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就職先を見つけたよ

 仕事を再開することになったはいいが、私はまだおっさんのお膝にいます。そんな中、マーロさんが言いました。


「そういえば、団長殿に頼みがあるのですが」


「む?」


「姫様をこちらで雇ってください。確か、文官が欲しいと言ってましたよね」


『は?』


 マーロさんの発言に、私とマーロさん以外は何言ってんだこいつ、という反応だった。


「姫様は元の世界で文官のような仕事をしていたそうです。ただ飯食らいではなく、きちんと仕事をして稼ぎたいそうですよ」


「お、おっさんお願い!ちゃんと真面目にやるから!」


「む…」


 私の言葉に答えたのはおっさんではなくイケメン眼鏡だった。決定権は彼にあるようだ。


「…試用期間は3ヶ月。使えないようならクビにします。私は女であろうと使えないなら解雇しますが、それでいいなら許可します」


「イシュト、姫様にぶれ「それでお願いします!いつから働けばいいですか!?」


 おっさんが私に失礼だとか言おうとしたが、遮った。


「…では、今日は仕事の流れを見て自分にできそうな事を考えなさい。教える余裕もあまりないのです」


「はい!」


「…では、僕らはこれで失礼するよ。今日の視察結果は後日書面で提出する」


「姫様、またねー」


 マーロさんとミック君は執務室から出ていきました。


「おっさん、お仕事の邪魔になるからおりる」


「…くーん…きゅうん」


「うぐっ…」


 そんな明らかしょんぼり顔しないで!


「えと、ちゃんとイケ…副団長様に認めていただければ毎日会えるかもしれないんだよ!」


「頑張ってくれ、姫様」


 おっさんはアッサリ私をおろした。ちなみに言語チートがあるために読み書きには困らない。書く方も問題ない。

 しばらく観察してみるが…おっさん書類読むの遅いなと思った。悩んでるのかと手元を見たら、やたら字が汚かった。読みにくいからもあるんじゃないかな?ちなみにそこもチートのせいか、私は問題なく読める。


「副団長様、字が汚い場合、清書して提出するのはアリですか?」


「…問題ありません」


「ほい、紙とペンとインクね」


 気が利くオレンジ頭が紙とペンをくれました。ついでにおっさんの書類の山をざっと仕分けしておいた。



「団長、こっちの山は期日が近いものですから、こちらから処理をお願いします」


「ああ」


 そして私は字が汚い書類を清書した。やはり読むのに時間がかかるのは字が汚かったせいらしい。明らかに私が渡した書類の処理が早い。

 そして…いくつか読んでいて思ったが…


「計算ミスが多いですね」


 パッと見でもわかるぐらい多い。


「計算ミスが多いものは戻すのでどこが間違っているか書いてください」


 イケメン眼鏡ことイシュトさんが修正見本を見せてくれた。


「わかりました。あの、統一書式は使わないのですか?決算報告なんかは大体請求内容も決まってますし、間違いにくいかと」


 イシュトさんは少し思案してから口を開いた。


「貴女の世界ではそうしているのですか?こちらにそういった書類は無いので、その統一書式とやらの例を作ってみてください」


「わかりました」


 私はとりあえず定規をオレンジ頭からもらって表を作成し、決算報告書を読んでよく使う項目を書き出した。ついでに事件の報告書もチェックシート方式で作っておいた。


「できました」


「…これは決算の方はともかく、こちらはどうやって使うものですか?」


「これは該当箇所にチェックをして書く手間を省いているのです」


「…………これはいいですね!」


「特に修正がなければこのままコピーします」


「こぴい??」


 こっちにコピー機はない。説明が面倒なんで先に修正があるかを確認した。


「修正、ありますか?」


「いえ、このまま使えます」


「では、コピーします」


 1発オーケーでテンションが上がった私。魔法で書類をトレースし、インクで判子をおすみたいに次々コピーしていく。


「とりあえずどちらも百部ずつコピーしました」


「うわ、便利だな~」


 オレンジ頭が寄ってきたので使い方を説明した。


「事件の報告書についてはあと二百部こぴいしてください。ライティス、各部隊に説明と配布を」


「はいよ~」


 オレンジ頭はとりあえず先に作った百部を持って出ていった。

 私はひたすらコピーしている。


「…思ったより使えるようで安心しました。明日もお願いします」


 イシュトさんに言われて頭を下げた。


「こちらこそよろしくお願いいたします!」




「姫様すごいですね…あのイシュトに初日で認められるとは…」


「ああ…」


「そこ!しゃべる暇があるなら手を動かしなさい!!」


「「はい!!」」


 ガウディさんが息子(おっさん)に甘いお母さんとしたら、イシュトさんは怖いお父さんかなと思いました。

 ちなみに鬼の副団長と呼ばれているらしい。書類提出に厳しくて、10回以上も書き直しさせたこともあるんだとか。

 ちなみに理由を聞いたら、字が汚いだけじゃなくて敵がガーって来たとか擬音語ばかりでちゃんと説明になってなかったらしい。平民上がりが多い騎士団は、そういった事務系…というか報告が不得手な人間が多いらしい。


 ちなみに悪い見本として10回以上も書き直ししたという書類の初回をみせてくれた。なんというか、小学校低学年レベルの語学力だった。

 ちなみに書き直しの結果、小学校高学年ぐらいにランクアップしていた。


 騎士団もなかなか大変みたいです。

 ちなみにイシュトさんは経理・人事を任されているので人事決定権があります。とても真面目なのでマーロさんやサズドマと仲が悪いです。

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