「俺も手伝おう。もうセツは客ではなく家族だ」


 主であるケビンに、じいも頷いた。


「では、各自手分けをしますよ!」


「セツ姉、こっちこっち!」

「ねーね」

「おねちゃー」


「今行く!」


 皆でやったらあっという間だった。とても楽しかったよ。さりげなくカダルさんが不参加でしたが、カダルさんはカダルだから仕方ないね。

 ちなみにちみっこ達は大人からの暴力のせいで手をあげられるのが怖い。子供達は拾われるまでそれなりに厳しい生活を強いられていました。


 女性がいないので抱っこされてナデナデが初体験です。すっかり味をしめたので、今後も団長不在時にねだると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ