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またしても知らない新事実なんだよ

 和やかに使用人さん達とお茶をしていたら、ドアに可愛らしいにゃんこがいた。いや、多分猫…いや、虎??のケモミミをもつ男の子だ。視線の先は、どうやら私がつまんでいたお菓子。別に空腹ではないので男の子に近づいた。


 あ、ビビられた。隠れようとするので、声をかける。


「待って。これ、ほしい?」


 男の子は少し迷ったが、頷いた。


「はい、あーん」


「!??」


 男の子は耳と尻尾をピーンとさせ、おずおずと口を開けた。あむあむとお菓子を食べる。


「おいちい」


「可愛い!」


 男の子を抱き上げてスリスリする。


「にゃあ!?」


 男の子は驚いたものの私に害意がないと理解したのかされるがままだ。


「可愛いなぁぁ!もっと食べる?お姉さんお菓子まだ持ってるよ!」


「おかち?」


「そう、お菓子。甘~いの。いま食べたやつみたいなの」


「ほちい!あ…にーににもあげちゃい…」


「にーに?お兄ちゃんかな?何人」


「えと…いっぱい…」


 なにこの天使!かわゆいわぁ…指で数えようとしたようだが、諦めていっぱいとか言ってるよ!私はご機嫌で席に戻りちみっ子を膝に乗っけた。


「あの、若奥様」


 じいが…いや、皆してそんなありえないものを見るような目で…どうしたの?


「はい?」


「若奥様は獣人の子供が………お好きなのですか」


「大好物です」


 私は真顔で即答した。可愛いは正義!


「たべにゃいで!?」


 ちみっ子にめっちゃ怯えられた。返答を間違えてしまったね。ぴるぴるするのもまたかわゆい。


「いや、食べないよ。大好きって意味だよ」


「チョラ、しゅき?」


 そら?とら?どっちだろ。舌足らずがまたかわゆい。


「うん、大好き」


 かわゆいものは大好だよ。ナデナデしたらゴロゴロと喉をならした。猫じゃらしとかで遊ばないかなぁ?


「か~わい~」


 私はメロメロである。すっかり私に警戒心がなくなったらしいちみっ子は私からお菓子をもらってご機嫌です。


「おい!ソラをいじめるな!」


 兄弟かな?耳と尻尾が似てる。お膝の子はソラ君でしたか。


「にーに!おねちゃ、おかちちょうらい」


「はい。にーにと仲良く食べるんだよ~」


 ハンカチにお菓子を包んでソラ君に渡した。


「あい」


 ソラ君はニコニコしながらお兄ちゃんにお菓子を渡した。


「……………へ?」


「にーに、あい。おいちいの」


 ソラ君はお兄ちゃんがなかなか受け取らないのでお菓子を無理矢理握らせた。


「………………え?あ、毒入りか!?」


「なんで?お姉さんは君達を毒殺しても良いことないからしません。むしろ仲良くしたいなぁ」


 私がそう言うと、ソラ君は満面の笑みで駆け寄ってきた。


「なかよち?すゆ!おねちゃ、しゅき!」


 ソラ君はすっかりなついてくれたようだ。抱っこをねだるので抱っこしてやる。そのまま寝てしまった。


「ふああああ、かわゆぅぅい~」


 私はメロメロである。チビモフ、かわゆい!天使だ!


「…なあ」


「ん?」


 ソラ君のお兄ちゃんが近寄ってきた。警戒しているようだが、私は彼に何かしただろうか。


「…あんた、その…騎士団長の嫁だよな?」


「正確には嫁予定です」


「…あんた、俺達を追い出すつもりなんだろ?」


「……なんで?」


 本気で不思議だ。何故初対面の少年を追い出さねばならないのだろうか。


「いや、金かかるし…俺ら、盗みをしたり…してたし」


「…んん?今は?」


「してない」


「盗みをしてたら追い出さなきゃいけないの?しかも盗みの理由は遊ぶ金欲しさとかじゃないんでしょ?むしろ先に住んでたのは君達なんだから、君達が不快なら私が出ていかなきゃいけないと思うわ」


 使用人さん達が真っ青になった。いや、まず出ていかなくてすむように考えて努力するからね。


「まあ、先ずは話し合いをしてあなたたちが不快にならない方法を考えるけど」


「…はぁ??あんた、女だろ!?獣人はけだもので気持ち悪いから嫌いだろ!?」


「あ、そゆことか。私は異界から来たから、あなたたちからしたら好みがおかしいの。獣人だからって嫌いにはならないよ。むしろ好ましいと思ってるの」


「……………は?」


 ソラ君のお兄ちゃんが唖然としている間に、おっさん…じゃなかったケビンが戻ってきた。


「すいません、戻りました」


「ケビン、この子を私に紹介して」


「ん?ああ、トラと…ソラは寝ているのか。その…我が家には孤児がたくさん住んでいるのです。トラ達もそのため我が家に連れてきました。彼らも俺の家族なんだ…その、できればセツにも受け入れてほしい」


「家族がたくさんいるんだねぇ。仲良くしたいなぁ。後で他の子達も紹介してね」


「…ああ。わかった」


 ケビンも私があっさり受け入れたのでホッとしたようです。いや、ケビンらしくていいと思うよ。


「そういや、私が彼らを追い出す的な話になってたんだけど、なんで?」


「それは…」



「ははははははは、クソガキ共、まちなさぁぁい」


 とても聞き覚えのある声と、少年達の悲鳴が聞こえてきた。サズドマ達を追い回す燕尾服の青年が頭に浮かぶ。マジでなにしてんの!?


「や、奴だ!姉ちゃんは奴の仲間なのか!?」


 トラ君の瞳は、頼むから違うと言ってくれと語っていた。


「いや、知りあいですし、友人的な関係ですが…むしろ彼は何をしているのか聞きたいですが?」


「…その、本来婚約したなら婚約者の家に住むものだ。我が家はまだ、セツが快適に暮らせる水準ではないと判断されているためセツは城暮らしなんだ」


「うん?で、カダルさんは何してるの?」


「姫様にふさわしい家にするため……子供達を調教「こらああああああ!私はそんなの望まないっつーの!私をダシにして子供をいたぶるんじゃなぁぁい!!」


 ソラ君をケビンに渡すとケビンの言葉を途中で遮り、窓から外に飛び降りた。カダルさんは鞭を振り回して少年達を追い回していた。人をダシにして変なことしないでいただきたい!!

 長くなりそうなので切ります。チビモフは正義です。

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