近衛騎士を敵認定したよ
本日は2話更新となります。
おっさんの汗拭きという大義名分のもとモフモフを愛でていたら、ナニやら派手な鎧の騎士達が来た。近衛騎士達かな?
「おや?この時間は我々が使うはずでは?」
「まだ時間には早いですよ。そちらが早く来すぎただけです」
副団長様がクールに言い返した。いや、微妙に口がひきつってるわ。
「おや、そうでしたか。なら、さっさと撤収しなさい。我々が使いますから。獣臭い、庶民臭い連中が使った所など本来なら使いたくないのですが、仕方なく使って差し上げますよ」
先程より明らかに副団長様がひきつっている。しかし仕方なく片づけを指示する副団長様。近衛騎士達はニヤニヤしていた。
「まあ、それは私の婚約者への侮辱ですか?それとも、騎士団に仮採用されてる私への侮辱ですか?どちらにせよ、聞き捨てなりませんわね!」
近衛騎士のあまりの暴言と態度に、私がキレた。そして、その怒りに連動したうちの可愛いピエトロ君が雷雲を喚んでいる。黒焦げにしてやろうか?ピエトロ君が麒麟姿で威嚇する。
「滅相もない!!失礼しました!」
いやみな近衛騎士は即土下座した。危機察知能力はまあまあ高いらしい。他の近衛騎士もビビっている。多分この間のかき氷器のせい…だよね…?
「あら、そう?なら合同訓練しましょうよ。チーム対戦がしたいわ。うちは私とサズドマ、シャザル君でどうかしら。勝ったらここは、しばらく騎士団が使わせていただきますよ」
「僕!?せ、せめて副団長のどっちかか団長…」
シャザル君の自信なさに後押しされたのか、いやみな近衛騎士は快諾した。
「いいでしょう、ならばこちらはヘルマータと私と…」
「姫様!?」
おっさんが止めようとしたが、私はにっこり笑った。
「おっさん、止めたら私はピエトロ君と近衛騎士を滅ぼしに行きます」
「頑張ってください!」
おっさんは私の本気と殺る気を感じ取ったらしい。うふふ、頑張っちゃうもんね!
「姫様」
お叱り?と私は身を竦めた。しかし、副団長様はそれはもう爽やかな笑顔でございました。私の頭をよしよしした。
「殺ってきなさい」
副団長様はそれはもうイイ笑顔で首を切るジェスチャーをした。
「殺ってきます!!」
私もイイ笑顔で元気よく首を切るジェスチャーをした。
『いや、殺ったらダメだろ!』
おっさん、オレンジ頭、ガウディさんからつっこまれた。いやいや、殺さないよ?こてんぱんに痛めつけるだけだよ。ノリだよ、あくまでもノリ!
何故に近衛騎士さん達は震えているんだい?
そして変態が来た。
「おお、麗しの姫様…このようなむさ苦しい騎士団にこきつかわれてかわいそ「ごたくはいいからさっさと始めましょうか」
私は変態の話をぶった切った。変態に付き合っても疲れるだけである。しかもこきつかわれてなどいない。私が働きたくて働いているんだから。
「ヘルマータ、お前はあの試合で姫様を諦めたのではなかったのか?」
おっさんのまっとうなツッコミに、変態は悲しげな表情をした。
「ああ、諦めたよ。姫様は苛烈な性格で怖かったしな。だが、あれこそが姫様の愛だと気がついたんだ!俺の間違いを正し、俺の魔法の暴走を止めてくれた。姫様は俺のために怒ってくれたのだ!俺は新たなる気持ちで姫様を愛している!!」
まあ予想はしていたよ。意味わからないし、理解したくもないけどね。
「愛してないから!超キモい!つうか、なんなのその意味不明な結論は!おっさん、癒して!」
おっさんの首に顔を埋めて匂いをかぐ。やっぱりいい匂い…
「いい匂い…」
おっさんの腕の中にはきっとマイナスイオンがあるに違いない。変態により荒んだ気持ちか癒されていく……
「ひ、姫様!汗臭いでしょうから嗅がないでください!!」
おっさんは真っ赤になって困っている。しかし私を剥がせない。抱きしめ返していいものか迷っているらしく、手がさまよっている。
「汗臭くないよ。おっさんて獣臭しないよね。いい匂い…私、おっさんの匂い大好きです」
「お、俺(の匂い)が好き……」
まあ、間違ってないけどね。しかしおっさんをたまに困らせたくなるのはなんでだろう?あれか?好きな子ほどいじめたい的な……いや、違うな。おっさんがなんだかんだで喜んでるからだね。
「うん、だぁい好き」
甘えた声で囁いて、スリスリしました。
「あ、アオォォン!」
あ、やべ。限界だったか。
「団長、ヒメサマ、いーかげん始めよぉぜ」
サズドマに言われて素直におっさんから離れる私。さて、いっちょやりますか!
長いのでここまで。次回はチーム対決です。