衝撃の事実なんだよ
結論として、このお屋敷におっさんのご両親は居なかった。別居しているらしい。それから、お父さんには前妻と後妻が居ておっさんは前妻の子供なんだそうな。
「じいは、じいは嬉しゅうございます。ぼっちゃまは見た目こそイマイチですが、中身はそれはもう優秀でお優しく、じいの自慢のご主人様なのです!」
じい、地味におっさんを落とさないでください。おっさん涙目だよ。
「そうですね。たくましくて優しくて…なにより可愛いです!」
「おお、ぼっちゃまの良さがお分かりになりますか!」
「はい!」
手を取り合って喜ぶ私達。とても仲良くなれそうです。
「あのー執事頭、僕らも紹介してくださいよ」
「ああ、そうだったな」
おっさんは屋敷に最低限の人数しか配置していないらしく、執事頭のじいと執事のトールさん、執事見習いのフィン君、雑用のザック君、庭師のマイケルさん、料理人のマサムネさんが働いているそうな。
というか、皆さん勢揃いでわいわいしている。どうやらおっさんは使用人さん達と仲がいいらしい。
「でも、こんなに可愛らしいお嫁さんがご主人様に来てくださるなんて…!良かった!怖いオバさんとかじゃなくて本当に良かった…!若くて可愛いお嫁さんでよかった!」
ザック君は泣いていた。彼、見た目がかなりいいからナニかトラウマがあるのかもしれない。
「いや、若いと言ってもお姉さん、25歳よ?」
『25!??』
いや、そんなに驚かなくてもいいのでは?
「なんと!ぼっちゃまとひとつ違いでしたか!いやいや、実に素晴らしい」
え?
「じい!ワンモア!もう一回!!」
「はい?素晴らしい?」
「違う!その前!おっさんは何歳なの!?」
「…その、すまない。26なんだ」
おっさんは困った表情で頬をかいた。
へー、にじゅうろく………にじゅーろく……………
「トゥエンティシックスゥゥゥ!?ええええええええ!?いやもうおっさんて呼べない…いや、早く言えぇぇぇぇ!!」
「………すまない」
「バカバカ!おっさんのバカ!いや、私も悪いか…なんて呼んだらいい?」
「え?」
「ひとつ違いじゃもはやおっさんとか呼べないし自分をえぐるじゃないの。なんて呼んだらいい?」
おっさんは真っ赤になって首を振った。
「いや、おっさんのままでかまわん」
「私がかまうから!いいかげんおっさんの名前を知りたいわ。私、おっさんに名乗ってもらってないのよね」
おっさんは真っ青になった。そう、私はおっさんの名前を知らないのだ。最初は私のくしゃみで中断したし、結局知らないままここまで来てしまった。
「名前は、ケビンだ…」
「ケビンさん」
ケビン団長➡不憫団長になったのかな…あれ?おっさんが小刻みに震えている。耳が赤い。
「…ケビン?」
「アオン!?」
おお、耳と尻尾がモフモフになった。隣に座ってたのでスリスリしながら耳元で囁いてやった。
「大好きよ…ケビン」
「あ…あ…あ…アオオオン!!ルオオオン!!ウオオオン!!」
「おっさぁぁぁん!?」
今日はずっと走らなかったので油断していたが、おっさんはガラスをぶち破って外にいってしまった。
「おっさぁぁぁん!カムバーック!!」
おっさんは走り去った。追いつける気がしない。超早かった。
「すいません、ぼっちゃまはちと恥ずかしがりやさんでして…」
自分家だからか盛大にガラスを割って飛び出したおっさんにノーリアクションですか…わりとよくある事なんだそうで、片付けるザック君も慣れたご様子だ。
「あ、私が直すよ」
「え?」
魔法で元通りにしました。最近失敗はほぼなくなりました。上達したよね、我ながら。
おっさんが帰宅するまで主にじいからおっさんの昔がいかに愛らしかったかを語られた。おっさんのお母さんはとても綺麗な獣人さんだったと、肖像画も見せてもらった。おっさんのお母さんはおっさんに面影がある美人だったよ。
ここの使用人さん達は元々おっさんのお母さんに仕えていた人達で、極悪非道な継母にイビられるおっさんを守るためにここに来たんだとのこと。年少組はおっさんに拾われた元孤児だったり、ここの使用人の子供なんだそうな。
「ぼっちゃまは知りませんからな。内緒ですぞ」
お茶目なじいがウインクをする。
「はい。皆様、改めてよろしくお願いいたします」
おっさんのお屋敷には優しい使用人さん達がいた。私、仲良くやっていけそうだよ!
どうでもいい補足。
おっさんは無精髭があると40~50代に間違われる。ちなみに最高は60代。
めそめそしていたら、髭を剃れと鬼の副団長に言われて最近はちょっと上に間違われるようになった。




